なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

血圧測定も救急搬送も拒否しています~癌性胸膜炎

2016年10月21日 | Weblog

 昨日、施設入所の80歳女性が食欲不振が続くと、救急搬入された。といっても、ご本人は認知症で、病院受診を拒否していた、何かされることをぜんぶ拒否してしまうようだ。息子の嫁の依頼だった。救急隊員から、「血圧測定も拒否しています。搬入も拒否しています」と連絡が入った。

 そうとう暴れているのかと思ったが、搬入されると痩せた老女で暴れるような人ではなかった。ただ、確かに何かをしようとすると全部「いやです。やめて下さい」と拒否してしまう。救急隊員は本人の言うことを尊重して、引き下がったらしい。看護師さんが、これをやってみましょう、これもやってきましょうと声掛けをしながら、結局必要なことは全部やった。

 この方は2年前に右上葉肺癌の手術を受けていた。お嫁さんから、息子さんに電話してもらって訊くと、手術はしたが、術後の化学療法は認知症があるということと年齢を考慮してしませんと言われたそうだ。わさわざ肺癌で定評のある東京の大学病院で手術を受けている。術後のフォローはなかったようだ。

 胸部X線・CTで肺の半分が隠れるような左胸水貯留があった。炎症反応は陰性。発熱はある。胸水を検査に出すために、胸腔穿刺を行い、そのまま自然留置で900mlの胸水を引いた。淡血性を想定していたが、血性ではなく黄色の胸水だった。細胞診・細菌検査(結核菌を含む)・生化学検査をオーダーした。CEAが95ng/mlと上昇していて、癌性胸膜炎が疑われた。

 今日、胸水細胞診の結果が出て、腺癌陽性だった。CTで手術をした右肺の肺尖部に胸膜肥厚があり、術後の変化なのか局所再発なのかわからない。胸腹部CTで明らかな原発巣は指摘できない(痩せていて腹部は読影しにくい)。

 入院後は解熱して、食事も少しずつ食べていた。案外病院に馴染んでいる。どこまで治療するかだが、最期まで入院することになるだろうか。

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リウマチ性多発筋痛症?

2016年10月20日 | Weblog

 先週の木曜日に86歳男性が路上で転倒して、顔面を打撲した。当院に救急搬入されて、救急当番だった神経内科医がみた。鼻と額に擦過傷ができて、上口唇が腫れ上がって見た目はひどかったが、骨折はなかった。他の部位にも骨折がないので、処置をして帰宅のはずが、38℃の発熱があり、血液検査で炎症反応上昇(白血球数9000・CRP15)があった。肺炎か尿路感染症で発熱があって、ふらついて転倒したのだろうと考えられた。ところが、明らかな肺炎も尿路感染もなかった。

 発熱の原因が不明ということで内科に相談がきた。画像で特に異常はなかった。関節炎・蜂窩織炎もなかった。筋肉の把握痛もはっきりしなかった。血液培養を2セットと尿培養を提出して、入院で経過をみることにした。抗菌薬は(使う根拠はないが)セフトリアキソンを使用していた。入院後は平熱~微熱で推移した。

 入院後の炎症反応は横ばいだった。やはい感染症ではなさそうだいう気がしてきた。2回目の血液検査で白血球数・CRPは横ばいで同じだったが、血沈が100以上だった。もともとここ1~2年は寝たり起きたりの生活という。急激に身体の動きが悪くなったのかと訊くと、そのようでもあり、しばらく前からのようだもありで、はっきりしない。上肢は右側で拳上する時に痛いらしい(訊けば痛胃かなという感じ)、両側大腿部の把握痛は何度やってもはっきりしない。何とかポータブルトイレには自分で移動しているが、中腰に姿勢はつらいようだ。

 リウマチ性多発筋痛症でいいのかと思われ、今日からプレドニン15mg/日を開始してみた。臨床所見だけからは自信がないが、血沈の値が後ろを押してくれる。念のため、骨髄腫の検査も提出してみた。頭痛はまったくない。身体診察に自信ない分、関節エコーの勉強をするべきなのだろう。

