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エリザベト音楽大学 サクソフォンラージアンサンブル 第22回定期演奏会

2020-11-02 10:46:58 | コンサート、演奏会


昨年の2月11日、広島県広島市のエリザベト音楽大学に「サクソフォンラージアンサンブル 第22回定期演奏会」を聴きに行きました。
サクソフォンは「サックス」という愛称で親しまれる管楽器で、オーケストラで馴染み深いヴァイオリンやフルート、クラリネットのような楽器に比べると登場は遅く、1840年頃にベルギー人のアドルフ・サックスによって発明されました。
そのためクラシックコンサートでオーケストラの編成に入ることや、サクソフォン用のクラシック系の曲もありますが、ジャズやポップスで演奏されることもよくあり、独自の立ち位置を持つ楽器です。
その音色は柔らかく、この演奏会でも華麗に響き渡っていました




瀬戸内を中心に活動するアイドルグループSTU48の瀧野由美子さん(サクソフォン演奏が得意なアイドルとして知られている)も、かつてエリザベト音楽大学サクソフォンラージアンサンブルで活動していました。
第20回定期演奏会の出演者欄には当時1年生だった瀧野由美子さんの名前が載っています。
音楽大学の出身であり、音楽センスはアイドルの中でもトップクラスなのではと思います。



1.組曲ト長調「ドン・キホーテのブルレスケ」

作曲:G.F.テレマン
編曲:金本 理久
指揮:宗貞 啓二



(指揮者登場前。)

サクソフォン用に編曲されたものを楽章を抜粋して演奏しました。
この曲はパーカッション(打楽器)やコントラバス(オーケストラでは低音で音の土台を作っている)は登場せず、完全にサクソフォンだけでの演奏でした。




(指揮者の宗貞啓二さんが登場し、演奏が始まります。)

明るく壮大な演奏で始まり、スキップしているかのようでした。
スピードが速く滑らかで滑り台を滑っていくような演奏だとも思いました。
ドラマチックな音色もありました。

高音でのゆったりした演奏になります。
「ターラー」という特徴的な音色がよくあったのが印象的でした。
それぞれを別の人が吹いて呼応する形で、「タタタタタタ」→「ターラー」という演奏もあり、全く違う音色同士での呼応は良いアクセントになっていたと思います。

この曲は演奏布陣の真ん中にソプラノサクソフォンがいて、後半その音が目立つ場面がありました。
高くゆったりとした音で、そのソプラノサクソフォンを周りが支える演奏をしていました。



2.アランフェス協奏曲

作曲:J.ロドリーゴ
指揮・編曲:宗貞 啓二
ギター:上垣内 寿光



(演奏前。今回はパーカッションとコントラバスもいます。)




(向かって左側のチューニング(演奏前の音の調整)。アルトサクソフォンがいます。パーカッションは他の演奏会でも良い演奏をしていた安倍聖人さんという方です。)




(向かって右側のチューニング。テナーサクソフォン、バリトンサクソフォン、バスサクソフォン(低音になるにつれ、楽器が大きくなる)がいます。)




(真ん中のチューニング。ソプラノサクソフォンがいます。
サクソフォンだけでソプラノからバスまで音域を網羅していて、オーケストラのような音に厚みのある演奏が可能になります。
また、右から5人目の進正裕さんは学部生として最後の定期演奏会でした。)




(ギターソリストの上垣内(かみがいち)寿光さん登場。
ギター協奏曲の生演奏はこの時初めて聴き、とても興味深かったです。)


第1楽章
ギターの明るい演奏で始まりました。
サクソフォンも始まり、どんどん力強くなり、明るく伸びがありました。
南の島が思い浮かぶようなギターの演奏があり、陽気さが良かったです
パーカッションの鉄琴だったと思いますがその音が良かったのも印象的でした。
やがて全体がドラマチックな音色になり凄く良かったです


第2楽章
ギターの物悲しそうな演奏で始まりました。
4年生の進正裕さんのソプラノサクソフォンのソロ演奏も入り、こちらも物悲しそうでどことなく必殺仕事人のテーマの冒頭が思い浮かぶようなメロディでした。
ギターと進正裕さんが物悲しそうな演奏をし、他のサクソフォンがやはり物悲しそうな音色で支えていました。

全体が力強く、凄く悲しい雰囲気になりました。
「タララー タララーララ ラララー」のメロディが形を変えながら繰り返されました。
ギター独奏の場面もあり、物悲しさと迫力を併せ持った音色が良かったです。
ギターが止まっている中でタララーのメロディをサクソフォン全体が一斉に力強く演奏する場面もあり、こちらも迫力の中にやはり物悲しさがあって良い音色でした。


