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エリザベト音楽大学 「Trio Riviere ~トリオ リヴィエール~」コンサート

2018-12-28 17:22:17 | コンサート、演奏会


(写真左からファゴットの砂奥亜衣さん(愛知県立芸術大学4年)、サクソフォンの杉本澪さん(愛知県立芸術大学4年)、サクソフォンの進正裕さん(エリザベト音楽大学4年)、ピアノの若狭南美さん(エリザベト音楽大学4年)、パーカッションの安倍聖人(まさと)さん(エリザベト音楽大学4年))

12月26日は広島県広島市のエリザベト音楽大学ザビエルホールに「Trio Riviere ~トリオ リヴィエール~」というコンサートを聴きに行きました。

こんなに悲しさを感じるコンサートは初めてでした。
音楽を志しやってきた人が大学卒業と同時にそこから離れるのが分かったことによるものでした。
5人の中で若狭南美さんと砂奥亜衣さんがその進路になるとのことでした。
そして「美しさ」を強く感じるコンサートでもありました。

若狭南美さんは「今日のコンサートは忘れられない時間」と言っていました。
音楽から離れる決断をしても、今日この時間は音楽とともにあり最高の晴れ舞台だというのを噛み締めていたのだと思います。
それが「美しさ」となってこちらに伝わってきたのだと思います。



-------------------- エリザベト音楽大学 「Trio Riviere ~トリオ リヴィエール~」コンサート --------------------



(3曲目演奏時)

1曲目は「P.M.デュボア/パリジェンヌ風に」で、この曲には間に合いませんでした。

2曲目の「E.モリコーネ/ガブリエルズ・オーボエ」から聴くことができました。
サクソフォン(サックス)とマリンバによる演奏で、マリンバのゆったりした演奏で始まりました。
サックスが始まり、ゆったりとしてすごく高い音で綺麗な音色でした。
マリンバの独奏があり、この楽器はとても奥行きを感じる音を出すのが改めてよく分かりました。
サクソフォンの演奏も始まりこの音が凄く綺麗でした。
高くて安らぐ音色でした。




(3曲目演奏前に安倍聖人さんトーク中)

3曲目は「L.アンダーソン/フィドルファドル」でした。




(3曲目演奏後若狭南美さんトーク中)

演奏はピアノとマリンバで行われ、リズムの良い始まりでスピードも速かったです。
ピアノもマリンバも「タンタンタタタン」という演奏を何度も繰り返し、そのリズムもかなり良かったです
一度やや下がったスピードがまた上がり、その後は最後まで速くて駆け抜けるようなスピード感が印象的な曲でした。




トークの間に次の曲に向けてセッティングしているところです。
演奏者もセッティングに加わって活発に動いていました。




(サクソフォンの杉本澪さん演奏前にトーク中)

4曲目は「A.ピアソラ/ブエノスアイレスの冬」でした。
ここで初めて5人全員での演奏になりました。




(4曲目演奏前、5人で音慣らししているところ)

荘厳な始まりでした。
演奏前のトークで言っていたとおり、タンゴの雰囲気になります。
ピアノのソロがあり情感たっぷりな音色を響かせていました。
一気に激しい全体演奏になります。

ファゴットが目立つ場面があり、これまでファゴットが目立つ場面はあまり見たことがなかったので演奏を聴いて深みのある音なのがよく分かりました。
杉本澪さんと進正裕さんのサクソフォンがそれぞれ目立つ場面もあり、二人とも高い音を響かせていましたが進正裕さんの方は力強く響かせてもいて、同じような高い音でも力強さの違いによって聴こえ方も変わります。
全体演奏はゆったりする時とタンゴのような情熱的な雰囲気になる時がありその緩急が印象的でした。

4曲目で第一部が終わり、15分休憩して第二部になりました。




(5曲目演奏前。進正裕さんトーク中)

5曲目は「J.ハルヴォルセン編曲/ヘンデルの主題によるパッサカリア」でした。
演奏前のトークで進正裕さんがサクソフォンは息を使う楽器なので長く息を吹く時は工夫しないといけないと言っていました。




