今年度の函館市文化賞受賞者は、「地域教育の振興に貢献」された小笠原愈氏である。
小笠原氏には20代のころからいろいろとお世話になってきたこともあり、ロワジールホテルで開催された贈呈式に数人の仲間とともに参列した。
氏は、函館市内の小学校を振り出しに、北海道教育研究所員、北海道教育委員会指導主事、各種養護学校長、北海道特殊教育センター長などを歴任され、主に教育支援教育の指導行政・実践・研究に尽力された。これまでに博報賞や文部大臣賞などを受賞するなど、全国的に高い評価を受けている。退職後は函館に戻り、函館短期大学と函館大学の学長として、地域の人材育成と私学振興に尽力してきた。
工藤寿樹函館市長の式辞
氏との出会いは40年以上前で、氏が附属小学校に勤務されていたころである。附属小公開研究会での氏の公開授業分科会に参加した。その参加者の中から氏が選んだ10人程度で教育研究に関する私的なサークルが発足した。自分はその中で最年少だったが、その後少しずつ人数を増やし、現在まで続いている。氏が行政へ出るまでの数年間は、年数回の集まりが開催され、全員研究実践レポートを持ち寄り、質の深い勉強会が展開された。その後も、その会は年に何度かの宿泊研修や研修旅行の形態でずっと続いた。やがて、メンバーは全員校長になり、現在は全員退職し、懇親会だけが年1回続いている。
自分が38歳のとき、1年間の長期研修で北海道教育研究所に派遣されたが、その時には所員として在勤しておられ、大変お世話になった。さらに、函館短期大学学長のときには、娘を教員として採用してくれた。氏は、娘を新卒で採用し、生え抜きの助手~講師~助教授~教授との構想だったようだが、結婚して本州へ行ったために2年間で退職して大変申し訳なかった。
今日の挨拶も、氏らしい温かな教育観と細やかな気遣いに満ち溢れたものであった。