第3楽章
ギターの明るく軽やかな演奏で始まり、サクソフォンも同じく明るく軽やかな全体演奏で続きました。
第3楽章はとてもリズミカルな演奏なのが印象的で、最後まで明るくリズミカルでした




(演奏終了時。)




(ギターソリストの上垣内寿光さんと指揮者の宗貞啓二さんが花束を貰っています。)



3.バレエ音楽「恋は魔術師」

作曲:M.de.ファリャ
編曲:宗貞 啓二
指揮:大森 義基
メゾソプラノ:山口 水蛍

指揮者の大森義基さんは「一楽章f未完成 I LOVE MELODY SAXOPHONE LIVE」でサクソフォン演奏を聴いたことがあり、非常に上手かったです。




(演奏前。ソプラノサクソフォンが向かって左側になり、布陣が変わりました。)




(演奏前。3曲目はピアノ(室川桃子さん)が登場しました。)




(演奏前。メゾソプラノ(ソプラノの次に高い声域)のソリスト、山口水蛍さんも登場しました。)

凄く力強い演奏で曲が始まり、そこからコントラバスの不気味な演奏だけになり、そこにサクソフォンも不気味な演奏で入って行きました。
全体が不気味な雰囲気で、そのまま力強くなります。
進正裕さんのソプラノサクソフォン演奏が目立っていて、この曲では何度も目立つ場面がありました。
ソリストの山口水蛍さんが歌う場面になり、聴けば引きつけられる良い歌声だと思いました。
長い曲でもあり、歌う時は椅子から立ち歌い終わったら座ります。

ピアノがピッチカート(ヴァイオリンなどの弦を指でポロンポロンと弾く演奏)のような演奏をしていたのが印象的でした。
ピアノとサクソフォンが呼応し、ピアノが「タン」、サクソフォンが「ボボーウ」という演奏を繰り返していました。
ある章ではサクソフォンの不気味な演奏で始まり、進正裕さんのソプラノサクソフォンがそれとは違う音色で入っていました。

全体がどこか不気味でミステリアスで探検でもしているように感じる場面もありました。
「火祭りの踊り」という多くの人がどこかで聴いたことがあるようなメロディの章では、「ターターターター タータター」というメロディの演奏が凄く良かったです。

終盤、山口水蛍さんが歌い終わると全体が演奏するのが繰り返されました。
歌の迫力が増し、響きが凄く良く、空気が揺れているように感じました。
最後は全体が力強くなり、鐘の音のパーカッションが印象的で、祝福しているようで感動的でした




(花束を貰うソリストの山口水蛍さんと指揮者の大森義基さん。)




(二人が退場しても鳴りやまない拍手。)




(二人が再登場し、ソリストありでのアンコールが演奏されました。)

曲名は分かりませんでしたが3曲目の余韻に浸るようなゆったりとした雰囲気でした。
歌、ピアノ、パーカッションが目立ち、サクソフォンは穏やかに演奏していました。




(演奏後、4年生の進正裕さんが間もなく卒業と紹介がありました。)




(花束を受け取る進正裕さん。渡しているのは1年後に「エリザベト音楽大学 2019年度卒業演奏会」に登場することになる廣本穂乃さんという方です。)




(花束を持ち客席に礼をする進正裕さん。)




(卒業の挨拶をする進正裕さん。)




ギターソリストの上垣内寿光さんがもう一度登場し、全体で2回目のアンコール演奏をしました。
タンゴのような雰囲気で始まり、カスタネットのパーカッションが印象的でした。
凄くゆったりとした演奏で音色が綺麗で安らぎました。
ここでも進正裕さんのソプラノサクソフォンが目立っていました。


3回目のアンコールもありました。
2018年秋にクラシックなどの演奏会を聴き始めてから、こんなにアンコールがあったのは初めてでした
凄く速い曲で明るい気持ちになりました




(最後のアンコールを終え、感動的な雰囲気で演奏会が終わりました。)


ラージアンサンブルという形でのサクソフォン演奏はこの時初めて聴き、まるでオーケストラのようで良いものだと思いました。
この演奏会にはとても素敵な演奏会として印象に残った「Trio Riviere(トリオリヴィエール)」のうち2人(進正裕さん、安倍聖人さん)が登場し、どちらも上手い人だと分かっていたので気持ちが盛り上がりました。
そして送り出される4年生にたくさんの見せ場と挨拶の場が用意され温かく送り出されたのを見て、良い活動団体だと思いました。
今年開催された第23回定期演奏会も聴きに行っていて、これからもぜひ聴いてみたいと思います



