この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

ブレードランナーの未来世紀。

2006-01-03 14:53:28 | 新作映画
町山智浩著、『ブレードランナーの未来世紀』(《映画の見方》がわかる本 80年代アメリカ映画カルト・ムービー篇)、読了。

『ブレードランナーの未来世紀』は映画ファンならば必読の書だと思う。
いや、もう少し限定するなら、『ブレードランナー』、『ターミネーター』、『未来世紀ブラジル』、『プラトーン』、『ロボコップ』、『ブルー・ベルベッド』、『ビデオドローム』、今上げた作品の中に一つでもフェイバリット・ムービーがある人は必読といった方がいいかもしれない。
さらにいえば現在映画レビューのサイト、及びブログを運営しているすべての管理人の方にも薦めたいです。
単に自分の考えを一方的に押し付けるだけでなく、豊富な資料を元にして、縦横無尽にその映画を解体、分析、解説する、町山氏の語り口は絶妙にして感嘆に値します。
まさに現時点での映画レビューの理想といってよい、そう思います。

映画『ブレードランナー』の冒頭で主人公のデッカードとうどん屋の親父との間にこんなやり取りがある。
デッカード「四つくれ」
親父「二つで充分ですよ!」
一体何をデッカードが四つ注文し、親父が二つで充分だと言ってるのか、実は映画を見るだけではよく分からない。
この答えが本書には載っていて、なるほど、そうだったのか、読むものにそう思わせといて、町山氏は返す刀でこう切り捨てるのだ、じつにどうでもいい話だ、と。
そこから展開されるのは「ポストモダン」の象徴としての『ブレードランナー』であり、「ポストモダン」についてまったく無知である自分のような読者さえも唸らせる『ブレードランナー』論が用意されている。
さらにいうとデッカードがレプリカントなのかどうか(!)についても言及されています。
まさに『ブレードランナー』ファンは必読といえる一冊に仕上がっています。
無論内容に深く切り込んでいるのは『ブレードランナー』だけでなく、上述の八作品全てにです。
まさに目から鱗の映画本なので、より多くの映画ファンの人に読んで欲しいと思っています。
コメント (6)
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