なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

どの科でみるか

2012年03月09日 | Weblog
 80歳台女性。転倒して腰を打って、腰椎圧迫骨折で整形外科に入院した。ある程度腰痛が軽快したので、リハビリテーション科に転科となっていた。心窩部痛を訴えて消化器科で内視鏡検査をしたが、特に異常はなかった。NSAIDを内服していた経緯もあるので、PPIが処方された。しかし断続的な心窩部痛と食欲不振が継続していた。昨夜高熱が出て、血圧がふだんの120-140程度から90台になった。当直の脳外科医が抗生剤の点滴を出して、今朝は熱が下がってきていた。数日前から1日1000mlの点滴をしていたが、今日の検査で腎機能障害・肝機能障害・炎症反応上昇・電解質異常を認めた。
 リハビリ医と病院の廊下で会ったら、昨夜からの病状を聞かされて、診察を依頼された。胸部X線で肺炎はない。尿混濁があり、急性腎盂腎炎が疑われた。腹部エコーでは総胆管が拡張しているが、原因はわからない。両側腎には異常はない(尿路閉塞や膿瘍などなし)。
 採血分で腫瘍マーカーを測定してみるとCEAとCA19-9が高い。腎機能障害があり、朝からの尿量が少ないため、胸腹部CTを単純でとった。総胆管下部の胆管壁が厚くなっているが、不整はなく腫瘍とは言い切れない。結石はなかった。肝内胆管の拡張はなく、閉塞性黄疸と言っていいかどうかわからない。敗血症の時に肝機能障害を呈することがあるが、この場合は胆道系の問題のようだ。
 急性胆管炎として(急性腎盂腎炎も考慮)、点滴・抗生剤投与で治療することにした。高齢者なので、急激な輸液はできないが、まず500mlをやや早目に入れて尿量確保して持続点滴とする。朝も抗生剤が入っているので、培養は陰性にはる可能性が高いが、昼すぎの抗生剤投与の前に培養検査を出してみる。内科病棟に転室とした。
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