(5曲目演奏前。杉本澪さんトーク中)

進正裕さんのソプラノサクソフォンと杉本澪さんのバリトンサクソフォンによって演奏され、ややゆったり目で陽気な雰囲気の演奏で始まります。
そこからさらに陽気で明るくなりスピードも速くなります。
細かく刻むように音を出し続ける場面があり、演奏前のトークで言っていたとおりこういった場面では工夫が必要だと思います。

ゆったりした演奏になり、高い音での穏やかで安らぐ音色でした。
杉本澪さんのサクソフォンが低い音でその音色をしっかり支えていて両方合わさった時の音の奥行きの深さを感じました。
最後は速いスピードで刻む音を演奏し、そこからゆったり目の演奏に変わって終わりました。




(6曲目演奏前。砂奥亜衣さんトーク中)

6曲目は「W.A.モーツァルト/ファゴットとチェロのためのソナタ 変ロ長調K.292」でした。

この曲の演奏前に杉本澪さんが、愛知県在住の自身達がなぜこのコンサートに出演したのかを話しました。
今年の第24回浜松国際管楽器アカデミー&フェスティバルで杉本澪さんと進正裕さんが意気投合し、進正裕さんが「今度コンサートをやるからゲストで出てみない?」とお誘いしたとのことです。
またファゴットの砂奥亜衣さんは高校が若狭南美さんと同じとのことです。

この曲は第三楽章まであり、第一楽章の冒頭、低い音ですが陽気な雰囲気だったのが印象的でした。
演奏はファゴットとバリトンサクソフォンで行われ、どちらも低くて深みのある音でバリトンサクソフォンはより低くより深い音でした。
そして第一楽章はとても優しい音色なのが印象的でした。

第二楽章も優しい雰囲気で始まりゆったりとしていました。
楽器の持つ音色と曲のメロディがよく合っていると思いました。

第三楽章は陽気な雰囲気で始まりました。
そしてとても優雅で気品のあるメロディで、低めの音でも魅力的なのがよく分かりました。




(7曲目演奏前。若狭南美さんトーク中)

7曲目は「G.ピエルネ/演奏会用独奏曲 作品35」でした。

この曲は若狭南美さんと砂奥亜衣さんの二人で演奏しました。
若狭南美さんが演奏前のトークで二人とも広島市の安田女子高校だったと言っていて、つい先日
「安田女子中学高等学校 第8回復興支援チャリティーコンサート」の記事を書いたばかりだったのでこれは驚きました。
二人は高2で同じクラスになり仲良くなり、高3では別のクラスになりましたが毎日手紙を交換するほど仲良しだったとのことです。
この時に若狭南美さんが二人とも大学卒業と同時に音楽から離れると言い、今日のコンサートは忘れられない時間だと言いました。

曲は力強さを感じる始まりでした。
ピアノもファゴットも独奏がありどちらも情感たっぷりでした。
そしてどちらもとても力強く、引き込まれる音色でした。




(8曲目演奏前。進正裕さんトーク中。)

8曲目は「吉松隆/サイバーバード協奏曲」でした。




進正裕さんがトークしている間にドラムセットの準備をしていました。

進正裕さんが今回のコンサートは6月頃に企画し始めたと言い、若狭南美さんが「三人で何かやろうよ」と言ったのが始まりだったと言っていました。
私はこれを聞いてコンサートをしようと思ったらそんなに前から準備しないといけないのかと驚きました。
どんな曲を演奏するかの検討から始め、チケットやプログラムの作成や本番に向けて稽古して完成度を上げるにはそれくらい前から準備しないと間に合わないのかも知れないと思いました。




そしてついにプログラムの最後となる8曲目の演奏になりました。

曲はサクソフォンのために書かれた曲で、世界で高い評価を受けているとのことです。
サイバーバードは電脳空間にいる鳥のことで、第三楽章まであり、第一楽章は彩(あや)の鳥、第二楽章は悲(ひ)の鳥、第三楽章は風の鳥と名付けられています。
第二楽章を書いている時に吉松隆さんの妹さんが亡くなったというのが印象的でした。

