なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

いったい何だろう

2012年03月29日 | Weblog
 50歳台後半の男性。精神遅滞と肢体不自由があり、施設に入所している。四肢が拘縮していて、日常生活は全介助を要する。以前は胃潰瘍で入退院を繰り返していたが、胃酸分泌抑制薬がどんどん良くなってから、入院しなくなっていた。薬の進歩を体現しているような人だった。
 一昨日、朝から上腹部痛・嘔気・発熱が続いて、施設の職員が車椅子で連れてきた。下痢はしていない。簡単な会話は可能で、ある程度自覚症状を表現できて、腹部所見はとれた。上腹部正中に圧痛があるが、腹膜炎の所見はなし。採血すると炎症反応が軽度から中等度に上昇している。肝機能障害はなく、血清アミラーゼは正常域だった。腹部エコーは軽度の脂肪肝のみ。腹部CTでこれといった所見はない。虫垂炎でも結腸憩室炎でもない。胃の病変で発熱はないと思ったが、上部消化管内視鏡検査も行った。食道下端の粘膜が白濁していて軽度の食道炎の所見だが、胃・十二指腸は異常なかった。
 結局原因ははっきりしなかった。水様便があれば感染性胃腸炎といいたいところだが、とにかく下痢がない。入院して、点滴・抗生剤(投与の根拠はと言われると困るが)・PPI静注で経過をみていたが、今日は症状がほとんど消失していた。何だかわかわなくても治ればよしとするしかないようだ。
 外来や病棟の古い(失礼)看護師さんたちは、以前何度も入院していたこの患者さんをよく知っていた。看護師さんから「久しぶりだねえ」「前と比べると太ったねえ」などと声をかけられて、喜んでいた。

 80歳台前半の男性。重症の両側肺炎で入院して、きびしいと思われたが、肺炎は軽快治癒した。しかし認知症で嚥下できず、寝たきり状態になっている。やせて骨と皮になっている。よくこんな状態まで自宅でみていたものだと思う。座位にすると脳循環が低下して、反応がなくなり目をとじていしまう。夜間病棟看護師が見回ると、呼吸が止まっていないか心配になる。ほとんど老衰で、経管栄養にもなじまないだろうと判断された。家族で相談して、今後の対応策を選んでもらうことにした。
コメント
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