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猫耳少女はトップアイドルの夢を見るか?

2008年12月30日 04時13分47秒 | TRPG関連
 最終決戦からリアル時間で5日、ゲーム内時間では半月程度が経って。

デモンパラサイト小坂シリーズAfter Story 1

「猫耳少女はトップアイドルの夢を見るか?」



 パロディタイトルシリーズもネタが尽きて古典に手を出しました。

 アイドルとしても成長して(芸術:芸能を上級にしました)めきめきと頭角をあらわしてきたアイリン。ついに明日は昼の生放送に出演する。
アイリン 「暇な人はぜひ見て欲しいですにゃ♪」
 念願の昼の番組、そんなメールを送るのも無理からぬことであっただろう。
 しかし、その番組に隠された秘密を、彼女はまだ知らない。

 そして翌日、生放送当日。
アイリン 「はい~西田愛鈴です~♪ 今日はここ、○○亭で大食いチャレンジをしたいと思います~」
いつも以上に元気溌剌に料理に向かうアイリン。しかし、その表情に陰りが見える。何か痛みを、苦しみを必死で堪えているかのような……
アイリン 「マダマダ……うんっ……食べられ……ますにゃ……」

 どうして、頭が痛い、体が重い。
 口が、胃が、腸が、食べることを拒否する。
 こんなはずじゃないのに。
 けして料理がまずいわけでもないのに。
 もっと、もっと自分は食べられるはず――

刹那、左目から一粒の涙がこぼれ、
アイリンは嘔吐した。カメラの前で。
一瞬で映像が途絶えたのは、最後の力を振り絞っての《磁力電操》でカメラを止めたのだろう。
――しかし、生放送でのこの失態。
暗雲が、アイリンの前に差し込む……




 ということでそんなハプニングを見てしまったかわいそうな人たち

文楽座 瑠璃(ウォーコイト10/ドラグーン9)
刃字忌(バルディッシュ9/バルディッシュ8)
海間 留衣(ブリガンダイン9)
瀬戸江 咲(クロミカズラ/イツノオハバリ/クロミカズラ)




 放送のあった日、深夜。
瑠璃と刃字忌はアイリンの自宅に来ていた。
瑠璃 「だから、会わせなさいって言ってんのよ」
猫屋敷 「お嬢様は今はどなたとも会いたくないと仰られています。また、私自身今のお嬢様はそっとしておいたほうが良いと考えます。無理に罷り通ろうとするなら、こちらもそれなりのご奉仕の用意がございます」(回転音)
刃字忌 「ねえ帰ろうよ、アイリンも会いたくないって言ってんだしさあ」
瑠璃 「……アンタ、本気であたしに勝てるとでも思ってるの?」
猫屋敷 「お嬢様がそうお望みであるのなら、どうあろうとも私は立ちはだかりましょう」
 1Rだけ戦闘して。本気で。
瑠璃 「もういいわ。ノワールちゃん、帰りましょう」
猫屋敷 「メッセージなどあれば承りますが?」
瑠璃 「いい、また来るから」
GM ち、頃合を見計らって《復讐の剣》で殺してやろうかと思ったのに)
瑠璃 殺されてたまるか!?)
 帰り際、刃字忌は窓際から玄関の様子を伺うアイリンの姿を見た。




 翌日。PCたちがアイリンに呼び出されたのは、とあるイタリアンレストラン。
アイリン 「今日はアイリンのおごりですにゃ♪ 店員さん、メニューのここからここまでお願いしますにゃ~」
一同 (本気かっ!?)
 食べる、食べる、食べる。アイリンの食べっぷりはそれはもうすごいもので、いくら常人の数倍を食べる悪魔憑きとしても異常な量と言えた。
アイリン 「みにゃさんも食べるのにゃ~♪」
刃字忌 「ぐもぐも~」
無理に食べさせられて衝動回復量が減ってしまう、いと哀れ。
しかし刃字忌は気づいてしまった。([知覚]vs[芸術:芸能]で勝利)
アイリンが、無理をして食べていることを。

