癌春(がんばる)日記 by 花sakag

2008年と2011年の2回の大腸癌手術
   ・・・克服の先に広がる新たな春を生きがいに・・・

『ルポ 車上生活~駐車場の片隅で』

2020年10月05日 | 読書・映画

 この本は、NHKスペシャルで2020年2月に放映された番組が書籍化されたものである。残念ながら、その番組は視ていない。もし、再放送されるなら、そのときはぜひ視てみたい。

 自分の日帰りの以外の旅は、夏冬に関わらず、すべて車中泊で、一番多く利用するのは道の駅である。道の駅のほとんどの利用者は旅行者だが、その道の駅の陰の部分に、このような人々が存在していたということは、非常にショックだった。

 読んでみて、確かに該当しそうな車があったことは記憶にある。古くて汚れたままの軽自動車、目隠しはしてあるが、それが、新聞紙だったり、汚れた布であったり、雑然とした荷物がたくさん詰め込まれている車、服装や身なりが薄汚れている運転者、人目を避けるように暗い隅の方にひっそりと停まっている車・・・それらが全てそうだとは言い切れないが、車をねぐらにしているホームレス状態の人々が存在していたことは否定できない。

 この本は、全国に1160ある「道の駅」すべてを初調査し、現場を駆けずり回って取材を重ねたディレクター、記者、カメラマンたちが書き下ろした渾身のルポルタージュである。

 老い、病気、失業、肉親からの虐待、配偶者との死別、人間関係のつまずき・・・。それぞれの事情を抱えて、車しか行き場がなかった人々。貧困だけではない“漂流の理由”とは?

 「年金だけでは家賃が払えない」、「DVから逃れるため」、「他人との関わりが煩わしい」「車を持っていると生活保護が受けられない」・・・それぞれの理由、それぞれの事情を抱え、社会から距離を置き、一種の漂流生活を送る「車上で生活する人々」・・・彼らはなぜ、“車中の人”となったのか? その存在は、日本社会の「いかなる現実」を反映しているのか?という視点から、その実態が生々しく綴られている。

 番組では取り上げられることのなかった、"車中の人々"の数多くの人生、数多くの思いをレポートするとともに、取材者たちの葛藤や迷い、苦悩についても、独自の視点で語られている。

 下記は、最後の結びの一文だが、今度から道の駅に泊まるときに、そのような車を探してしまいそうな自分が怖い…。

 「私たちが出会った車中の人々。孤立、貧困、無関心。

      車の中には、社会が積み残してきたものが溜まり込んでいる。

  今後も駐車場の片隅で、人知れず生きる人たちがいる。」


映画「フリーソロ」 & 懐かしの草大福・豆大福

2020年06月19日 | 読書・映画

 昨年国内で上映され、HYMLでも話題になっていた「フリーソロ」、NHK BSプレミアムで、6月15日(月) に放映されたので、録画しておいて、ゆっくり観た。

 フリーソロ・クライミングとは、ロープや安全装置を一切使わずに、素手で、単独で岩壁を登ることである。一歩間違えば確実に死に至る・・・その第一人者アレックス・オノルドが、カリフォルニア州ヨセミテ国立公園にそびえる標高差約1000mほどの巨岩「エル・キャピタン」に世界初のフリーソロで挑んだドキュメンタリー映画である。

 監督もカメラマンもすべて、トップ・クライマーばかりである。臨場感あふれるカメラワークで、極限状態にある人間の姿を映し出している。

 この映画は、第91回アカデミー賞において、長編ドキュメンタリー賞を受賞したほか、2019年英国アカデミー賞(ドキュメンタリー部門)を受賞するなど、全世界で45賞ノミネート、19賞受賞の快挙を成し遂げている。

 なお、アレックス・オノルドはフィッツロイの縦走で2015年にピオレドール賞を受賞している。

 (以下の画像は、TV画面を撮影)

 成功か死か・・・。幾度の失敗と練習を重ね、2017年6月3日、人類史上最大の挑戦に挑む・・・。

 3時間56分で登り切った。映画として完成しているので、死なないと分かっているから安心して見られたが、手に汗握るハラハラ、ドキドキものである。

 このフリーソロで亡くなっているたくさんの有名クライマーも取り上げられていた。真っ逆さまに落ちていく映像も・・・。本人も周りも、監督もカメラクルーも死を覚悟して臨む・・・まかり間違えば、カメラマンは友人でもある彼の死ぬ瞬間を目撃することになる・・・地上で撮影のカメラマンもとても見ていられず顔をそむける場面もある。

 一度は、撮影カメラの存在に平常心を奪われて止めてしまった・・・そのことからカメラマンも、カメラやクルーが彼の視線に入らないように配慮し、本番も、彼の精神状態次第で、カメラクルーにも連絡をしないで登り始めている。  

 彼の子どものころからの成長の様子、恋人との葛藤、トレーニングのこと、練習に付き合た友人のこと、練習中に滑落して怪我をしたことなどなど・・・成功を祝う友人の「死ななくてよかった 心底 ほっとした」という言葉にすべてが凝縮している映画だった、

 美しい虹の懸かる滝のそばの岩壁を登る映像も・・・。

 

◎草大福・豆大福・・・昔懐かしの田植え餅の名残り

 明治40年創業の北斗市本町の「カネスン金丸菓子舗」・・・子供のころは「カネスンさん」という屋号しか知らなかった。今でも地元ではそう呼んでいる。

 今年も北斗市(旧大野町)本町の「カネスン金丸菓子舗」の草大福と豆大福を予約して購入。凄い人気で、毎日作る数に制限があるので、予約しなければ買うことができない。それも、1週間以上もあとの予約だった。

 昨年は、初めて知って、草大福5個セットを買ったが、豆大福もあるというので、今年は草大福2個と豆大福2個を予約しておいた。ちなみに、バラ売りでは1個200円なはずだが。なぜか税込みで784円だった(884円なら分かるが?)。季節限定で、7月10日ごろまでやっているどうだ。

 人気の秘密は、この大きさであろう。直径7.5cmほどある。それでも、昨年より一回り小さくなったような気がする・・・これは、昔の大野の田植え餅の名残りである。当時の田植え餅は10cmほどの大きさだった。大野で育った自分も、友人の家の田植えを手伝っては、良くもらったものだ。それは、決まったようにどの家も、白大福4個と草大福1個のセットだった。豆大福はなかったような気がする。

 

 昨年の記事~「昔懐かしの田植え餅」(2019,5,31)※60年ぶりに会った女将さんが、こちらから名乗ったら、覚えていてくださった。 


「マンガ 日本の歴史」読み返し

2020年03月23日 | 読書・映画

 昨夜は、前夜ほとんど寝てないこともあり、晩酌の酔いに任せてすぐに寝たが、夜間痛もなく、12時間も爆睡することができた。

 今日の肩の痛みは嘘のように楽になり、午前中に治療を受けてからは、さらに痛みが和らいでいる感じである。早いうちに治療を受けたことが功を奏しているのかもしれない。この調子で回復するのであれば、それほど日数は掛からないかもしれないと思うほどである。しかし、しばらく肩に負担をかけることは自重することにした。

 だからと言うわけではないが、1989年(平成元年)11月~1994年(平成6年)6月の4年半に渡って配本された「マンガ 日本の歴史」(石ノ森章太郎著)<中央公論者発行>全55巻をじっくり読み返そうと思っている。実は、当時1巻ずつ配本されて来たが、読むのが追い付かなくなり、読んでいない巻も相当あるはずだ。

