ブログ 「ごまめの歯軋り」

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水俣病懇談会 環境省の壁を崩せず涙の妥協

2006年09月02日 | 時事問題
2asahi.com 006年09月02日08時06分
水俣病懇、柳田邦男委員ら無念 環境省と対立、玉砕覚悟
 1日まとまった水俣病懇談会の提言は、患者の認定基準を見直すかどうかを巡る攻防が最大の焦点だった。水俣病の公式確認から半世紀という節目の年の大論争。「長年の議論に終止符を打つ」と意気込んだ委員らは、環境省に押されて見直しに切り込めなかった無念さをにじませつつ、救済を迫る内容を盛り込めたことに達成感も示した。
 草案づくりが始まって2カ月。「基準に触れた提言は受け取れない」とする環境省に対し、「玉砕」を唱える委員も出るなど、両者の対立は先鋭化していた。
 だが、認定基準をめぐって対立を続ければ、胎児性患者に対する福祉や地域再生などの提言もご破算になる。基準を見直せば、既存の制度で救済を受けたり、受けられずに死亡したりした人たちに不公平感もあおりかねない。 「認定基準はおかしいと思ってきたし、今も思っている。ここで辞めるのは簡単だが、それで被害者が救われるのか」――。柳田氏は自問自答していた。
 環境省は「補償、救済についての提言は求めていない」と過去の政府の対応についてのみ提言するよう繰り返し求めた。言うことをきかない委員には「環境相の要請を引き受けたのだから、省の指示に従う義務がある」と言い放った。
 だが、同省も認定審査待ちが4000人を超え、新たな国家賠償提訴者が千人に達するなど「地元の混乱をよそに、過去の検証だけはできない」とする委員側に押し切られ、未認定患者を救済する「新たな枠組み」を受け入れた。

水俣病懇談会は官僚の作った政策を追認するだけ、ゴーサインを出す機関か 
 懇談会委員は環境が選んで委任するのだから、委員の選定の段階で環境省の都合のいい委員だけが選ばれる。中には少しだけ公平さを演出するために意見のある識者も選ばれるが、環境省の手の内で踊らされる孫悟空程度だ。こんなことは大昔から分かっていることなのに、柳田氏はどこまで自分の意見「認定基準を変えて未認定患者を救おう」を滲ませることができたのだろうか。環境省の幹部は臆面もなく言い放つ。「懇談会は、行政のやりたいことを推進するためのガソリンだ。我々と違う方向へ進もうとするなら、ブロックするしかない」と。最初から官僚の書いた筋書きに逆らうものは排除することは分かりきった構図だった。懇談会は大政翼賛会であることを知らなかったとは柳田氏も若いか甘い。なお水俣病を発生させた「日本窒素」という会社は昭和天皇の閨閥であり取り巻きグループに属している関係で、政府の厚い保護策を受け、賠償金の資金数百億円も政府が融資したいきさつがある。皇太子妃の雅子さんもこの窒素閨閥の出であることも注意が必要だ。日本の企業の隆盛と天皇閨閥については噂はあるが隠蔽されているのでなかなか伺い知れない。
 水俣病について歴史的問題点を知りたいと思われる方は私のホームページ「環境問題書評 水俣病」を参照ください。PDF版です。

狂牛病BSEではなく、変異クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)のリスク

2006年09月02日 | 時事問題
2006年08月29日13時18分
フジチクの不正額21億円 BSE対策で農水省返還要求
「国の牛海綿状脳症(BSE)対策の牛肉緊急処分事業で、農水省は29日、食肉卸大手「フジチク」(名古屋市)グループが対象外の牛肉を申請して不正に受給した牛肉量を1051トンと確定し、同社側に補助金20億9796万円の返還を命じた。」

2006年08月31日06時05分
香港、年内にも日本産牛肉の輸入再開へ 
「香港が約5年ぶりに日本産牛肉の輸入を再開する見通しとなった。日本で牛海綿状脳症(BSE)の感染牛が初めて確認された01年9月から牛肉輸入を停止しているが、日本政府と香港当局が近く開く協議で牛肉の安全性を確認する手続きについて合意に達すれば、年内にも貿易が再開される」

2006年09月01日22時14分
米産牛肉が品薄 輸入量少なく人気好調 「吉牛」限定的
 「米国産牛肉が輸入再開から約1カ月で品薄状態になってきた。吉野家ディー・アンド・シーの担当者は「お客さんからも『早く再開して』という声は多いが、とにかく牛肉が足りない」と話す。9月中にも米国産牛肉を材料に「牛丼復活」を計画しているが、必要な月間1000トン分の牛肉を確保する見通しが立っていない。」

