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アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

ウクライナ報道・NHK3つの偏向

2022年04月05日 | 人権・民主主義

     

 4日のNHKクローズアップ現代は「ウクライナ戦争と情報戦」を取り上げました。しかし、その「情報戦」の真っただ中で、ウクライナ、アメリカ、EU(いわゆる西側)に偏った報道を続けているのは、当のNHKです。その偏向報道には3つの特徴があります。

①偏った映像-出所・背景・真偽不明

 NHKが流す現地の映像は、ほとんどがNHK自身の取材によるものではありません。NHKはじめ日本のメディアは、政府の「ウクライナへの渡航自粛」の指示に従順に現地取材を基本的にしていません。映像は誰が、いつ、どのような経過で撮影したものか、ほとんど明らかにされていません。

 被害映像だけではありません。コメントもゼレンスキー大統領はじめウクライナ政府、米バイデン政権のものが大半です。編集された「市民」のコメントもロシアを一方的に非難するものばかりです。

 キエフ近郊のブチャで「多数の市民の遺体」が発見されたという4日の報道も、その真相が客観的に明らかにされていないにもかかわらず、「大虐殺だ」(ゼレンスキー大統領)というウクライナ側の主張を既定事実のように流しています。

 こうした映像の恣意性はもちろん今回のウクライナ情勢に限ったことではありませんが、戦争報道ではその偏向が増幅されます。

②偏った「解説者」ー頻出する防衛省幹部

 NHKニュースに登場する「ウクライナに詳しい」という「解説者」はほとんどが防衛省防衛研究所の幹部職員。すなわちアメリカと軍事同盟(日米安保条約)を結んでいる日本政府の中でも最も米軍に近い(従属している)部署の「専門家」です(写真はいずれもNHKに頻出する防衛研究所幹部)。

 同じ日本政府の中でも、外務省ではなく防衛省の幹部であることが特徴です。ウクライナとロシアの「停戦交渉」という外交問題でも、外務省ではなく防衛研究所の幹部が「解説」しているのは象徴的姿です。

③偏った「情勢分析」―触れない「極右・ネオナチ勢力」問題

 偏った「解説者」の「解説」は当然偏ったものになりますが、中でも見過ごせないのは、今日のウクライナ情勢を理解するうえで欠かせないことがNHKの報道・解説では全くと言っていいほど触れられていないことです。それは、ウクライナ政府・軍で大きな役割を果たしている「極右・ネオナチ勢力」の存在・行動です。

「欧州の極右事情やウクライナ情勢に詳しい人ならば、この数年でウクライナの極右・ネオナチの存在が問題化していたことは常識のレベルの話」(ルポラーター・清義明氏、「論座」3月23日)と言われます。

 「マイダンクーデター」(2014年)で成立した暫定政権の副首相には、極右グループ(スヴォボーダ)の幹部が就任しました(岡部芳彦著『マイダン革命はなぜ起こったか』ドニエプル出版2016年)。「極右・ネオナチ勢力」は、「東部紛争で民兵化したグループだけでもおおよそ40ぐらい」(清氏、前掲)と言われています。「マイダンクーデター」以後の東部ドンバス地域における市民の虐殺・虐待にも「極右・ネオナチ勢力」が深く関与しているといわれています。

 ロシアが今回の侵攻の理由の1つに「ウクライナのナチ化阻止」をあげ、それが停戦協議でも重要な焦点になっているのもこうした背景があるからです。

 「ウクライナ戦争」の原因を究明し、急務の停戦を実現するためにも、ウクライナの「極右・ネオナチ勢力」の過去・現在の行動を報道・解説することは必須です。ところが、NHKは一貫してこの問題に触れていません。これは重大な偏向と言わざるを得ません。

 上記のような偏向はもちろんNHKだけではありません。民放、新聞も五十歩百歩です。

 私たちはこうした偏向報道・「解説」にどっぷり漬かっていることを自覚する必要があります。その中で、報道を鵜呑みにせず、可能な限り真実に近づく努力をすることが求められています。

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