増毛山道とは、江戸末期に急峻な断崖によって交通の難所とされた増毛~雄冬間を迂回すべく、幕府の命を受け、増毛の漁場を請け負っていた商人「伊達林右衞門」によって、安政4年(1857年)に私費1500両余を投じ開削された山道である。現在の石狩市浜益区幌と増毛町別苅を結ぶ全長約27.8kmに及び、1000mを越える浜益御殿や雄冬岳を越える山道であった。
昭和20年頃まで使われ、最近まで草木に埋もれていたが、平成21年から3年余りをかけて「増毛山道の会」の手によって、笹刈りをし別苅~岩尾間16kmが復元された。さらに、その後、新たに幌~岩尾間が復元されて、平成28年には増毛山道が全線復元された。
その山道を歩く
「増毛山道の会」主催の体験トレッキングが年に何度か開催されている。
13,9,14には、岩尾入口~別苅入口(16.3km) のトレッキングに参加している。
今回は、反対側の幌入口~岩尾入口(16km)の体験トレッキングに参加した。参加費は、バス代、資料代、ガイド料を含めて5000円。参加者は、19名にガイドスタッフ4名。中に、拙著を買いましたと挨拶して下さった方が4名もいた。
今回のコースの特色は、1039mの浜益御殿を越えて200mほど下り、再び雄冬山の1040m付近まで登り返して、最後は海抜20mまで下るハードなコースである。そのような所に山道を開削せざるを得ない地形が凄いし、当時の人がそこを歩いていたことが凄い。
午前6時に、ゴールとなる岩尾別温泉(あったまーる)駐車場に集合し、バスで幌入口へ移動。
7時に、幌起点となる林道ゲートをスタート。しばらく林道を歩き、新しく開削した増毛山道へ。
今回のガイドリーダーは、この7月に「増毛山道の会」の会長になられた、こがね山岳会事務局長の渡辺千秋さんだった。実は、拙著『ほっかいどう山楽紀行』の群別岳のページにも登場しているが、2001年5月に、2人で群別岳に登っている。その後1度お宅にお邪魔しているが、暫くぶりの再会だった。それだけに、歩きながら、直径2cm以上ものネマガリダケの密集地帯の中に埋もれていた山道の痕跡を探し出して、開削した苦労を直に聞くことができた。
明治40年設置の一等水準点。一等は国道にしかないので、この山道は国道扱いだったことが分かる。
増毛山道には17点あるが、まだ9点しか見つかっていない。北海道で最も高い所にある水準点は浜益御殿の頂上の直ぐ手前。
浜益御殿の頂上への登り
浜益御殿の頂上から、このあと登り返す雄冬山を眺める。この雄冬山にはこの浜益御殿を経由して、残雪期にスキーで登っている。ほぼこの増毛山道と同じルートだそうだ。
このコースを岩尾側と幌側から開削し、昨年開通式をした場所
左から、暑寒別岳~奥徳富岳~群別岳(中央の尖峰)~幌天狗~浜益岳の眺望。全て残雪期に踏破済み
昼食タイム
沢を巻いて登る
これも残雪期に登っている岩尾天狗
林道と交差する地点で、車で運んできたフルーツの提供。このほかに、大量のぶどう(ナイアガラ)もあった。さすが、果物の町増毛だ。
4年前に登ってきて反対側へ進んだ岩尾分岐。今回はここから岩尾へ下る
こちらには増毛山道の標識もある
17時30分、日本海に沈もうとしている夕日に向かってゴール間近。
ゴール地点の岩尾温泉駐車場から眺める日没ショー。
岩尾温泉あったま~るで、10時間30分もの歩きの疲れを癒して解散。レクチャーもあるので、時間はただ歩くより長く掛かった。
詳しくは、帰宅後にHPに記載します。
明日は、大雪の紅葉を見たいので、黒岳から北鎮岳の辺りをぶらぶら歩く予定。