ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

漢詩   白露

2006年09月10日 | 漢詩・自由詩
         白 露

爽気荷衰暑退     爽気荷衰え 暑退移す 
蒼蟲切切動秋     蒼蟲切切 秋意を動かす 
商聲嫋嫋梧桐落     商聲嫋嫋 梧桐落つ
寂莫東籬白露     寂莫たる東籬 白露滋し

(韻:四支)   七言絶句仄起式


自然保護思想の倫理

2006年09月10日 | 書評
asahi.com 2006年09月10日10時20分
「自然保護が第一」、調和重視を逆転 内閣府世論調査
 「自然を保護することが「最も重要」と考える人の割合が、人間社会と保護との「調和」を唱える人を上回り、初めて多数派になったことが、内閣府が9日付で発表した世論調査の結果で分かった。近年、異常気象が相次ぎ、地球温暖化問題などへの関心が高まっていることが背景にあるようだ。」

鬼頭秀一著「自然保護を問い直すー環境倫理とネットワーク 」ちくま新書 から自然保護の倫理を学ぶ
内閣府世論調査で自然と社会発展との力関係が自然のほうへ重点が移ったようだ。ただ自然保護といっても、なぜ自然保護が必要なのか、何が自然保護なのかなどについてははっきりしない。ムード的な回答であろう。そこで鬼頭先生の自然保護思想の倫理を纏めた。
 
環境倫理の歴史を振り返って考えると、
日本では1970年代に公害問題(環境汚染)は石油ショック(資源・エネルギー問題)を経て、1980年代には地球環境問題(地球全体主義)を迎えた。また生物多様性の問題(生命中心主義)、世界遺産登録(自然保護)をめぐって環境問題が極めて多様化したため、環境技術論を超えた環境総合理論を確立するため日本でもようやく環境哲学、環境倫理が議論されるようになった。しかし環境倫理学は1970年代より主として米国で開発されたため、米国の進歩観、自然観や欧州の哲学社会経済思想の流れを色濃く受け継いでいる。以下に環境倫理思想の系譜を簡単にたどる。

1)人間中心主義はユダヤ・キリスト教世界観に由来する。自然は人間が支配するものとされた。この限界を克服するため人間非中心主義として環境主義(動物開放、自然物の法的当事者概念)、ロマン主義(都市生活者による自然保護運動)が展開された。
2)「宇宙船地球号」やローマクラブの「成長の限界」を契機に地球全体主義が提起された。有限の資源を守り子孫に受け継ぐため個人の権利を制限することから環境ファッシズムとも非難される。しかし根は共同体倫理(村の倫理)に近い。
3)ロマン主義の伝統をとり全生命平等を唱え全体主義的でありながら多元的価値を抱擁する倫理である視点が深いという点でディープエコロジーと呼ばれる。人間の精神的側面を重視し実践的哲学運動の形態を取ることからガンジー主義とも呼ばれる。「沈黙の春」を著わしたレイチェルカールソンらが含まれる。
4)社会運動との繋がりを重視した環境社会思想として、男性優位の人間中心主義から脱却し女性的視点から母なる自然を保護しようとするエコフェミニズム、生活している土地、社会との密接な関連のなかで環境を重視する生命地域主義がある。本書の視点は後者の生命地域主義である。

人間中心主義、生命中心主義、生態系中心主義の相克をいかに解決するか。環境問題(特に自然保護)を地域の生活とリンク(諸側面とのつながり、ネットワーク)することで展望を開くことを目的にして実践的環境学の構築を目指しておられる



自由詩    パロディ 中原中也 「恥じだらけの人生」

2006年09月10日 | 漢詩・自由詩
         恥だらけの人生

我が若き日を燃えし希望は
今はすでに空に見え隠れするのみ

偏狭な自我 怠惰 浅はかな考え
亡びたる過去の全てに 後悔が走る 冷や汗がにじむ

おわってしまったものに
手繰り寄せる糸口も無く つくろうすべもなし

人皆我より偉くなりて
おこたりし昔の日々が真っ白にみえ

誇りうるなにものもなく
営々と築き上げたる建築物のたしかさに憧れ

砂に戯れる幼子のように
何一つしっかりつかめるものはなし

これも人生 あほな人生 恥多き人生 これしかなかった人生
ただ神の微笑まなかったことをうらむのみ


総裁選 ダメ押し

2006年09月10日 | 時事問題
asahi.com 2006年09月09日22時21分
「私の一票は安倍さんに」 小泉首相が明言
 「小泉首相は9日午後(日本時間同日夜)、同行記者団に対し、自民党総裁選について「私の一票は安倍さんに入れます」と述べ、自らの後継者として安倍官房長官が最適との考えを示した。その理由について「官房副長官、(自民党)幹事長、幹事長代理、そして官房長官と一番身近にいて、小泉内閣の改革を傍観するのではなく、推進してきた」と説明した。」

これでいよいよ閣僚人事が始まる
 小泉が安部を推したことによって、総裁は確定したようなもの。派閥は総与党に流れ、閣僚人事の配分作業に。