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「死が二人を別つまで」最終話 By朱雀

2006年10月21日 17時32分09秒 | TRPGリプレイ
Ending1 変容   シーンプレイヤー:榊原 修治     3月16日 p.m 07:00


GM ――よし、それでは全員無事に自律判定に成功したところでエンディングに入ろう。
周  正直ぎりぎりでした。結局《力の法則》1回も使えなかったし。
GM そんな時もあるさ。あ、ちなみに雨音も自律判定には成功してるんで。
叡輝 しかし誰も事故らなくてよかった。これで雨音が後ろから奇襲かけてくるとかされたらシャレにならんからな(笑)
GM うむ。では修治のエンディングからいこう。
修治 まあ、私のエンディングが一番わかりやすいかな。
GM 場所は支部長のいなくなったUGN飯塚支部。君は一連の事件の報告書を作成しているわけだが、そんな君に支部長室まで来るよう呼び出しがかかる。
修治 む、では作業もそこそこに支部長室に向かう。
GM 君が支部長室に入ると、ややあって正面のスクリーンに1人の男の姿が映る。UGN日本支部長の霧谷 雄吾だ。
修治 はっ!思わず跪きます(一同爆笑)ある意味私にとっては絶対者なので(笑)
霧谷/GM 「そう硬くならなくても結構ですよ」霧谷は苦笑しながら言う。
修治 「あ、いえ、お気遣いなく」
霧谷/GM 「――では、このままお話させていただきます。まずは今回の任務、ご苦労様でした。あなたのお陰で各務くんの計画を未然に防ぐことができました」
修治 「私は――自分の任務を果たしただけです」――そういや結局わからずじまいだったけど、各務の計画って結局何だったの?
GM うむ、それについては後々霧谷から聞かされることなんだが、各務 創一はUGNの反分子だったらしい。とは言っても、彼はFHに加担したわけではなく、UGNでもFHでもない第3の勢力を作ろうとしていたようなんだがね。
叡輝 つまり、今回の事件にはFHは一切関係なかったってこと……?
GM ま、そういうことだね。で、その過程で彼は雨音の能力に目をつけた。雨音の能力は、突き詰めていけば『レネゲイドの書き換え』。つまり、この先の成長次第では、シンドロームを丸々書き換えたり、ひょっとするとオーヴァードとしての力そのものを消滅させることだって不可能じゃないかもしれない。
修治 それは……確かに相当にヤバい代物だな。
GM だからこそ各務はその能力を手に入れようとしたわけなんだけどね。ただそこには1つ問題があった。それが暴走する雨音の従者の存在だ。
修治 それで、私に任務の名目で始末させようと?
GM そうそう。各務の予想ではもっと早く従者が尻尾を出すはずだったんだけど、予想以上に時間がかかってしまって、逆に君に不信感を抱かせるきっかけになってしまったというわけ。そこで焦った各務は部下を石動宅に向かわせ、《ワーディング》を使ってでも雨音を強制的に暴走させようとしたんだ。
周  結局、それが決め手になってクライマックスに至るわけだな。
霧谷/GM そういうこと。「――今回の事件は、完全にこちらの落ち度でした。私たちがもっと人員管理をできていれば、そもそもこんな事件は起きなかったかもしれません」
修治 …………。
霧谷/GM 「……榊原くん。1つ、尋ねたいことがあります」
修治 「何でしょうか」
霧谷/GM 「仮に、また今回のような事態が発生した場合、それがUGNの方針によるものだとしたら、君はどうしますか?」
修治 「…………私の命は、UGNの創る未来のためにあります。ですから、それがUGNの方針に基づくものであるなら、私はそれに従います」
霧谷/GM 「そう、ですか……わかりました。そちらの支部には、近いうちに新しく支部長となる人員が派遣されることでしょう。これからも、よろしくお願いしますよ」
修治 「ええ。わかっています。それでは」
GM そこで本部との通信は終了し、霧谷の姿が画面から消える。
修治 誰もいない支部長室に1人立ち、呟く。