日本人のリスク感覚は良いのか悪いのか?
 BSE騒ぎでリスクに乗じて悪乗りして儲けた悪徳業者が摘発された。日本の牛肉も輸出禁止の目にあっていた。米国産牛肉の輸入再開で吉野家が営業を開始する。これらのBSE騒動をもう一度整理し、日本人のリスク観を検証したい。
 BSEは牛の病気、変異クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)は人の病気です。そこのリスク論を間違わないように。今一度 池田正行著「食のリスクを問い直す-BSEパニックの真実」(ちくま新書)の議論を整理する。
 日本で第一頭目のBSE牛が発見された2001年9月10日であった。農水省の通達で肉骨紛は輸入されていないはずなのに流通関係の闇ルートにより乳牛に使用されていたことが判明し、食肉業界はパニックに陥いった。食肉需要の低迷、畜産業者の倒産、獣医の自殺など経済社会面への深刻な影響が発生し、さらに悪いことにこれに悪乗りした輸入牛焼却詐欺事件や産地偽称事件など食品製造流通業界の体質が露呈した。政府は安全宣言にこだわって醜態を演じたが、1ヶ月で水際検査体制を整備した農水省の手腕は立派であった。
日本でのヤコブ病発生リスク
ここでは日本での発生件数点推定を計算する。人口7500万人の英国でこれまで18万頭のBSEが発生し、英国での患者数(死亡者数)は117人である。東大吉川教授は日本のBSE発生予測値を20~26頭とした。日本の人口は12700万人であるので、潜伏期間を10年とした最悪のシナリオでは2.8人のvCJD発生が予測される。10×(12700/7500)×(117×26)/180000=2.8人
しかし機械的回収肉(MRM)と呼ばれる脳脊髄混入の危険性が高い処理法が英国で採用されていた事実を考えると、英国在住経験のない日本人にBSEを原因とするvCJDが発生する確率は実質的にゼロに等しい。ハイリスク群は1990年代前半英国在住経験者のみである。
ゼロリスク探求症候群
 ゼロリスクを求めるあまりリスクバランス感覚を失い、重大な社会問題を引き起こす病的心理をゼロリスク探求症候群と呼ぶ。全頭検査開始以前の在庫牛肉の買い上げとその焼却に実に200億円の税金が投入された。BSE パニックではこのような無駄使いが平気で行われた。ゼロリスク探求症候群の余波を以下に示す。
*生産・流通・小売段階での対応のまずさ:雪印食品詐欺事件、産地詐称事件
*献血・臓器移植禁止措置(1980年以降英国に通算6ヶ月滞在者)
*牛由来製品(コラーゲンなど)の撤去
*雪印食品への人民裁判と倒産
*牛肉市場の低迷と畜産業者の倒産、学校給食牛肉使用自粛校(2001年56%、2002年17%)
*4頭目のBSE牛担当獣医の自殺
リスクコミュニケーションにおいて重要なことはゼロリスクはないと理解すること、リスクについては確実なことはないと知ることである。メディア・市民の科学的リテラシーを養成することも重要な課題である。 つまり日本人のヒステリー状態で随分無駄な動きをし莫大な損失を平気で犯していた。

京都式住所表記法

2006年09月02日 | 京都案内
 京都市の町並みは碁盤の目です。しかも筋(通り)が大略南北東西の経緯と一致していることが「**通り○○上る、下る、東入る、西入る」という旧来の京都式住所表記法を可能にしています。いわゆる解析幾何学の座標軸で言えばX軸が東西、Y軸が南北になっていることが必要条件です。これが通りが曲がっていたり、パリのように斜めに放射線状に伸びていたりすればこうは行きません。
 原則は、まずその建物の表玄関が面する通り名「**通り」を表記します。次に一番近い「**通り」と直交する通り名を「○○」というように「通り」を省いて表記します。そして直交点から建物の位置する方向(東西南北、京都では北を上る、南を下るといいます)を記します。たとえば旅館「俵屋」さんですと住所を「麩屋町通り御池下る」と書きます。これは俵屋さんの玄関が麩屋町通りに面し、一番近く直交する御池通りからは南にあることを意味します。
 この表記では建物が「**通り」のどちら側にあるかは分かりません。細い通りですとどちら側にあってもすぐ分かりますが、大通りですと運悪く反対側にあるとすぐ分かりませんし、また交差点にいって反対側へ渡る必要があります。その場合は丁寧にも北側とか東側という補足説明を最後に記します。たとえば「俵屋」さんですと「麩屋町通り御池下る東側」というのが最も親切な言い方ですが、「・・側」は省く場合がほとんどです。