昨年の新聞にも取り上げられ、ネット上でも話題になっているJR長万部駅から北側に徒歩3分ほどのところにある「甘太郎食堂」。
いつかは訪れてみたいとは思っていたが、なかなかチャンスがなかった。しかし、昨日黒松内の山からの帰りにたまたま昼どきに通ったので、寄ってみた。
何が評判かと言えば、レトロというよりもザ・昭和。そこだけ、時が止まったかのような大衆食堂らしい。潮風にはためくのれん、年季の入った看板。見た目からしてノスタルジックだが、店内も期待を裏切らない。何十年と客を迎えてきたのであろう空間に、簡素なパイプテーブルとパイプイスが並ぶ。壁には、ラーメンやそば、うどんなど、大衆食堂らしい “何でもアリ” なメニューがズラリ・・・・とのこと。
簡素なパイプテーブルとパイプイスが並ぶレトロな店内の様子。長い煙突の石油ストーブ。国鉄時代に栄えた長万部時代のままなのであろう。
リーズナブルなメニューがずらり。一番高いのが天ぷら定食の950円。カツラーメンや味噌カツラーメンなどという珍しいメニューもある。
厨房の中をチラッと・・・老夫婦ともう一人年配の女性と3人でやりくりしているらしい。調理は老夫婦が担当しているようだ。
この店の人気メニューはチャーハンと味噌ラーメンらしい。先客の全員がそのどちらかを食べていた。そこで、自分も半チャーハン(350円)と味噌ラーメン(550円)を注文。
出された半チャーハンを見て、ビックリ!普通の店の1人前はたっぷりある。味噌ラーメンのボリュームも半端ではない。果たして完食できるか心配になるくらいである。
まずは、ラーメンの中の麺と具を掻きあげてみる。たっぷりの玉ねぎともやし、キャベツに細切れの豚肉。チャーシューはなし。
スープを飲んでみる。なんか非常に懐かしい味。札幌ラーメンの味噌が出回るよりずっと以前の味噌ラーメンのスープという感じ。まさに昔にタイムスリップするような味である。
次にチャーハンに匙を付ける。オイスターソースを絡めた茶色のチャーハンにネギとチャーシュー、かまぼこ、卵、紅ショウガなどが入っており、さらに紅ショウガがトッピングされている。この見た目だけでもなぜか懐かしい。
特別個性的な珍しさや奇抜さはないが、やはり懐かしい安定感のあるおいしさである。昔、我が家で母が作ってくれたチャーハンを思い出した。
なんとか完食して腹一杯になり、味も店内の様子も何もかも、すべて昭和遺産とでもいうようなタイムスリップ感に浸って、会計をと思ったら、目の前にど~んと懐かしいレジスター・・・。まだ使えるらしいがこの存在に違和感がないのもすごい。
これだけの満腹感と満足感をいただいて、わずか900円というのが、これまたうれしい。
妻に話して写真を見せたら「自分も行きたかった~。一人だけでずるい!」と言われた。
外に出てみたら、昔の駅前商店街なのに、ほとんどの建物のシャッターが下りている。国鉄で栄えた時代のこの通りを知っているだけに、非常にさびしい思いに駆られた。この通り自体が昭和遺産なのかもしれない。