なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳梗塞

2024年02月24日 | 脳神経疾患

 先週午後8時過ぎに70歳代後半の女性が言語障害で救急外来を受診した。当直は腎臓内科の若い先生だった。家族の話では、日中と比べて呂律が回らないようで、内容がかみ合わずおかしいという。構語障害より失語が疑われた。

 頭部MRIを行うと左中大脳動脈(MCA)のM1で閉塞を認めた。ただ梗塞巣の描出はMCA領域の一部に留まっていた。FLAIRでも描出されるので、24時間は経過していたかもしれない。

 発症時間からみてt-PAや血栓回収療法の適応はないとして、入院として急性期の治療を最大限行っていた(脳神経内科でもそれ以上はないくらいの治療)。

 家族にはMCA領域全体に及ぶ可能性を伝えていた。なんとか梗塞域を少なくしたいと治療して、翌日の頭部CTでは変化がないように見えて、症状もあまり変わらなかった。

 

 しかし残念ながら、その後に右片麻痺の症状が出てしまった。病変がまだらに出ているので、(側副血行も含む)他の血管からの血流に依存しているのだろう。

 座位保持しての食事摂取はできるが、失語症で会話が成立しない。受診時の症状が閉塞部の割に比較的軽度だったので、残念がっていた。MRAの結果からは予想された梗塞巣ではある。

 

 血栓回収療法は条件はあるらしいが、適応拡大で24時間以内にはなるようだ。それでも適応がないかもしれないが。

 脳血栓症は発症後に症状が進行することがあるので、急性期は(症状の軽度なラクナ梗塞以外)脳神経内科か脳外科に搬送して、責任を押し付けるようにしています、と答えた。

 急性期が終わってからリハビリで引き受けるのがいいが、入院の逼迫で(特に80歳代後半以降だと)なかなか受けてもらえないことがある。とりあえず、3か所くらいの高次医療機関には当ってみる。

 

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