湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

地中海のような中二階

2009-04-21 23:58:43 | B食の道


雨の西麻布。それもかなり強い雨の。
交差点そば、狭い一通の路地は抜け道になっているらしく、タクシーが連なり雨をはね上げながら飛ばしていく。
定食の『喜久美』は、そんな細い道と道に挟まれた不思議な場所に塔のように建っていた。
右側の奥からやってきた車は、この店を軸に180度、弧を描きながら左側の奥へと消えて行く。しかも、店の右側の道は地下1階で、左側の道は地上1階相当。つまり、かなりの傾斜をハンドルを目一杯切りながら、車は一気に駆け上がることになる。
F1のモナコグランプリで見たことのある…そう、まるであのグランドホテルのヘアピンカーブのような光景がそこにあった!(ホントか?)
といっても、さらに一段高い中二階に位置する店内でしょうが焼きを食べていると、地中海のリゾートなど全く思い浮かんではこないのだが(笑)。
古くて狭い店内の席数は16~17あるだろうか。ただし、テーブルがぎっしりで、混雑時にはどうやってお客は行き来しているのか見てみたくなる驚愕のレイアウトだ。
僕が入店した午後7時前は、残念ながら5人ほど。いや、こんな奥まった所で、こんな雨で、これだけいるということは、この店がいかに愛されているかの証でもある。
そしてここでもやっぱり、ご夫婦の熟練の共同作業をシッカリと見ることができた。寡黙な感じも、実に定食屋さんらしい。


さて、しょうが焼きはカリッと焦げ目がつくタイプで、タレはほとんどなし。しかし、味はしっかり染み渡っていてご飯との相性は抜群だ。ただ、量的満足度が低いので、ボリュームのある白飯とのバランスを充分計算してペース配分をしなければならない。
それにしても、窓を全開にしていることもあり、雨音が激しい。それに、下をグルリと回りながら登坂する車のエンジンの唸り。さらに、時折ドドッドッという雨でタイヤが空回りする音まで聞こえて、どうにもこうにも落ち着かない。
何十年もここで暮らしているお二人には、きっと当たり前過ぎて気にならないのだろうなあ。
天気のいい昼間に、またお邪魔したいと思うのだった。