 昨日記載した78歳女性も血沈が100以上だった。これは本物なのか。こちらは四肢痛はない。

(後日記)プレドニン内服で症状は数日のうちに改善してきた。ただし、1~2年前からは用事がある時以外はあまり動いていなかったので、歩行はできるが、すいすい歩くというわけではない。まあ86歳だから、そんなものか。リウマチ性多発筋痛症確診としていいようだ。

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頭痛で迷走

2016年10月19日 | Weblog

 先週78歳女性が発熱で受診した。胸部X線・CTで斑状~線状が数か所にあるが、古い病変のように見える。尿混濁が軽度にあるが、急性腎盂腎炎と決めていいか迷う。炎症反応上昇があり、肺炎・尿路感染疑いとして、入院で経過をみることにした。

 入院後に解熱傾向となり、3日後の検査で血液検査・尿検査は改善してきた。そのまま抗菌薬を1週間か10日継続すればいいかと思っていたが、また熱が出てきた。今週の検査では炎症反応が上昇していた。感染症じゃない可能性も考えられた。

 そういえば、入院後から頭痛の訴えがあり、アセトアミノフェン内服を処方していた。そのうちに喘鳴が出現して、酸素飽和度が低下した。喘息の既往を訊くと、これまでも風邪症状があるときに喘鳴が出現していたそうだ。COPDはないので、喘息があるようだ。

 頭痛について詳しく訊くと、入院前1か月くらいからか始まったという話になった。左側頭動脈の部位が痛いという。右側には疼痛がない。圧痛があり、拍動は左右比較すると、差があった(左が弱い)。さらに、もともと片方の癌は角膜が混濁していて視力はないが、肉眼的には問題がないもう一方は最近視力が低下しているという。側頭動脈炎の症状だとすると、眼動脈の炎症で視力が低下している可能性があり、その日(すでに夕方だった)はプレドニン30mgを点滴静注した。

 翌日また頭痛と視力低下の話を訊くと、数年前からあるという話になった。側頭動脈炎疑いは怪しくなった。エコーで見てもらうと、左右の側動動脈に差がなく、内腔も問題なかった。ご本人も良くわからないようだが、外来処方に頭痛薬はないが、市販の頭痛薬を飲んでいたので、処方からも時期が特定できない。完全に否定もできず曖昧なままだ。

 喘鳴はまだ続いていたので、プレドニンは継続して、喘鳴が改善したら漸減中止にすることにした。この方はもともと糖尿病もあり、DPP4阻害薬とSU薬少量でHbA1c6.8%だった。数日プレドニンを使用したために、食前血糖が200~300mg/dlに上昇してしまった。

 感染症以外の発熱・炎症反応上昇の原因を考えつつ、喘息の症状を見つつ、血糖の調整をしつつ、ということになった。

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肝細胞癌

2016年10月18日 | Weblog

 先週末の土曜に日直で病院に来ると、金曜日の当直医だった外科医が、早朝に上腹部痛で受診した63歳男性の検査をしていた。4年前に、慢性C型肝炎でインターフェロン治療を受けていた。治療したのは地域の基幹病院消化器内科の肝臓専門医だった。先週、当院の消化器科の外来を胸やけなどの症状で受診していた。

 血液検査で中等度の肝機能障害があり、上部消化管内視鏡検査で胃静脈瘤を指摘された。今週は外注検査の確認と腹部エコー検査が予定されていた。普通は腹部エコーと内視鏡は同日に行うが、経済的な問題(お金がない)で検査が小分けにしてもらったらしい。

 外注検査の結果は出ていて、PIVKA-Ⅱが著増していた(院内で測定できるAFPは正常域)。HCV・RNAは検出されずで、抗ウイルス療法は成功していた。その後もフォローを受けていれば、早い時期のHCCを治療できたかもしれない(通院をやめたのだろう)。

 外科医が腹部造影CTを行って、肝臓右葉に腫瘍(肝細胞癌)が認められた。入院になるのかと思ったが、患者さんが(経済的に)入院できないというので、鎮痛薬を処方して、その日は帰宅になっていた。