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2019年2月時点

指揮者紹介

宗貞啓二
サクソフォンを水野昱子、石渡悠史、故大室勇一の各氏に師事し、1975年国立音楽大学を武岡賞を受賞し卒業。
同年読売新人演奏会、皇居内桃華楽堂新人演奏会に出演。
在学中、第42回毎日音楽コンクール第1位入賞。
1976年渡仏、フランス国立ボルドー音楽院にてサクソフォンをJ.M.ロンデックス氏に、室内楽をR.ペレ氏に師事、いずれも一等賞を得て卒業。
ボルドー市栄誉賞を受ける。
現在、エリザベト音楽大学、洗足学園音楽大学の各講師。


大森義基
1991年昭和音楽大学を特別賞を受賞し卒業。
在学中に第7回日本管打楽器コンクール入賞。
1992年渡仏、翌年パリ・レオポールベランコンクール第1位入賞。
1994年パリ国際音楽コンクール第2位及び審査員特別賞受賞。
同年、フランス国立セルジーポントワーズ音楽院を審査員全員1位の主席で卒業。
これまでにソロアルバム「ヴァカンス」「ア・ラ・パリジェンヌ」「ミント」「ナイチンゲールとバラ」をリリース。
サクソフォンを市川豊、故大室勇一、宗貞啓二、ジャン=イヴ=フルモーの各氏に支持する。
現在昭和音楽大学、エリザベト音楽大学、桜美林大学芸術文化学群音楽専修の各講師。


ソリスト紹介

上垣内 寿光
エリザベト音楽大学を飛び級し大学院修了。
その後、広島中村奨学金を得て渡独。
ドイツ国立カールスルーエ音楽大学卒業、ディプロマ取得。
ドイツ国立ワイマール・リスト音楽院、演奏家課程修了。
名古屋ギターコンクール優勝、大阪ギター音楽大賞最優秀賞、九州ギターコンクール第2位(1位なし)、山陰ギターコンクール第2位(1位なし)、日本ギターコンクール第3位、2004年度イタリア・ガルニャーノ国際ギターコンクールファイナリスト、2007年度第22回イタリア・ロベレドーロ国際音楽コンクールギター部門第2位(1位なし)など数々のコンクールに入賞。
第149回日本演奏連盟新人演奏会にて広島交響楽団と共演。
日本をはじめドイツ、イタリア、スイスなどヨーロッパのみならず韓国、中国、インドなどアジアでも演奏活動を展開する。
現在エリザベト音楽大学で教鞭をとる傍ら、卓越したプロ演奏家をあらゆるシーンにコーディネートする(株)クライスミュージックエンターテインメントの代表取締役も務める。


山口水蛍
エリザベト音楽大学声楽専攻卒業、同大学院修士課程を主席、総代にて修了。
声楽を長崎美穂子、桂政子の各氏に師事。
同大学在学中に専門課目奨励賞および学長表彰を受賞。
卒業演奏会出演。
第24回エリザベト音楽大学大学院新人演奏会出演。
第5回東京国際声楽コンクール 大学生部門第1位 東京新聞賞受賞。
平成25年度後期はつかいちさくら賞受賞。
第19回さくらぴあ新人コンクール第1位 さくらぴあ大賞受賞。
新進演奏家育成プロジェクト第22回広島オーケストラ・シリーズオーディション合格、広島交響楽団と共演。
これまでにオペラ「リータ」リータ役、「椿姫」アンニーナ役などで出演。
現在、合唱団の歌唱指導や指揮、またオペラやミュージカルの舞台などで音楽の魅力を伝える活動を行っている。


エリザベト音楽大学サクソフォン・ラージアンサンブル

学部生4年 進 正裕
学部生3年 岡田 咲姫  金本 理久  桐本 萌絵  坂本 さくら  谷本 百衣  廣本 穂乃
学部生2年 梅本 舜也
学部生1年 田中 啓悟  廣瀬 奏一朗
ピアノ 室川 桃子
コントラバス 能見 義史
パーカッション 小川 裕雅  安倍 聖人

賛助出演 宮田 麻美  加藤 和也  前田 悠貴  平井 千香子  福田 ひとみ  山本 愛子  宇津 優輔  森山 葵  柳瀬 萌  増田 結子  小田 桃子  李 愛梨

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