 マンガとなってはいるが、子供向けではなく大人のための「萬画」日本史であり、本格的な歴史書である。

 縄文時代末期からスタートし、古代編1~12巻、中世編(13~24巻)、近世編(25~36巻)、近代・原始編(37~48巻)、さらに補追の現代編(7巻)で、全55巻という構成になっている。近代・原始編のうち45~48が原始編なので、そこから読み直してみることにした。

 ここ数年、旧街道の歩き旅をしていて、その土地土地の重層的な歴史に触れることが多かった。そのたびに、その歴史のことが良く分かっていないことに気づいたこともある。また、最近になって新しい発見や見直しなどもあり、これまでの歴史観がすこしずつ変わってきていることもある。


DVD映画「感染列島」を観る

2020年03月16日 | 読書・映画

 昨夜、妻がTSUTAYAから借りて来たDVD映画「感染列島」を観た。2009年の映画であるが、今、まさにわが国だけでなく世界中を震撼させている新型コロナウイルス感染拡大を予言しているような内容だっただけに、恐怖におののく思いで観た。

 原作は漫画らしいが、当時は、大衆を無闇に怖がらせる大袈裟な映画だと見なされたらしい。しかし、時は流れ2020年、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっている。今回の新型コロナのことでいろいろな知識を身に付けた目で観ると、詰めの甘さやリアルすぎる大袈裟な表現が気になる場面も多いが、この映画が描いたことは、大袈裟では無い、実際に起こることなのだと証明してしまったことになる。

 観たいと思っている方にとっては、ネタバレになるので、あらすじには触れないが、前半のストーリーは、上掲の一場画の映像のように、まさに封鎖された中国の武漢の様子を彷彿とさせるし、病院や国の混乱や対応の乱れ、院内感染の恐れ、国民生活の困惑などは今の日本にも通じるものがある。

 ただ後半はセンチメンタルを優先する脚本に転換され、一気にリアリティを失ってしまっているのは残念でならないが、病院関係者の奮闘ぶりがリアルに伝わってくる。

 今は、新型コロナウィルスの怖さよりも、それへの国の対応による経済の崩壊の方に心配が移っている感がないでもない。しかし、本作は今こそ沢山の人に観られて良い映画だし、テレビでも放映すべきだろう。今後、今の新型コロナより恐ろしいウイルスに襲われることがあるかもしれない・・・こうなってはいけないというイメージを共有するためにも・・・。

 最近増えている自然災害や大地震に見舞われるたびに、小松右京の「日本沈没」を思い出す。この映画もそれに通じるものがある。

 あらすじ等を詳しく知りたい人は、Wikipediaでどうぞ!

 なお、「感染列島 無料配信」で検索してみたら、いろいろな無料配信サービスもあるので、そちらで観ることもできそうです。


映画「男はつらいよ50 お帰り寅さん」

2020年01月09日 | 読書・映画

         

 去る12月上旬の姪っ子の結婚式で東京へ行った際に、葛飾柴又を訪れ、「寅さん記念館・山田洋次ミュージアム」を観てきた。

 そのときに、1969年に第1作が劇場公開された『男はつらいよ』シリーズの50作目となる『男はつらいよ50 お帰り寅さん』が、今年の正月映画として、22年目ぶりの新作として封切られることを知ったので、ぜひ観ようと思っていた。

   

 今年はシリーズ50周年を記念して、TVでも昔のシリーズが放映されている。一昨日も、NHKBSプレミアムで、傑作のひとつとされている7作目の太地喜和子がマドンナの『男はつらいよ 夕焼け小焼け』が放映されていたのを観た。出演者は亡くなっている顔ぶれも多く、非常に懐かしかった。

 さて、今日観てきた22年ぶりの新作となる今回のシリーズ50周年作品『男はつらいよ50 お帰り寅さん』は、新撮された登場人物たちの”今“を描く映像と、随所に回想場面で登場して蘇る寅さんのシリーズ映像が見事に紡ぎ合う、新たなる『男はつらいよ』が描かれていた。