 昨日、消化器科医と肝疾患を専門にしている外科医がCT画像をみて相談していた。門脈本幹に腫瘍塞栓があり、右葉全体に腫瘍が広がっていて、治療は困難だろうという。患者さんに希望を訊いて、インターフェロン治療をした病院(肝臓専門医がいる)に紹介する方針となった。治療の仕様がなければ、そのまま戻されるかもしれない。何か治療できるのだろうか。

 今年、2人のC型慢性肝炎の患者さんを、その病院の肝臓専門医に紹介した。ひとりはほとんど予約日に来れない中年男性で、10年前からインターフェロン治療を勧めていた。時間がないとずっと断っていたが、結局インターフェロンフリーの時代になって、DAA2剤で治療を受けることになった。これは結果的にはラッキーだったのだろう。もうひとりは70歳代女性で、以前インターフェロン治療を受けて不成功だった。年金暮らしなので高額な治療は受けたくないと言われたが、助成があるのでと説得して紹介した。こちらもDAAでの治療が開始されたそうだ。以前インターフェロン治療の手間と副作用で苦しんだのは何だったのだろう。いい時代になったものだ。

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急性腹膜炎(修正)

2016年10月17日 | Weblog

 先週の土曜日は日直だった。50歳代のめまいの女性が数人続いたが、受診数は少な目だった。午後5時に79歳男性が腹痛で受診した。午後3時から急に腹痛が出現して、持続していた。それまでは何ともなく、昼食も普通に食べていた。高血圧症で内科医院に通院していて、一昨年に一過性心房細動で当院の循環器科の外来を受診している。抗不整脈剤を処方されて、内科医院で継続している。

 今週、当院の泌尿器科外来に予約されていた。検査で前立腺癌のマーカーであるPSAが12と高く、精査依頼だった。腹部はけっこう硬く振れた。尿閉でも腹部が緊張して硬く振れることがある。腹部エコーで見ると、膀胱内に尿は貯留しているが量は少なかった。念のため導尿してみたが、180mlの排尿で腹痛はまったく変わりなかった。

 消化性潰瘍の既往はなく、腹部手術の既往もなかった。発症が急というより突発なので、「詰まる・破れる・捻じれる(筑波大学の前野先生)」になる。腹部X線(実際は胸部X線の方が見やすい)で、右横隔膜下に腹腔内遊離ガスfree airがあった。腎機能正常域を確認して、腹部造影CTを行うと、上腹部に腹腔内遊離ガスと腹水貯留を認めた。胃の噴門部に胃癌と判断される腫瘤を認めた。食道にも浸潤しているようだ。CEAが40と上昇していた。CTでみえる範囲では胃の他の部位や十二指腸球部には異常を指摘できない。胃癌(噴門部癌)の穿孔になるのだろうか。

 腹部所見は(CTで確認してから言うのもなんだが)要するに板状硬だった。外科の当番の先生に連絡して来てもらった。胃癌の穿孔による急性腹膜炎で緊急手術となった。二人目の外科医と麻酔科医も招集されていた。

 困ったことに、この患者さんは汎血球減少症もあった。一昨年の一過性心房細動での受診時にも、白血球減少と血小板減少(つまり2系統血球減少)があったが、貧血がなかったので、そこは問題にされていなかったようだ。肝硬変はないので、骨髄の問題だろう。

 (ここから修正) 手術の所見について、後で手術した外科医に伺うと、胃癌の部位に穿孔はなかった。直腸指診で前立腺を触れた時に、直腸に腫瘤が触れていた。指で触れる部位でもあり、穿孔部位とは考えていなかったが、実際は直腸の通貨障害があり(便通は毎日あるが、出にくいことは自覚していた。胃に穿孔がないことから直腸を調べたところ、こちらに穿孔があったそうだ。腸の穿孔ではもっとひどいショックになりませんがと訊いてみたが、便がすぐに穿孔部位を覆ったためだろうと言っていた。

