ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート 河野稠果著 「人口学への招待」 中公新書

2008年06月18日 | 書評
人口学は人口減少と少子・高齢化をどこまで解明したのか 第10回
人口減少社会

 さていよいよ本論であるが、人口減少社会は好ましいか、憂うべきことかと云う設題である。50年後は私達はもう死に絶えた比の話になる。人口がが大きくなったために帝国主義は海外に生命線を開拓しようとしたと云う人もいれば、国力大いに進行し大国日本になったと云う人もいて価値観ではどちらにでも転がる。しかし欧州の大国といわれる国の人口は5000万人から8000万人である。「過密社会日本」と云う見方をする人は人口減少社会のメリットは豊かな生活を享受できるであるという。経済力は人口に比例すると云う人々は、人口減少は経済規模の縮小、労働力不足から生活水準の低下になるという。人口減少社会歓迎論は日本社会の構造改革を行って、子供や女性に優しい社会を構築できればウエルカムと云うのである。人口増加政策賛成派といっても妙案はないのである。ドイツでは家族政策の効果はゼロに等しいと言われる。結論は出ないが、下にその議論を紹介する。

 いままで人口問題は経済に密接に関係する問題として次のような書籍を読んできた。読書ノートにも紹介した。その結論を要約する。次の二書は共に人口減少を文明段階の自明の理として受け入れ、人口減少社会の設計と云う課題に取り組むのである。河野稠果著 「人口学への招待」はまだ人口減少に対して打つ手を考えようと云う論点となっている。人口学は科学なのか、経済政策学なのかどうもすっきりしない。人口学が経済政策だとして、人口増加策が30年から50年くらいかけて効を奏して人口置き換え出生率が2.05を超えたとしても、人口モーメンタム(運動量保存則)が30年以上継続するため、人口が一定のところで平衡になるには60年以上必要になる。スケールの大きな、国家百年の計である。


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