 ストーリーは、「寅さん」こと車寅次郎の甥・小説家になっている満男(吉岡秀隆)が主人公で、かつて思いを寄せたイズミ(後藤久美子)のその後の物語が展開され、別々の人生を生きてきた2人を軸に、さくらや博、くるまやを囲む人々の姿が描かれる。出演者は倍賞千恵子、前田吟、浅丘ルリ子、夏木マリら。後藤久美子は1989年の42作目「ぼくの伯父さん」に登場している。そのシリーズの場面が多く挿入されているが、当時の可愛さがひときわ懐かしい感じがした。

 昔の映像は、4Kデジタル技術で非常に鮮明な映像として修復されていて、古い映像という感じが全くしなかった。それだけに挿入という感じがしなくて、非常に自然な流れになっていた。

 山田洋次監督は88歳になるというが、まさに天才である。これまでに49作も作ってきただけに、その中から回想場面として挿入される寅さん登場の場面が、ストーリーとピッタリな感じで非常に自然な流れとして収まっていることに感心しながら観ていた。

 寅さんを蘇らせるために、どんな顔ぶれで、どんなストーリー展開にしたら良いかを工夫した、山田洋次監督ならではの傑作といえよう。

 最後の場面で、これまでのシリーズのマドンナたちとの名場面が次々と映し出されるのが懐かしかった。亡くなったばかりの八千草薫をはじめ、吉永小百合、大原麗子、桃井かおり、松坂慶子、栗原小巻、都はるみなどなど。本作では、歴代のマドンナの中でも、寅さんと相思相愛だったリリー(浅丘ルリ子)も登場している。


DVD映画「そこのみにて光輝く」

2019年08月31日 | 読書・映画

 昨夜は雷が轟き、珍しいほどの豪雨に見舞われた。函館も警戒レベル3が発令されたようだ。低い土地や低い川の付近では道路に水が溢れたり、浸水被害を受けた家もあったらしい。

 8月も中旬以降涼しくなり、夏も終わったか?と思っていたのに、ここ数日はまた暑さがぶり返してきた。特に今日は、朝から晴れ間が広がり、最高気温28℃超えを記録した。

 午前の早い時間に整骨院(肩の治療)へ行ったきり、暑かったので外にも出ず、家の中で過ごした。片付けていた扇風機もまた出してきた。

 そんな中、午後には、妻が借りてきていたDVD「そこのみにて光輝く」を2人で観た。
 原作は、芥川賞候補5回、三島賞候補にもなったが受賞せず自殺した函館出身の佐藤泰志の遺作である。ロケも函館市内や近郊で行われた2014年春に全国ロードショーとなった映画である。

 やはり、佐藤泰志原作の最初の映画で、函館市内のロケで製作された「海炭市叙景」も観ている。芸術作品としては理解できるが、内容やストーリーが暗くて押しつぶされるような重さだけが感想として残っていた。
 今度のこの作品も、多くの賞を受賞しているだけに、興味はあったが、きっとまた同じような暗くて重い作品だろうと2014年の上映時は観にいかなかった。

 ストーリーは、函館の一瞬の夏を舞台にした愛の物語である。貧困な家庭、半身不随で寝た切りの父親とパチンコ好きの母親。仮釈放の身ながらも人懐っこい弟。そしてその家庭を支えようと、自分の体も売り物にしていく姉。その姉に惹かれて行く心に傷を持つ主人公・・・・。

 案の定、これでもかというような底辺の生活の生々しい情景設定の中で展開され、救われない人達を見ているのが辛くなるような閉塞感と陰鬱感が漂う作品だった。
 そんな底辺の生活の中でも必死に生きて行く、そんな2人に光が射した描写で、最後のシーンで少しは救われた感じだった。

 不器用にしか生きられない人達のそれでも日々生きる様が痛くも愛おしい。しかし、理解はできるが、あまりにも自分の世界とはかけ離れているためか、共感はできない感じだった。