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開業医の心肺停止

2016年10月16日 | Weblog

 今週は開業医の先生(皮膚科)が心肺停止で救急搬入された。年齢は50歳代前半らしい。開業して2年くらいだろうか。長く内科医院を開業していた先生が高齢になって、内科医院の土地と建物を貸し出したところでの開業だった。特に地縁もないので、診療科目として競合しない地域として選んだのだろう。ご盛業と伺っていた。大學病院や市中病院に勤務されている時は、いろいろ揉めた先生らしいが、診療はできるという噂だった。

 朝クリニックに出てこなかったので、従業員が住居に見に行って発見したという。救急隊が心肺停止を確認して、蘇生術とアドレナリン投与(4回使用した)をして搬入したが、おそらく発症して大分時間が経過しての発見になるのだろう、まったく反応はなかった。当直医ではないが、いつも早い時間に出勤してくる先生が対応した。

 AI(autopsy imaging)で見ると。頭部CTは異常なしで、胸腹部CTは両側肺野に肺うっ血所見を認めた(心肺蘇生の影響ではない)。肥満体型からも心臓病(急性心筋梗塞)と推定された。救急隊から連絡がいったのだろう、警察も来て検死になったが、心臓死ということで決着した。

 離婚した奥さんは他県にいるとか。兄弟には連絡がいったが、遠方なのでその日に夕方にならないと来れないらしいとか、その日はいろいろ話題になった。土地と建物を貸していた先生は、借り手がなくなって(家賃収入)どうするのかなあと思ったしていた。医師会の保険の更新時期で案内がきていた。掛け捨ての死亡時に6000万円おりる保険(入院費用付き)にしか入っていない。今月当院の勤務医が新規開業したが、開業する時は高額な生命保険や休業補償付き保険に入るのだろうか。最後まで勤務医のつもりなので、開業事情はよくわからない。

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久しぶりの骨髄穿刺

2016年10月15日 | Weblog

 昨日、貧血の89歳女性が内科医院から紹介されてきた。貧血の程度は、昨年夏がHb10g/dl、今年の春が8g/dlで、その後は少し間が空いて、その日はHb4.7g/dlだった。白血球数と血小板数は正常域で、白血球分画も異常なかった。MCVは93と正球性。吐血・タール便の既往はなく、直腸指診でも普通便だった。溶血でもない。1年かけての進行で、骨髄異形成症候群を疑った。

 家族の車で来るはずが、救急車での搬送となった。案外年齢の割には症状をきちんと話してくれた。採血したが、薄く水っぽい血液が採取された。さっそくだが、救急処置室で骨髄穿刺を行った。当院は院内の輸血ストックをあまり置いていない。画面で照会すると、同じ血液型の製剤はなかった。が、血液検査担当の技師さんに訊くと、他の患者さんで使用するはずだった濃厚赤血球2単位があるというので、すぐに使うことにした。まず2単位ずつ3日で、6単位入れることにした。

 紹介してきたのは、当院消化器科に勤務した後に父親の内科医院に戻った若い先生だった。電話で相談されたので、比較的近い地域の血液内科のある病院に問い合わせてもらって、受け入れが難しければ当院で対応しますと答えた。そちらの病院の先生は、学会で出かけて不在になるので、とりあえず近くの病院で輸血してもらって、その後に紹介するよう言われたそうだ。骨髄穿刺は今年初めてで、昨年も記憶にない。当院では採取はするものの、骨髄像は読めないので、診断は外注になる。

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整形外科医が診断した肺癌

2016年10月14日 | Weblog

 整形外科医が当直の日に、内科に高血圧症、呼吸器科(他院から出張)に間質性肺炎で通院している86歳女性が上背部痛・呼吸苦で救急搬入された。胸部X線では間質性肺炎像だけのようにも見えるが、胸部CTで右下肺背側に腫瘤影を認めた。背側の肋骨への骨浸潤も指摘された(さすが整形外科)。けっこうな大きさの肺癌だが、呼吸器科の外来では気づかれていなかったようだ。胸部単純X線のフォローではわかりにくかったのだろう。

