アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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衆院3補選・過去最低投票率は何を示すか

2024年04月30日 | 日米安保・軍事同盟と政治・社会
   

 自民党の全敗となった3つの衆院補選(28日投開票、島根1区、東京15区、長崎3区)。最も注目すべきは投票率です。
 島根54・62%(前回比-6・61㌽)、東京40・70%(-18・03㌽)、長崎35・45%(-25・48㌽)、いずれも過去最低です。これは何を示しているでしょうか。

 自民党支持層のかなりが棄権したという見方はできるでしょう。「「政治とカネ」問題が直撃し、国民の不信がうずまく中、投票率は低迷」(29日付京都新聞=共同)という側面は確かにあるでしょう。

 しかし、最低投票率の理由はそれだけでしょうか。

 「政治とカネ」が重要な問題であることは言うまでもありません。しかし、それは果たしていま選挙で問うべき最大の問題(争点)でしょうか?

 この半世紀の日本政治を振りかえれば、ロッキード疑獄、リクルート事件はじめ数々の「政治とカネ」の問題がありました。総理大臣経験者(田中角栄)が逮捕もされました。それらはアメリカや大企業も絡んでいる点で今回の裏金よりさらに根源的な問題でした。そのたびに、自民党は直後の選挙で大敗しました。

 しかしそれで日本の政治は変わったでしょうか?「政権交代」による自社さ政権(1993年8月~96年1月)、民主党政権(2009年9月~12年12月)でいったい何が変わった(良くなった)でしょうか?

 日本の政治が根本的に変わらない、良くならないのは、政治を腐敗させている根源を一貫して不問にしてきているからです。
 それはアメリカに対する従属、具体的には日米安保条約による軍事同盟です。それは軍事はもちろん、経済、社会のあらゆる面に及んでいます。その是非が選挙で問われたことは、少なくともこの半世紀、全くありません。

 いま、市民(有権者)の最大の関心事は、はたして「政治とカネ」でしょうか?それは自民党に対する怒り(軽蔑)ではあっても、政治に対する期待ではないでしょう。

 最大の関心事は、仕事、生活、医療、教育であり、ガザやウクライナの停戦・平和ではないでしょうか。それらの問題の根源にあるのが、日米安保条約による大軍拡であり、対米従属の軍事・外交です。いまこそ「軍事費を生活・福祉・教育に回せ」「軍事同盟を解消して平和外交を」を最大の争点にすべきです。

 それが選挙で問われないのはなぜか。立憲民主党はじめ野党もそろって、さらにはメディアも含めて、「日米安保条約=軍事同盟」に賛同しているからです。日米安保=軍事同盟の視点から見れば、日本の政治はオール与党です。

 日米安保条約を歴史的に危険な段階に押し上げた先の日米共同声明(12日)の直前に、立憲民主が「経済安保法案」の衆院通過に賛成した(9日)のは記憶に新しいところです(11日のブログ参照)

 今回の補選で、「投票率は低く、野党第1党である立憲民主党が全面的に支持された結果とは言い難い」(小林良彰・慶応大名誉教授、29日付京都新聞=共同)のは当然です。

 低投票率に表れた政治不信の最大の要因は、政治の根源を問わない(争点にしない)オール与党化(翼賛化)です。日本共産党もそれに加わっています。この構造があらたまらない限り、低投票率=政治離れ=政治腐敗が変わることはないでしょう。
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