アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「先島への自衛隊配備」がなぜ参院選の争点にならないのか

2016年06月28日 | 沖縄と基地

    

 石垣島、宮古島、与那国島の先島諸島への自衛隊配備問題が、参院選の争点になっていません。全国ではもちろん、沖縄においてもです。

 「中国脅威」論を利用して自衛隊配備を強行しようとしている安倍政権与党の自民、公明が争点化を避けているのは分かりますが、反対してしかるべき国政野党にも、この問題を前面に押し出そうとする姿勢がみられないのはどうしたことでしょうか。

 翁長県政与党の「オール沖縄」から立候補している伊波洋一氏は公示直前の20日に6項目の「基本政策」を発表しましたが、その中に自衛隊配備問題は一言もありませんでした。

 公示にあたっての沖縄県内政党コメントでも、自衛隊配備に触れている政党は皆無です。たとえば日本共産党沖縄県委員会のコメント(22日付琉球新報)も、辺野古新基地、安保法制、憲法、消費税、TPP、社会保障、子育て・くらしを争点として列挙しながら、自衛隊配備は取り上げていません。

 候補者や政党だけではありません。琉球新報、沖縄タイムスはともに22日付で参院選公示にあたっての社説を掲載しましたが、いずれの社説にも「自衛隊配備」問題は出てきません。

 これはいったいどういうことでしょうか。

 「沖縄選挙区では米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設について、県民がどう判断するかを注目したい」(22日付琉球新報社説)というのはわかります。しかし、「沖縄の将来を見据えた最善の選択を示してほしい」「基地、改憲が争点だ」(同)といいながら、自衛隊配備問題に触れないのは、それが「沖縄の将来」や「基地」とは関係ないという認識なのでしょうか。

 参院選に先立つ県議選でも、自衛隊配備問題は争点になりませんでした(6月4日の当ブログ)。県政与党(いわゆる革新)や沖縄本島の市民運動、そして県紙が、「辺野古」問題ほどには自衛隊問題に力を入れていないことは否定できません。

 そのことと、「オール沖縄会議」が日米安保体制を信奉し自衛隊配備にも反対していない翁長雄志知事を押し立てていることは、けっして無関係ではないでしょう。

 先島諸島への自衛隊配備は、沖縄を新たな前線基地にするとともに、米軍と自衛隊の一体化に拍車をかけるものです。
 「辺野古」問題のカゲで、自衛隊配備・強化が粛々と進むという事態は絶対に阻止しなければなりません。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする