なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性腎盂腎炎のはずが

2020年07月23日 | Weblog

 腎臓内科医(大学病院から4か月交代で来ている)が当直の時に、発熱の75歳女性を入院させていた。肺炎像はなく、尿混濁を認めたことから急性腎盂腎炎としていた。

 内科当番だった内科の若い先生が担当となって、入院時から投与されたセフトリアキソンを継続していた。尿所見は改善して(WBC50-99/HPFから1-4/HPFで細菌は陰性化)いた。

 ところが発熱が続いて、白血球11100・CRP16.5が白血球9900・CRP12.0と、軽減しているといえばしているが微妙な値だった。

 入院時の尿培養は、グラム染色でグラム陽性球菌(+)・グラム陰性桿菌(+)で培養では黄色ブドウ球菌(MSSA)が検出された。尿培養の黄色ブドウ球菌検出は、コンタミでなければ、菌血症からの尿に出たことになる。

 血液培養セット提出(入院時に提出されなかったので、セフトリアキソン投与中)を提出したり、心エコー検査を追加したりしていた。血液培養は陰性で、心エコー(経胸壁)で明らかな疣贅はなかった。

 

 2週間経過した今週の月曜日に相談された。前に尿路感染症と思っていたら、リウマチ性多発筋痛症(PMR)という高齢女性がいたので、今回はどうでしょうかと言われた。

 病室に患者さんを診に行った。関節痛・筋肉痛はなく、関節炎・筋炎ではない。結晶誘発性関節炎(偽痛風)が併発したのでもない。リウマチ性は多発筋痛症らしくはない。

 入院時に肝機能検査は正常域だったが、抗菌薬開始後に軽度の障害(AST 46・ALT 67・LDH 187・ALP 345・γ-GTP 60)を来していた。セフトリアキソンの薬剤熱を疑って、休止して経過をみてもらうことにした。

 セフトリアキソンをやめた日に一時的に39℃になったが、その後は36~37℃前半で経過している。連休になるので、やめた2日後に血液検査を行った。白血球8800・CRP9.9と悪化はしていない。

 1日抗菌薬を中止して、翌日に血液培養2セットを提出した。造影CT検査を行ったが、肝膿瘍・腎膿瘍などの膿瘍性病変はなかった。少なくとも、CTでわかるような血管炎もない。(造影CTは入院させた腎臓内科医が責任を感じて?オーダーしていた)

 追加で検査してもらった血沈は116mm/時だった。多発性骨髄腫らしい血清蛋白像はなく、症状はPMRらしくない。何か疾患が隠れているようだが確定できない。

 若い先生は連休明けまでは抗菌薬なしで経過をみることにしていて、全身状態は悪くないので方針はそれでいいと思うが、さてどうなるか。

 

 

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