 昨年5月に労作時の息切れで胸部X線・CTが検査された。両側肺に間質性陰影を認め、呼吸器科に紹介になった。KL-6が2500と高値を呈した。特発性肺線維症(IPF)の診断で、外来でプレドニン内服が開始されていた。間質性陰影もゆっくりと増えていたようだ。早期に肺癌を発見しても経過観察になるので結果は同じだが、IFPのフォローとしてももっと胸部CTを撮っていてよかったかも。

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発熱の原因は不明

2016年10月13日 | Weblog

 救急外来の当番だった神経内科医に、路上で倒れて顔面を打撲した88歳男性のことで相談された。発熱があって、炎症反応が高いが、感染巣がわからないという(感染症ならばだが)。ふらついて倒れていて、倒れた時のことは覚えていた。

 意識は清明でふつうに会話できる。呼吸器症状はなく、胸部X線・CTで肺炎像はなかった。腹痛はなく、腹部も問題なさそうだった。尿路感染症だろうと思われたが、尿混濁はなかった。前立腺の腫脹・熱感もない。関節痛・筋肉痛もなく、四肢に蜂窩織炎らしい症状もなく、心雑音もない。心電図と頭部CTは異常なし。

 朝から午前中までは何でもなく過ごしていて、ちゃんと食事もとっていた。血液培養2セットと尿培養を提出した。このfever work upの時に尿培養も出しているが、尿所見がまったく異常がない時は尿培養を中止したほうがいいのだろうか(いつもはそのまま提出)。

 上口唇がちょっと切れていて、全体的に上口唇が腫脹していた。別の手の切創で受診していた患者さんを整形外科医が診ていたので、ちょっと診てもらったが、顔面の骨折もないし、大丈夫と言われた。結局、発熱・炎症反応高値の原因は不明だったが、内科入院で点滴と抗菌薬で経過をみることにした。何らかの感染症と思うが、さて?

 「胃癌の京都分類」を読んでいる。あいまいだった慢性胃炎がちょっと科学的?になってきている。個々の所見は簡単だが、全体像がわかりにくい。

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先生、患者さんの足が腫れてます

2016年10月12日 | Weblog

 今日は内科再来を診ていた。午後は、他の先生にお願いする患者さんの紹介状を書いていた。神経内科の外来に通院している、多発性脳梗塞の88歳女性が高熱で受診した(嫁が連れてきた)。ふだんのADLは介助で室内歩行で、会話はできるが、発語には乏しいようだ。他のバイタルは問題ない。

 食事の時にむせるかどうか訊くと、むせることはあるという。ご本人に訊いても、高熱でボーッとしていて、よくわからない。胸部聴診では異常がなく、腹部は平坦・軟で圧痛はなかった。CVA tendernessはたぶんない。

 肺炎か尿路感染症だろうと判断されて、検査することにした。胸部X線で明らかな肺炎はないが、尿路系も見たいので胸腹部CTを撮影した。やはり肺炎はなく、腎周囲のdirty fat signもなかった。左腎臓内に嚢胞が複数個あった。胆嚢が腫脹しているようにも見えるので、腹部エコーも行ったが、胆嚢炎とはいえなかった。尿所見は白血球数10~19/HPFで細菌(3+)だから、まあ尿路感染症でいいのかと思った。

 点滴していた処置室の看護師さんに、「先生、患者さんの足が腫れてます」と言われた。履いてきた靴下を脱がせると、確かに右下腿の発赤・腫脹・熱感があった。把握痛があると思うが、患者さんは痛いとは言わなかった。関節痛はないようだ。白血球数18000、CRP5と上昇している。

 入院で、蜂窩織炎+尿路感染症として抗菌薬で治療することにした。急性腎盂腎炎+蜂窩織炎?、蜂窩織炎+膀胱炎?。CTを撮る時に検査着に着替えたので、その時に看護師さんが足の腫脹に気付いたようだ。指摘される前に、全身をちゃんと診ましょう。

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