なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

頭痛で迷走

2016年10月19日 | Weblog

 先週78歳女性が発熱で受診した。胸部X線・CTで斑状~線状が数か所にあるが、古い病変のように見える。尿混濁が軽度にあるが、急性腎盂腎炎と決めていいか迷う。炎症反応上昇があり、肺炎・尿路感染疑いとして、入院で経過をみることにした。

 入院後に解熱傾向となり、3日後の検査で血液検査・尿検査は改善してきた。そのまま抗菌薬を1週間か10日継続すればいいかと思っていたが、また熱が出てきた。今週の検査では炎症反応が上昇していた。感染症じゃない可能性も考えられた。

 そういえば、入院後から頭痛の訴えがあり、アセトアミノフェン内服を処方していた。そのうちに喘鳴が出現して、酸素飽和度が低下した。喘息の既往を訊くと、これまでも風邪症状があるときに喘鳴が出現していたそうだ。COPDはないので、喘息があるようだ。

 頭痛について詳しく訊くと、入院前1か月くらいからか始まったという話になった。左側頭動脈の部位が痛いという。右側には疼痛がない。圧痛があり、拍動は左右比較すると、差があった(左が弱い)。さらに、もともと片方の癌は角膜が混濁していて視力はないが、肉眼的には問題がないもう一方は最近視力が低下しているという。側頭動脈炎の症状だとすると、眼動脈の炎症で視力が低下している可能性があり、その日(すでに夕方だった)はプレドニン30mgを点滴静注した。

 翌日また頭痛と視力低下の話を訊くと、数年前からあるという話になった。側頭動脈炎疑いは怪しくなった。エコーで見てもらうと、左右の側動動脈に差がなく、内腔も問題なかった。ご本人も良くわからないようだが、外来処方に頭痛薬はないが、市販の頭痛薬を飲んでいたので、処方からも時期が特定できない。完全に否定もできず曖昧なままだ。

 喘鳴はまだ続いていたので、プレドニンは継続して、喘鳴が改善したら漸減中止にすることにした。この方はもともと糖尿病もあり、DPP4阻害薬とSU薬少量でHbA1c6.8%だった。数日プレドニンを使用したために、食前血糖が200~300mg/dlに上昇してしまった。

 感染症以外の発熱・炎症反応上昇の原因を考えつつ、喘息の症状を見つつ、血糖の調整をしつつ、ということになった。

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