なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

腸球菌か

2012年04月09日 | Weblog
 80歳後半の女性。土曜日の日中いったん解熱したかにみえたが、日曜日にはまた37℃台後半の発熱があった。今日血液と尿検査を出していたが、改善していなかった。尿培養で腸球菌Enterococcus faeciumが検出された。感受性のある抗菌薬はバンコマイシンン、テイコプラニン、リネゾリドだけ。さっそく抗生剤をバンコマイシンに変更した。高齢なので0.5gを1日2回12時間おきとした。当院でEnterococcus faeciumは珍しい。

 80歳台前半の女性。3年前に内科開業医から当院に胸部CT検査の依頼があり、両側肺に気腫性変化を認める(肺気腫)と放射線科医のレポートが出ていた。喫煙歴はない。夫が20年前まで喫煙していた。労作時に息切れと喘鳴があったそうだ。当院の神経内科でアルツハイマー型老年期認知症の処方を受けていた。
 今回は肺炎と喘息症状で入院して、肺炎は治った。肺炎球菌肺炎だった。しかし喘息症状が軽快と悪化を繰り返して、なかなか治らない。かろうじて吸入ステロイドは使える。ステロイドを漸減するとすぐ悪くなる。胸部X線で新たな肺炎はなかった。再度抗生剤も使用したが、感染の影響ははっきりしない。週末調子が悪く、ステロイド中等量から漸減としていたが、昨日悪化して必要時指示のステロイド点滴静注が追加になっていた。認知症の症状も喘息症状の悪化によって悪化する。精神的に不安定で、日中付き添っていた夫が帰宅した後や病室の隣のベットにいる患者さんのことで興奮すると、喘息症状が悪化する。安定剤を少量処方に入れている。気管支拡張剤を重ねて使用しながら、短期間のステロイドの比較的大量投与からゆっくりと漸減するしかないが、どこまで持ちこたえられるかわかなくなってきた。

 私は当番ではなかったが、この週末には高齢者の誤嚥性肺炎や脳梗塞が入院していた。脳梗塞のうちの1名は心房細動があり、心腔内血栓が飛んだもので(心原性脳塞栓)、中大脳動脈領域に大小3か所の梗塞をきたしていた。日曜日には出血性胃潰瘍の高齢者が救急搬入されて、消化器科医が内視鏡的止血術をしていた。私が外来で診ている結腸癌肝転移の患者さんも腰椎圧迫骨折で外科に入院していた。
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