 宴は終わって。
瑠璃 「アイリンちゃんはこの後ヒマ? ならカラオケ行かない?」
アイリン 「行きますにゃ!」
少女歌唱中...(アイリンが本気で踊ったり、瑠璃が実はアイリンの曲をヘビーローテしてたことがバレたり、留衣が[芸術:音楽]を始めて使ったり)
その最中、アイリンはトイレに立ち、そこで先ほど食べた全てを吐き出した。
瑠璃はトイレの外で聞いていた。吐瀉物が便器になだれ落ちる音を、洗面所に響く消えそうな泣き声を。

 別れ際。
瑠璃 「アイリンちゃん、無理しちゃ駄目よ?」
アイリン 「ん? にゃんのことですかにゃ?」
その言葉に隠された悲鳴も、すでに聞こえていた。
その笑顔に隠された嗚咽にも、すでに気がついていた。
瑠璃 「――とにかく。辛かったら何でも言いなさい」
アイリン 「ありがとうございますにゃ♪」
それでも、瑠璃たちは気づかなかった。
いや、寧ろ気づきたくなかったのかもしれない。
あの陽気なアイリンに、どれほどの負担が溜まっていたのか。

 さらに翌日、4人が再び合流したのは、千早病院だった。
猫屋敷 「お嬢様が……倒れられました」




猫屋敷 「千早先生曰く、栄養失調だそうです。今は点滴で最低限のエネルギーは補給できるので、命に別状はありません。不幸中の幸いと言うべきか、仕事はほぼ全てキャンセルされていたので、そちらは何とかなったのですが……お食事を“ちゃんと”召されていない今のままでは、退院はできないとのことです」
ドアに掲げられた、酷薄な「面会謝絶」の札。窓から見えるアイリンは、すでに人間の姿を維持することもできなくなっていた。
瑠璃 「あの子……だから無理しちゃ駄目って言ったのに……」
刃字忌 「瑠璃も、いつもあんな感じなんだよ? みんな無理するなって言ってるのに、無理してぜんぶ守ろうとして……」
猫屋敷 「3日後に、唯一残った番組の収録があります。キャンセルするかはギリギリまで待って頂けるそうですが……」
留衣 「このままだと芸能界に復帰することもままならないんじゃない?」
瑠璃 「それでも、このまま壊れていくよりはマシよ」
猫屋敷 「それともう一つ、気になることがございまして……」
 「今度は何やのん?」
猫屋敷 「3日後の仕事なのですが、製作会社が先日の番組と同じ会社なんです」
刃字忌 「それってどー違うの?」
猫屋敷 「あの事故でイメージを落としたのはお嬢様だけではありません、あの番組を提供した局も、番組制作会社も被害を被っているのです。それなのに、その元凶ともいえるお嬢様を番組から外さない、というのがどうにも解せないのです」
留衣 「確かに……気になるね。番組の内容は?」
猫屋敷 「打ち合わせには私が代理で出ました。『アイドル大食い対決』と題してほかの事務所の新人アイドルと大食い対決をするようです」
 「当て馬にしようとしとるんかいなあ?」
猫屋敷 「正式にCAプロからの依頼として、番組制作会社アーカムについての調査をお願いいたします」
瑠璃 「わかったわ」




 セラフィムのパソコンで(隠していた同人誌を大掃除のついでに送り返されそうになりつつ)調べるものの、なかなか決め手になるような情報は得られない。
そこに現れたのは……是空、しかもなぜかぐったりした叢雲を背負っている。
是空 「セラフィムに行こうとしたら道端で叢雲さんを拾ったんだけど……」
留衣 「なにがあったの!?」
 某さんに《治癒光》してもらって……
叢雲 「いやー、まいっちゃったね」
瑠璃 「何があったの?」
叢雲 「アイリンちゃんのことなんだけどね、どうもキナ臭い感じがしてね? 君たちに役立つ情報をあげられるかもと思ってセラフィムに行こうとしたんだけど……」
瑠璃 「途中でやられたのね。目に浮かぶわ」(ほろり)