演奏は進正裕さん、安倍聖人さん、若狭南美さんの三人で行われ、コンサート名にもなっている「トリオ」での演奏でした
第一楽章はサクソフォンは力強く、ピアノは不穏な響きで始まりました。
ピアノとサクソフォンが交互に演奏して呼応し、やがてパーカッションも本格的に始まります。
ピアノとサクソフォンが呼応した直後にマラカスで音色に節を付けていたのが印象的でした。

途中で迫力が凄くなり、やがて音がほとんどなくなります。
ピアノがとてもゆっくりと始まります。
サクソフォンが続き、高い音でとてももの悲しい雰囲気の演奏をしていました。
ピアノは静かに演奏しサクソフォンのもの悲しさに寄り添っていました。
最後、サクソフォンの演奏がとても力強くなり、高い音で迫力が凄くて引かれました。

第二楽章と第三楽章は切れ目がなく続けて演奏していました。
低音のピアノと高音のサクソフォン、マラカスで始まりました。
パーカッションはドラムを叩くようになり、ピアノとサクソフォンは迫力がありました。
ピアノは重みのある音色が凄く、サクソフォンの高音も迫力が凄かったです。

ピアノとパーカッションでの演奏になり、情感がかなり出ていました。
ピアノの独奏になり凄い速さでポロロロロと弾いていました。
サクソフォンも独奏がありこちらも速い演奏でした。
ドラムを叩く時の迫力が凄まじい場面もあり、それぞれの演奏者が順番に目立っていました。

サクソフォンが迫力ある演奏をしている時に凄く上手いと感じ引かれました。
最後は最大音量での物凄い演奏になりました。


アンコールは小田和正さんの「ラブ・ストーリーは突然に」でした。
安倍聖人さんの「ワンツー」の掛け声で演奏が始まりました。
一番有名な部分のメロディで特に気持ちが盛り上がり、良いアンコール曲と演奏ぶりだと思いました。


「忘れられない時間」「大学卒業と同時に音楽から離れる」「このメンバーで演奏するのは今日が最後」といった言葉が印象的で、「万感の思い」という言葉がピッタリのコンサートでした。
そしてとても美しいコンサートでした。
コンサートの時間、5人の方々はとても格好良く、強烈に輝いていて、この時間がもっと続いてほしいと思いました。
音楽を続けることを選ぶ人も、離れることを選ぶ人も、このコンサートは忘れられない思い出として、ずっと胸に残っていくのではと思います


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演奏者プロフィール


安倍聖人

1996年生まれ、広島県出身。
12歳より打楽器を始める。
現在エリザベト音楽大学に所属し、アンサンブルやオーケストラ等にも精力的に取り組む。
昨年度はエリザベト音楽大学オーケストラのティンパニストとしてハノーヴァー、ベルリンでの演奏会に出演。
打楽器を渡辺由美子、白石幸弘、小川裕雅、神谷百子の各氏に師事。


進正裕

1996年生まれ。
島根県浜田市出身。
3歳よりピアノ、12歳よりサクソフォンを始める。
現在はエリザベト音楽大学4年に在学し、日々サクソフォンの研鑽に励む。
サクソフォンを杉本孝一、山本京子、正田桂悟、大森義基の各氏に、室内楽を宗貞啓二、赤坂達三の各氏に師事。
第14回日本ジュニア管打楽器コンクール全国大会出場。
第28回中国ユース音楽コンクール 管楽器の部門(木管楽器)で優秀賞受賞。
第18回さくらぴあ新人コンクール本選出場。
第24回浜松国際管楽器アカデミー&フェスティバルにて、オーティス・マーフィー氏のクラスを受講
自主企画の演奏会も数多く、ソロを問わず室内楽やアンサンブルでの活動も精力的に行っている。
今年4月には、古郷島根県浜田市にて自身初のソロリサイタルを開催。


