湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

おいしくて安全な苺を

2009-04-06 21:53:30 | あんな話こんな話


「今年は相場が全然上がらなかったから、トントンじゃねぇかな」
ハウスで腰を折り苺の実を摘みながら、義父がつぶやく。
時間をかけ、あれほど安全面に気を遣い試行錯誤し、苦労して、慈しみ育てた苺だ。それがすべて“相場”で決まってしまうことに、やるせない思いがこみ上げてくる。
それが他のものよりどんなにおいしくて安全な苺だとしても、生産者に価格の決定権があるわけではない。市場は全量引き取ってくれるが、規格と相場で値がつくだけだ。おまけに、出荷したものがどこへ売られていったのか生産者は知る由もない。
消費者にしても、どんなにおいしい苺であっても、また同じ生産者のものに巡り会える可能性は極めて低い。もっといえば、本当に安全なのかどうかもわからず、買うしかないのである。
本当においしくて安全な苺を自信を持ち、それに見合った価格で売る。消費者はいつでもそれを指名して買える。そんな仕組みづくりが上手くできないものか(観光農園ではなく)と、このところずっと考えている。
考えている間にも、ここへきて気温が上昇しているので、苺はどんどん真っ赤に色づいていく。色づいてしまうので、義父母はこのところ毎朝4時半から収穫に忙しいという。
「悪いけど、お前んところの分は自分でもいでっといてくれ」
というわけで、昨日は真っ赤なやつばかりを一人で摘んだ。形も大きさもいろいろだけど(笑)。
ただ、持ち帰った途端に、洗いもせず息子が1パックぺろりといった。それこそが、この苺がいかにおいしくて、いかに安全であるかの証なのだ。