 そうして叢雲から情報を聞き出したり、夜中に刃字忌が18スタートの[隠密]で忍び込んだり、咲さんが《魅了の妖眼》無双したりといった調査を進めた結果、わかったことは……
・アーカムはヒュドラプロダクションというプロダクションと密接に繋がっている
・3日後の番組はそもそもアイリンが負けることが規定路線になっている
・アイリンをかませ犬にすることでヒュドラプロの新人アイドルを売り出そうと画策している




 再び、千早病院にて。
瑠璃 「アイリンちゃん、入るわよ?」
返事を聞かずに入る瑠璃。
アイリン 「にゃっ! 出てってにゃー!」(濡れタオルを投げつける)
体を拭いている途中でした。なぜ猫が恥らう。
半ば悲鳴にも似た声だが、その声はか細く、張りも足りない。
わずかに見えた裸体は、アバラが浮き、肌のつやもなくなっている。
 改めて服を着て。
瑠璃 「……と、こういうわけだったわ」
アイリン 「アイリンは、かませ犬だったのですにゃ……」
目の下に隈を浮かべた青白い顔には、諦めと、失望と、怒りと、もっと昏い何かが浮かんでいた。
瑠璃 「番組、どうするの?」
アイリン 「どうしたらいいのか、わからにゃいんですにゃ」
瑠璃 「あたしが聞いてるのは、“どうしたらいいか”じゃなく、“どうしたいか”よ」
アイリン 「もっと……わかんにゃいですにゃ……」




 と、そんなことをやっている間にも調査は進み、テレビ局スタッフに聞いたところ、先日の番組で出された料理は普通なら局スタッフが用意するところを、製作会社の番組プロデューサー河村が調達していたことが判明。そして翌日の番組で使用する料理も同じく河村が店を決めたことを知ったのである。
瑠璃 「その店、行ってみる必要がありそうね」
店で食事をする一行、衝動を回復しつつこっそり料理を持って帰る。
セラフィムに戻り調べたところ……
GM じゃあ[知識:化学]か[知識:共生生物]で判定を。
 (ころころ)あ、クリティカル。
GM 胃で溶けないで腸で効く、ブラックギアスの半分はやさしさでできています。
一同 うおおおおいっ!?
刃字忌 「どうしよう、ボク達バクバク食べちゃったよ?」
瑠璃 「ブラックギアスなら《魔種吸引》すれば大丈夫なはずだけど……」
GM まあ類似の効果を持つ毒だということにしておいて。術者の近くでは行動に制限が出るし、無理に悪魔寄生体の力を使おうとすると反動でダメージを受けるよ。
留衣 「このままだとまずい、かな……」
GM ふふふ、私が何のために叢雲さんを出したと思ってるんだい。
瑠璃 「?……ああああっ! 《解毒》!」
叢雲 「はっはっは、未知の薬物ということもあって完全には《解毒》できないけど、行動は自由にできるようになったよ!」
一同 「ありがとう、叢雲さん!」




 千早病院にて。
アイリン 「瑠璃さん、これを……見てもらえますかにゃ?」
ベッドの横の小テーブルからアイリンが取り出したのは、手紙の束だった。
アイリン 「あの事故から今まで、いっぱい手紙もらえましたにゃ。がんばれ、がんばれって……」
瑠璃 「アイリンちゃん……」
アイリン 「やっぱり、みんなが応援してくれる限り、アイリンはアイドルですにゃ」
瑠璃 「そう。アタシね、アイリンちゃんにおにぎり作ってきたの」
アイリン 「いただき……ますにゃ……」
震える手でおにぎりを受け取り、一口齧る。味を確かめるように、自分を確かめるように。ゆっくりと咀嚼して、飲み込んだ。
アイリン 「おいしい……」
瑠璃 「でしょ? 得意料理なんだから」
留衣 「おにぎりが得意料理ってのもどうなのかな……」
アイリンは食べ続ける。別に量が多いわけでも、格別高級なわけでもない、ただのおにぎり。
しかしそれを食べることは、何よりも苦しく。
そして何よりも嬉しかった。
アイリン 「ごちそうさま、おいしかったですにゃ」
瑠璃 「お粗末さまでした。それじゃ、これからあの河村って馬鹿をぶっ飛ばしてくるから」
アイリン 「瑠璃さん……ありがとうございますにゃ」




