膵性糖尿病で通院している79歳男性はここ数か月血糖コントロールが不良になってきた。今日はHbA1cが10%になっていた。明日から糖尿病教育入院とした。インスリン強化療法(持効型は少量)にしているので、インスリン量の調整になる。
この患者さんは、アルコール性慢性膵炎にまつわる様々な疾患を併発した。アルコール性急性膵炎で2回入院した後に、肺血栓塞栓症になった。それが軽快してから、今度は主膵管狭窄で食事摂取のみで膵炎を起こすようになった。大学病院消化器科に転院して、結局大学病院外科で慢性膵炎の手術(膵頭部核出+膵管空側側吻合術)を受けた。さらにその後、門脈血栓症、脾動脈瘤の仮性嚢胞内出血もあった。大学病院外科に通院していたが、膵性糖尿病になって当院に戻ってきた。
数年前からやめていた飲酒を再開していて、何度言ってもやめる気はなかった。膵管のドレナージが効いているせいか、膵外分泌組織が膵炎を起こすほど残っていないのか、腹痛などはなかった。お酒のことを奥さんに言わて飲酒量の増減があるため、γ-GTPの数値は上がったり下がったりと変化したが、正常にはならない。
アルコール性慢性膵炎の様々な合併症を見せてくれたという点で貴重な症例ではあるが、最後に膵癌というのは見たくない。