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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

AST活動

2020年07月16日 | Weblog

 抗菌薬適正使用加算をとるために、抗菌薬適正使用チーム(antimicrobial stewardship team:AST)を立ち上げている。

 といっても、感染症専門医も呼吸器専門医もいない病院なので、外部の専門医の指導を受けながら、見よう見まねでやっているのが現状だ。

 特定抗菌薬使用としてカルバペネム系と抗MRSA薬を届け出制にしているので、それらの抗菌薬が使用されると薬剤師から報告がくる。また検査室から血液培養が陽性だった、大腸菌ESBLなどが検出されたと報告がくると、これに対して担当医がどのように治療しているかを確認している。

 週1回診療応援に来ている感染症専門医に確認してもらって、アドバイスをASTとして患者さんの画面に記事入力(要は普通のカルテ記載)していた。少なくとも週1回は、活動実績を記載しなければならない。

 治療に参加して責任を持つというわけではなく、あくまでアドバイスになる。したがって、「お勧めします」・「可能ならば」という表現にして、担当医の気分を害さないように配慮している。

 医局会で、「加算のために(正しくは診療向上のためだが、そこは伏せて)ASTとしてカルテ上にコメントを入れさせていただきます。よかったら参考にして下さい。」と説明している。

 

 今週の月曜日に、循環器科の先生から尿路感染症の治療についてアドバイスを求められた。たまにしかないことなので、ここは丁重?に対応する。

 心房細動・心不全の89歳男性が、心不全の増悪で5月半ばに循環器科に入院していた。心不全自体はそれなりに軽快している。泌尿器科で前立腺癌・骨転移の治療(ホルモン療法)を受けていた。

 尿カテーテルが留置されていて(尿閉)、無熱時に提出されて尿培養で、大腸菌ESBL・Providencia rettgeri・MRSEが検出されていた。当院では留置カテーテル尿からの尿培養提出は尿カテーテルの途中のところから提出されることが多い。正確には尿バック内の菌になる。

 今回は38℃台の発熱があり、尿路感染症だと思うが、抗菌薬はどれを使ったらいいか、ということだった。肺炎はないようで、他の発熱を来すような疾患も(たぶん)ない。発熱以外のバイタルは安定している。

 

 ASTのコメントとして、「尿路感染症の可能性があります。留置尿カテーテル挿入中のため(カテーテル内・バック内には定着菌あり)、現在の尿カテーテルを抜去して、新規に挿入したカテーテルからの尿(膀胱内の尿)の培養提出をお勧めします。

 尿路感染症は除外診断のため、可能であれば、血液培養2セット提出など他の発熱を来す疾患の検索をお願いします。

 前回の尿培養の結果を参考にすると、大腸菌ESBLが検出されており、カルバペネム(メロペネム)で開始して、培養結果での抗菌薬調整もやむを得ないと思います。MRSEは定着菌と判断され、早急なVCM併用は不要と判断されます。」とした。

 

 メロペネム開始で解熱して、炎症反応も軽快していた。提出した尿培養からは、大腸菌ESBL・Providencia rettgeriが検出されていた。大腸菌ESBLをセフメタゾールで治療するとかっこいいのかもしれないが、そこまでは言えない(自分の患者さんならやってみるが)。

 感染管理加算や抗菌薬適正使用加算をとるような病院でもないが、まあとれなくなるまで頑張ってみよう、とチーム内で話した。(市内の私立病院は感染管理加算が認められなくなったそうだ)

 

  

 

 

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