若狭南美

1997年生まれ 広島県出身。
現在エリザベト音楽大学4年生、全額免除特別奨学生として鍵盤楽器を専攻中。
第16回大阪国際音楽コンクールにてピアノ部門エスポワール賞受賞、第8回ヨーロッパ国際ピアノコンクール全国大会金賞受賞及び審査員特別賞受賞。
前田麻紀氏に師事。


杉本澪

北海道遠軽町出身。
北海道立遠軽高等学校卒業。
第3回Kサクソフォーンコンクール優秀賞。
第1回Kグランプリコンクール優秀賞。
第23回浜松国際管楽器アカデミー&フェスティバルにて、オーティス・マーフィー氏のクラスを受講。
同アカデミーの講師推薦プレミアムコンサートに出演し、アクト・ニューアティスト・シリーズ2018に選出される。
サクソフォーンを北口智宏、佐藤淳一、田中靖人の各氏に師事。
現在、愛知県立芸術大学4年次在学中。


砂奥亜衣

広島市出身。
4歳よりピアノを始める。
ピアノとソルフェージュを、桑原くるみ、鹿取裕美子の各氏に師事。
12歳よりファゴットを始め、これまでにファゴットを、中本倫子、岡崎耕治、青谷良明の各氏に師事。
フランク・フォレスト氏のレッスンを受講。
第15回大阪国際音楽コンクール管楽器部門本選に出場。
2015年、2016年に、大植英次プロデュースの、威風堂々クラシック in Hiroshima にて、アンサンブル奏者として演奏。
現在、愛知県立芸術大学音楽学部管打楽器コース4年次在学中。

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若狭南美さん出演のコンサート、演奏会
エリザベト音楽大学 フルートオーケストラ 第30回記念演奏会
若狭南美さん 卒業記念ピアノリサイタル
エリザベト音楽大学 2018年度卒業演奏会
島村楽器広島パルコ店 バイオリン弾き比べコンサート


進正裕さん出演のコンサート、演奏会
エリザベト音楽大学 Autumn Concert
エリザベト音楽大学 サクソフォンラージアンサンブル 第22回定期演奏会
エリザベト音楽大学 2018年度卒業演奏会
新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第60回広島


安倍聖人さん出演のコンサート、演奏会
エリザベト音楽大学 大学祭2018
エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会
エリザベト音楽大学 サクソフォンラージアンサンブル 第22回定期演奏会
エリザベト音楽大学 打楽器アンサンブル Trip! ~9th Concert~
エリザベト音楽大学 2018年度卒業演奏会


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。

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4 コメント

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iinaさんへ (はまかぜ)
2019-01-01 21:51:47
明けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします

夏の演奏の記事、読んだのを覚えています。
音楽の生演奏は良いですね

「天下壺」のエピソードは興味深いですね。
一つの壺が天下人から天下人へと渡っていき、天下を手にできる力が宿っているような気がします。
返信する
明けましておめでとうございます (もののはじめのiina)
2019-01-01 10:58:45
夏の暑い日に、木管楽器による四重奏を聴いてまいりました。
       たまに聴く音色はケッコウな響きでした。

読書というと、「天下壺」にまつわる物語りを綴った
「つくもなす物語『信長の棺』異聞録」著:加藤廣が、おもしろかったです。
壺が、余りに有名人に渡るので創作小説だと思っていると如何にも本当に起こったことのようなので、調べてみました。
https://blog.goo.ne.jp/iinna/e/a295ec50defa19c77394568e5f0324e7

返信する
原村さんへ (はまかぜ)
2019-01-01 00:12:23
こんばんは。
そして新年明けましておめでとうございます
こちらこそ昨年はありがとうございました。
原村さんもぜひ素晴らしい一年になることをお祈りします
返信する
大晦日 (原村)
2018-12-31 14:41:22
こんにちは。
スレッドの内容には直接的に関係がありませんが、こちらにコメントさせて頂きます。

今年も色々ありがとうございました。
はまかぜさんとご家族の皆様にとって素晴らしい新年でありますようお祈り申し上げます。
返信する

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