ブログ 「ごまめの歯軋り」

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「文語訳 旧訳聖書 Ⅳ 預言」

2020年08月30日 | 書評
オクラ

イスラエル民族の再興を願う3大預言書と12小預言書

3) 「文語訳 旧訳聖書 Ⅳ 預言」(岩波文庫2015年)   (その52)

12) ナホム書

全3章から構成される。著者はナホムという名の人物とされる。預言の主題はニネベの陥落とアッシリアへの裁きである。成立時期はエジプトのテーベの滅亡が記されているので、紀元前663年より後、ニネベが陥落した紀元前612年より前である。
第1章: ニネベに関する重い預言、エルコシ人ナホムの書。(ニネベは古代メソポタミア北部にあったアッシリアの都市、新アッシリア王国時代に、センナケリブがニネヴェに遷都して以降、帝国の首都として大規模な建築事業や都市の拡張が行われた。紀元前612年、メディアとバビロニアとスキタイの攻撃を受けてニネヴェは陥落し破壊された。)エホバは嫉妬の神、復讐主義者の神、怒りの神、怒るのが遅い神、大いなる力の破壊の神である。山を崩し、洪水をもたらし、海を干上がらす神である。誰かその憤りに抗する者があろうとは思えない。エホバに向かいて謀る者悉く滅ぼし給う。ニネベに告げる、汝のことについて命令を下す、汝の名に負うもの悉く灰燼に帰す。汝の神の室、像を除き立つ。我汝の墓を備えん。
第2章: 打ち破る者汝の城に迫る。河の門開き汝の宮消え失せん。ニネベは建設された時以来水の都に似ていたが、今や民は逃げ惑う。万軍のエホバ言い給う、我汝の戦車を焼きて煙となし、汝の若き獅子らは殺されん。
第3章: 禍なるかな血を流す邑、偽り、暴行、掠奪止まず、鞭の音、戦車の轟、馬は躍り車は軋りゆく。屍山をなし足の踏み場もない。妓女多く淫行を行い栄えた邑はその罪により亡びん。汝ノアモンに優るというのか、ノアモンは河の間に立ち、エチオピア人、エジプト人、フテ人、ルビ人らで栄えたが、彼らは俘虜となり移された。貴き者は鎖につながれ、民は逃げ場を失った。炎は汝を焼き、剣は汝を刺す。
(ナホム書おわり)
(つづく)



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