 番組制作会社アーカム、1Fミニスタジオにて
留衣 「ということで、河村さん、あなたは不正をしています、よね?」
河村 「……それがどうかしたのかね? 視聴者はつねに新しい刺激を求めている。期待にこたえて何が悪い?」
瑠璃 「そんなに刺激が欲しけりゃ特別痛いのをプレゼントしてあげるわ」
ということで戦闘に。
トリブルス・カワムラ(仮)は、特殊能力を使用するたびに使用者にダメージを与えつつ回復するというオリジナル特殊能力を所持している。《氷城鉄壁》でも《氷壁》でも止まらないダメージに一同は苦労するが、最終的には瑠璃の《憤怒の一撃》から留衣の通常射撃で沈みました。




 その後アイリンは見事に復帰し、ヒュドラプロの新人アイドルを蹴散らして、また再びアイドル街道を驀進するのではあるが……それはまた、別の話。




おまけ
トリブルス・カワムラ 13Lv
区分:ヴィシャス 移動:飛行 視界:赤外線
能力値
2/ 5/ 3/ 5/ 4/ 5
2/10/ 3/10/13/10
0/20/10/20/25/20
行動値:19
エナジー:320
特殊能力
《兵士製造》《特殊能力継承》《復活》
《防御強化》《超軟体》《生体火器》
《範囲化》《威力強化》《連続行動》
《風圧刃噴射》《超閃光》
《未知》《悪魔寄生》

エネミー5Lv能力
《未知》(アンノウン)
タイミング:常時   距離:本人
範囲:本人   時間:常時
効果:〈エネミー専用〉。この特殊能力を持つエネミーを【知力】あるいは[知識:共生生物]で識別しようとするとき、目標値を+エネミーのLvする。(目標値は(10+エネミーのLv×2)になる)
達成値が(10+エネミーのLv)以上、目標値未満だった場合は、エネミーのLvと、この特殊能力を所持していることを公開する。

エネミー11Lv能力、※3
《悪魔寄生》(ヴェノムパラサイト)
タイミング:ターン開始時   距離:本人
範囲:半径50m内の敵全て   時間:1ターン
効果:判定不要。〈ヴィシャス専用〉。〈マイト〉の悪魔憑きにしか効果なし。対象が効果時間中特殊能力を使用するたびに、1dの悪魔ダメージを与え、同じだけ使用者のエナジーが回復する。この効果は特殊能力の効果の解決より先に行われる。
悪魔ダメージ:肉弾、射撃、特殊に分類されない、悪魔寄生体にたいする根源的なダメージ。超常ダメージとか〈神〉属性とかそんな感じ。
実際は《兵士製造》で連れていたカルトロップに《特殊能力継承》で覚えさせて4倍にしたり、《復活》後は《威力強化》も併せて、軽減できない7dダメージを特殊能力使用ごとに与えたりした。実はかなり殺意の高い技。

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2 コメント

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なんとも ()
2008-12-30 10:29:15
すごくいい話なんですが、それよりも事件を起した奴が何気に13レベルだったり、それを倒すために9、10レベルが4人も集まったりしてくる小坂に何とも言えぬ違和感を隠せません(笑)
まぁ、今更っちゃ今更なんですけどね…
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宿命 (えび)
2008-12-30 19:51:03
まあ長いキャンペーンの宿命っちゃ宿命です。
敵のデータ自体はオマケのようなものなので、
アイリンによるパワーレベリングでバランスを取る前提で、4LV程度のパーティで行くのも考えたのですが、
(実際アイリンが全力で支援すれば10LVトリブルスくらいなら勝てる)
シナリオ展開の都合とボロボロになるアイリンに感情移入できるキャラを考えた結果、
アイリンと付き合いの長い、すなわち高レベルのキャラになってしまいます。

なお今回のトリブルスはダブルムーブとウインドスラッシャーを削って、パワームーブとタクティカルムーブを入れるとかなりエグくなります。
殺意の高い敵をお求めの方はぜひご利用ください。ただし私がPLとして参加しないときに。
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