湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

海に向かって

2011-08-03 22:31:05 | ぶらかま


まっすぐに伸びる若宮大路の先に、小さく鶴岡八幡宮が見える。
ここから1.5kmほどだろうか。
急に気温が上昇した午後、電車が着くたびに駅からこの道を海水浴客が下ってきた。
寺社や花、武家、古都のイメージの鎌倉だが、肌を出したオネエチャンたちがキャーキャーいいながらぞろぞろ海へ向かって行く。その海に向かって340年前からこの「一の鳥居」は美しく羽根を広げて立っている。
と思ったら徳川家綱が寄進したものは関東大震災で倒壊し、現在の鳥居は昭和12年に再建されたものだった。
とはいえ、この道をもっと古くは900年ほど前にも人は行き来していたのは事実。そう思うと不思議である。
ただ当時、海水浴客はいなかったはずだけど。

記念切符の価値

2011-08-02 22:03:25 | あんな物こんな物


先週の金曜日のこと。鎌倉在住の写真家の個展があると聞いて、藤沢の小田急百貨店に寄る。
その上の階では、夏休みらしく子供向けに「のりものフェスタ2011」開催中だ。大賑わいの会場を周ると、エスカレーター脇にワゴン(業界用語でL台)2台分がちょっと地味だけど異質な光を放っている。
そこには、過去に出回った鉄道の記念切符が何百と並んでいたのだ。
ビニールに入って重なっている切符を1枚1枚引き上げながら目で追っていく。それは、まるでレコード屋でジャケットを引き上げては戻していく懐かしい連続作業である。
そして見つけたのが、上の写真の切符だ。
平塚市制50年記念の平塚駅入場券で、日付は昭和57年4月1日である。
ということは、まだJRになる以前の「国鉄」時代のもの。迷うことなく購入。だって315円ですよ!
いくら元値が110円だとしても、これは“買い”でしょう。こんなにお安く流通しているんですね。ちょっと驚きだったなぁ。
で、帰って袋を開いて、またビックリ!
110円の入場券が、3枚も入っていたのだ。
330円が315円で手に入ったということ。しかも、こんなに歴史的価値の高い貴重な写真付きで。駅前にMNビルがない。こりゃスゴイぞ!
と感動しきりだったのだが、よく考えたら、切手や古銭と違って切符には有効期限というものがあるので、29年も前にすでに0円になっていたのだった(笑)。


国鉄のマーク、懐かしいー!

電柱でござる

2011-08-01 22:23:46 | 湘南ライナーで読む


とっても気を引く日本家屋だったので、自転車を停めて写真を撮ったのだが、まさかこの家の屋根から電信柱がニョッキリ飛び出ていたことに、そのときは全く気づいていなかったのだ(今よく見たら前の屋根の向こうにちょっとのぞいている)。

というわけで、この家とその家主に迫った『ミドリさんとカラクリ屋敷』(鈴木遙著 集英社刊 1500円+税)という話題のノンフィクションを読んだ。

著者は高校生の時に、屋根から突き出ている電信柱が気になって自転車を停めたのだそうだ。そして、家主のミドリさん(現在97歳)の人生と、この家に隠されたカラクリを解明していく。
筆致がイマドキというか、ブログ風というか、軽快なのでサラリと読み進めることができる。そのぶん普通であればもっとドラマチックに描かれていそうな場面も、あっさり終わってしまう印象。ちょっと物足りない気がしないでもないが、それがかえってミドリさんを語るにはピッタリなのかもしれない。
電信柱の見た目のインパクトはすごいけど、実はそれは氷山の一角…というか屋根瓦の1枚に過ぎなかったこともよくわかる。
そしてこの本を読むと、誰もがミドリさんのお宅をのぞいてみたくなり、併設の「みどり荘」の住人になってみたくなるはずである。