なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

退院基準

2020年07月28日 | Weblog

 県内で新型コロナウイルス感染症患者が数名ずつ出ている。当院には今日も軽症の入院依頼があった。患者さんは35歳男性で、濃厚接触歴はなかった。(住所は当院の診療圏外)

 10日前に発熱・倦怠感があった。下痢もあって、近医で整腸剤を処方されていた。発症3日目には解熱して、倦怠感・下痢も治まった。ところが、5日目から嗅覚障害が出現した。子供のうんちの臭いがわからなかったという。

 受診したクリニックに電話で相談したところ、新型コロナウイルスのPCR検査をするよう保健所に依頼された。8日目にPCR検査が行われて、翌日陽性と判明した。

 発症10日目に当院に入院したことになる。一昨日には嗅覚障害も消失して、特に症状はなかった。病室で話を訊くと、小さいこどもがいるので早く退院したい、と言われた。そうはいっても、濃厚接触者として今日家族のPCR検査が行われている。その結果もみないと決められない。

 有症状者の退院基準は、「発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合、退院可能とする」になる。症状軽快というのは、「解熱剤を使用せずに解熱しており、呼吸器症状が改善傾向である場合をいう」なので、すでに症状軽快後72時間以上は経過している。(PCR検査をする場合は、「症状軽快後24時間経過した後、24時間以上間隔をあけ、2回のPCR検査で陰性を確認できれば、退院可能」になる)

 期間計算のイメージ図には、発症日から10日経過して、その後に症状が軽快した場合しか載っていない。10日経過する前に症状が軽快した場合はどうするのか。10日目で退院にしていいのだろうか。

 あまり早く帰しても問題になりそうなので、本日症状軽快として、3日後に退院にすることにした。本人もそれくらいならいいという。

 やりすぎかもしれないが、入院の場合は胸部CTと血液検査をすることにしている。なにしろ第1例目が、入院後すぐに酸素飽和度が低下して、そのまま大学病院に救急搬送・人工呼吸器管理になった。ちょうど発症から7日目の症例だった。(無事に退院された)

 今回は呼吸器症状は目立たないが、胸部CTでは胸膜下に淡い陰影がわずかにあるように見える。7日から10日目に重症化が始まるので、時期的に大丈夫だとは思う。血液検査は正常域だった(白血球数の正常下限は意味があるかもしれない)。

 

 当院は、このくらいの一定の日数が経過して退院するまで預かるという程度の入院が向いている。症状や酸素飽和度を確認するという病院機能は行うが、実質的にはホテル〇〇(病院名)?。

 軽症ばかりではなく、酸素吸入を要するような中等症まで対応することにはなっている。そうなると7日から10日目の重症化を見極めることになり、ひやひやしながら診ることになる。重症化した時は大学病院に搬送していいことになっているので、その点では安心しているが。

 

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