アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

沖縄事件「第二の加害者」と参院選

2016年06月27日 | 日米安保・沖縄

     

 「安倍晋三さん、日本本土にお住いのみなさん、今回の事件の『第二の加害者』は、あなたたちです。しっかり、沖縄に向き合っていただけませんか

 「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾!被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める県民大会」(19日)で、玉城愛さん(シールズ琉球=写真左)がこう訴えて1週間になります。
 
 大会後、「私たち国民全体が沖縄の声に耳を傾けるべきだ」(20日付東京新聞社説)という声が以前より広がっている気がします。たとえば、「戦後71年たってなお、国土面積の0・6%しかない沖縄に在日米軍専用施設の74%が集中し、若い女性が基地の存在ゆえの凶悪な事件で命を落とす。そんな沖縄に終止符を打つことが日本全体の務めだ」(20日付毎日新聞社説)。

 ではその「日本全体の務め」をどうやって果たすのか。「沖縄の声に耳を傾ける」とは何をすることなのか。具体論になると途端にあいまいになるのが日本のメディアです。そして、あいまいなのはメディアだけではないでしょう。

 事件後広がっている「沖縄の声」は、「全米軍基地撤去」です。県民大会決議も「米軍基地があるが故の事件」といい、「もはや『基地をなくすべきだ』との県民の声はおさまらない」と強調しています。
 いま「沖縄に向き合う」「沖縄の声に耳を傾ける」とは、「全基地撤去」のために具体的な方策を講じることにほかなりません。

 その方策は何でしょうか。沖縄から米軍基地をなくするには、沖縄に米軍基地がある法的根拠を取り除くこと、すなわち日米安保条約を廃棄すること以外にありません。

 日米安保条約第10条は、「いずれの締約国も(日本とアメリカー引用者)他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行われた後一年で終了する」と明記しています。
 日米安保条約の廃棄は、不可能なことでも荒唐無稽なことでもありません。主権者の意思で実現可能です。「イギリスのEU離脱」がそうだったように。

 県民大会から3日後の22日、参院選挙が公示されました。
 安倍首相は第1声から「安保法制の廃止は日米同盟を壊す」と日米同盟=軍事同盟の強化を前面に打ち出しました。「第二の加害者」の自覚などもとより微塵もありません。

 一方、本来、沖縄・基地問題を最大の争点として打ち出すべき野党にも、その姿勢は見られません。逆に安倍首相の発言に対し、「安保条約を廃棄すると言っているわけではない」(岡田克也民進党代表)と弁明する始末です。

 野党が及び腰なら、私たちから声を大にして参院選の争点にするしかありません。「今こそ沖縄から全ての米軍基地の撤去を」「日米安保条約=軍事同盟の廃棄を」。
 それが、「第二の加害者」としての責任ではないでしょうか。


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