 「私は間違ってはいない……はずだ」

 そう呟く修治の表情には迷いが見て取れる。

 以前なら自信を持って言い切れたはずなのに。

 世界は変貌している。

 同様に、人の心も変化する。

 彼もいつしか、自分の心境の変化に気づく。

 ただそれは、今よりほんの少し先の話なのだが。



Ending2 休息   シーンプレイヤー:皇傍院 叡輝     3月25日 p.m 01:14


GM じゃあ次、叡輝のエンディング。
叡輝 よーし、深山の見舞いに行くぞ。病室のドアをコンコンとノックして入る。
深山/GM 「おう、お前か」深山は病室内でリハビリの真っ最中だ。
叡輝 「喜べ。今日は見舞いにメロンを持ってきてやったぞ。と言っても、本物のメロンじゃなくメロンアイスだがな」(一同爆笑)
深山/GM 「お、おう。ありがとよ……って、これ半分溶けてんじゃねえか!」
叡輝 (コートの内ポケットを指しながら)「お、すまんな。ここに入れて持ってきたからな」
一同 おいっ!(爆笑)
叡輝 「はっはっ、まあ食えよ。もうすぐ退院だしな。これでも食って元気をつけろ」
深山/GM 「……もうちょっとその、がっつりこってりしたものの方が……肉とか肉とか肉とか……」と、なんだか大量の涙を流しながらどろどろになったアイスを口に運ぶ深山。
叡輝 「まあ、肉は自分で買ってくれ。高いし」
GM ひどっ!ではそんなやり取りをしていると、しばらくして部屋に看護婦さんが入ってくる。回診の時間だね。
看護婦/周 「深山さーん、回診の時間でーす……って、何食べてるんですか!」
看護婦/修治 「またそんなものを!一体誰です?こんなものを差し入れてきたのは」
深山/GM 「え?あ、いや、その――」と深山は助けを求めるように叡輝を見る。
叡輝 (しれっと)「いやぁ、お前に頼まれたから買ってきたが、私はあんまりそういうものを食うのは良くないと思うぞ」
一同 ひ、ひでえっ!(爆笑)
深山/GM 「う、裏切り者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
叡輝 「では、またな」そう言ってコートの裾を翻して病室を後にするぞ。
修治 ノーフォローで帰った!――てか、本当に見舞いだけで帰るのか!
叡輝 ……おお!そういえば事件の顛末とか全然話してなかった!慌てて病室に戻るぞ。「――ちょっと看護婦さん。悪いが、5分だけ彼と話をさせてくれないか」
GM 看護婦さんはちょっと困ったような顔をするけど、すぐに「5分だけですからね」と言って席を外してくれる。
叡輝 ありがたい。では深山に事件の顛末について伝えておこう。まあ肝心なところは色々ぼかして話すことになるが。「――結局、妙な得物を手にしたタチの悪い変質者の犯行だったってことだ」
深山/GM 「……そうか。だったら、わざわざお前の手を煩わせるほどの事件でもなかったかな。悪かったな」
叡輝 「別に構わんさ。いい暇潰しになったからな」
深山/GM 「暇潰しって、おいおい。ちゃんと自分の病院の仕事もしろよ。あんま奥さんに苦労かけさせてやるな」
叡輝 「はっはっはっ、大丈夫だ――もともと、あんまり客来ないし」(ぼそ)
GM それもどうなんだ、おい。
叡輝 気にするな。「――さて、今度こそ帰るとするか。また面白い話でもあったら教えてくれ。いつでも相談に乗ろう。では――」


 ――さらばだ。

 そう言って叡輝はトレンチコートを翻して病室を去る。

 さすがに今回は少々疲れた。

 しばらくはのんびりと本業に勤しむとするか。

 そんなことを考えながら、駐輪場に止めた自転車を発進させる。

 暖かな春風が頬を撫でる。

 その感触が無性に心地よく感じられて、

 叡輝はペダルを踏む足にほんの少し力を加えた。
 


Ending3 二人   シーンプレイヤー:石動 周     4月8日 a.m 10:50


GM よぅし、では最後は周のエンディングだ。
周  はい!入学式のシーンやっていいですか?(挙手)
GM どうぞどうぞ。では県立緑高校の入学式です。体育館の壇上では校長先生の話が続いているところ。
校長/叡輝 「え~、皆さんは本日、ここ県立緑高校に入学されましたが……(10分経過)……であるからして……(30分経過)……という諺もありますが……(40分経過)……では、これで話を終わります」
一同 校長話長ぇ!(爆笑)
周  ……てか、40分も立たされてたら雨音が倒れる!(笑)――そういや、あれから雨音の体調はどうなの?ちゃんと回復してる?
GM 従者自体の暴走が治まったので、体調はかなり安定してます。まだ体が多少弱いのは変わらないけど、日常生活に支障がない程度には回復してるね。治療にはきっと叡輝も一役買ったんだろう。てか、そう思いたい。
叡輝 おお、これで私が藪医者でないことが証明された。やったね。
周  では俺は在校生の席のとこから前方にちらっと見える雨音の後姿を見ている。で、雨音の方もこっちに気がついたらしく、小さく手を振ってみせる。
生徒/GM まあ、んなことしたら新入生を品定めしてるクラスメートが色々誤解してくれるわけで。「――おい、見たか!今あの子こっち見て手ぇ振ったぞ!」
生徒/周 「おう、見た見た。今絶対俺の方見て振ってたぜ」
生徒/叡輝 「いやいや、あの子は俺のこと見てたんだって」
生徒/修治 「それにしても、あの子かわいいよなぁ――で、あの子俺の方見て手ぇ振ってたよな?」
一同 「「いや、お前ってことはないだろ」」
生徒/修治 「なんだとぉぉぉ!?」(一同爆笑)
周  何、この流れるような会話(笑)で、まあ俺の方はというと、そんな風に盛り上がってる中で一番調子に乗ってる奴の肩を引っ掴んで、「……俺の妹に手ぇ出したら張り倒すぞ」
叡輝 キャラ変わってるキャラ変わってる(笑)
生徒/GM 「……え?あ、あの、あの子……お前の……妹……?」途端にクラスメートの目の色が変わる。
修治 あ、矛先が変わった。
GM そこから先は君への質問やら文句やらの雨あられ。やれ雨音について色々教えろだの自分を紹介しろだの。
周  だあぁぁぁぁ!うるさーーい!
教員/叡輝 「こら!お前たち、静かにせんか!」
周  「わわっ!先生!」途端にみんな定位置に戻るんだけど、先生が向こうに行ってからまた小声でやいのやいの言い出す。
GM そんな君の姿を見て、雨音はくすりと笑う。なんだかとても楽しそうだし、心なしか嬉しそうにも見える。
周  それは俺の方も同じだよ。雨音に以前のような元気と笑顔が戻ってきてくれて、本当によかったと心から思ってる。
GM 友達と他愛もない話で盛り上がったり、兄妹で笑いあったり、時には言い争ったり、そんな当たり前のような『日常』が今君の目の前にある。それは君たち兄妹が、およそ10年の月日をかけてようやく取り戻したものだ。
周  だからこそ、わかる。この『日常』がどれほど貴重なものなのか。これからは、ようやく手に入れたこの『日常』を守っていかなくちゃならない。俺自身の分も、そして雨音の分も。
 

 ――妹と2人での帰り道。

 舞い散る桜の花びらを両手で受け止める雨音を見つめながら、思う。

 取り返すべきものが1つ消えた。

 かわりに、守るべきものが1つ増えた。

 それはとても喜ぶべきこと。

 そしてとても大変なこと。

 だからこそ、心に誓う。

 新しい二人の『日常』を守り抜こう。

 これから先に続く全ての瞬間が『日常』で埋め尽くされるまで。

 ずっと、ずっと。

 そう。

 死が二人を別つまで。
 


                                      「死が二人を別つまで」-完-

                                        Thank You for Reading!

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
祝!!完結!! (ゴンタ)
2006-10-21 18:24:06
リプレイ第2弾完結おめでと~!!

そして、お疲れさま~!!

このシナリオに参加できたことをうれしく思うよ~。ほんまに。
返信する
うおおおお!完結! (安綱)
2006-10-21 18:48:20
GMほんっとーにお疲れ。

ついに完結だねえ。

このシナリオはほんとに楽しかったよ。

返信する
ご清聴ありがとうございました! (朱雀)
2006-10-22 00:17:07
まずはこの場を借りて感謝&陳謝します。

皆さん本当にありがとうございました。そしてすみませんでした。

えび氏。今回のメンバーではダントツのTRPG経験で見事PC1をこなしてくれました。

ゴンタ氏。随所でのネタプレイと見事な情報分析でシナリオに貢献してくれました。

安綱氏。首尾一貫してUGNへの傾倒を守りつつ、他のPCと協力しながらメインウェポンとして活躍してくれました。

みんな、本当にありがとう。

そしてこのリプレイを最後まで目を通して下さったみなさん、本当にありがとう。そしてすみませんでした。

途中、欲を出して別のリプレイに足を突っ込まなければ夏休み中に連載終わってたはずなんですけど、結局そちらのリプレイを投げ出して戻ってくる始末……色々とご迷惑おかけしました。

2ヶ月以上更新を放置していたにも関わらず、10月に入ってもリプレイアップした翌日にアクセス数が増えてるのを見た時には、本当に嬉しかったです。

まあ、他にも記事はたくさんありますから、そちら目当ての方も居られたかとは思いますけど。



ちなみにリプレイ本文の方ですが、いかがでしたでしょうか?

前作「黄昏に哭くもの」より良い作品になっていればいいのですが……

1人でも多くの方に楽しんでいただけたなら幸いですが、いかんせん今回は(今回も?)いろんな意味で無惨な流血ものだったこともあり、人によってはかなり気分を害されたかもしれません。

そんな方がもし居られましたらごめんなさい。

昔から推理小説というものが大好きでして、ミステリー色を前面に押し出した結果がこのリプレイです。

……え?ミステリーじゃなくホラーの間違い?

ごもっとも。

そのへんは技量不足とご愛嬌ということで。



さぁて、この後は校正が待ってるぞ!

えび氏、ゴンタ氏、並びにSF研の皆々様。

また六甲祭までご迷惑おかけいたします。



最後にもう1度。



皆さん、本当にありがとうございました。
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