 なお、ロケ地でもっとも多く出てくるのが、主人公が惹かれる姉の家族が住むバラックの家がある、対岸に函館山を望む北斗市東浜の海と砂浜だった。あとは、啄木小公園と大森浜、本町エリアの飲食街、山上大神宮、津軽屋食堂など。暗い設定のせいか、函館の魅力ともいえる観光地などはほとんど登場していない。

忘れられた映画「ひろしま」

2019年08月23日 | 読書・映画

 この映画「ひろしま」は、去る8月10日のETV特集「忘れられた“ひろしま”~8万8千人が演じた“あの日”~」が、NHK Eテレで放送されて、初めて知った映画だった。それが、8月16日の深夜にEテレで放映されたので録画しておいた。
 
 まず、この「ひろしま」は日教組(日本教職員組合)の独立プロ作品だということに驚いた。次に驚いたのが、原爆の投下から8年後に製作されたということと、8万8千人もの広島市民が撮影に参加したということである。

 長田新編『原爆の子―広島の少年少女のうったえ』を八木保太郎が脚色し、『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』の関川秀雄監督が映画化した反戦ドラマである。

 ベルリン国際映画祭で長編劇映画賞を獲得するなど国際的にも高い評価を受けた。しかし、日本では映画配給会社が「反米的だ」ということで嫌がったため、上映が拒否され、大規模に公開することができず、ほぼお蔵入りに近い形になって、その存在は忘れ去られていたそうだ。

 これまでいろいろな広島原爆の映画等を見て来たが、これほどリアルで衝撃的な映像は初めてだった。それもそのはず、映画の脚本は、被爆した当事者達の手記を基に作られている。また、出演している人の多くが、被爆した人々だそうだ。被爆した衣類やがれきを持ち寄りもした。実際の映像も使用されており、原子爆弾の恐怖や広島の惨状、市民の苦しみが、原爆症に苦しむ高校生の姿を通して描かれている。

 出演したのは岡田英次、月丘夢路、神田隆、山田五十鈴、加藤嘉、利根はる恵ら。監督の関川秀雄は映画製作の7年前に広島に原爆が投下された直後の地獄絵図の映像化に勢力を注ぎ、百数カットに及ぶ撮影を費やして、克明に阿鼻叫喚の原爆被災現場における救援所や太田川の惨状などの修羅場を再現したという。そして被爆者たちのその後の苦しみを描いている。

 詳しいストーリーは省くが、広島原爆の衝撃と惨状、その後の苦しみ等をリアルに知る貴重な作品であることは間違いない。
 TSUTAYAでもレンタルのDVDを扱っているようだし、amazonでもDVDを扱っている。

ミステリー小説に惹かれるわけ

2018年10月30日 | 読書・映画

 読書週間というわけではないが、図書館で前に借りた本を返して、新しく借りて来た。前回も今回も東野圭吾と真保裕一のものばかりである。この2人は、共にミステリー作家である。

 学生時代は純文学を乱読し、現職のころは、必要に迫られて読むものや啓発ものが多かった。しかし、退職してからは、時間つぶしの読書が多くなった。特に、天候のよいときは外での活動がメインなので、天候が悪い時の時間つぶしはテレビか読書である。それ以外の何か没頭できる高尚な文化的な趣味を持ちたいと思っているが、なかなか見つけられないでいる。

 時間つぶしだからといってどんなジャンルでも良いと言うわけではない。テレビもサスペンスやミステリー系のドラマが大好きだが、読書も同じで、それにノンフィクション系のものが加わる。
 自分の傾向としては、面白い作家が見つかると、その作家のものを次々と読むことが多い。これまでに、一番好きな松本清張や吉村昭を初め、新田次郎、生田直親、森村誠一郎、西村京太郎、夏樹静子、佐々木譲、梓林太郎などのものを多く読んできた。今は、東野圭吾と真保裕一にハマっている。最近は若くて優秀なミステリー作家がどんどん出てきているようだ。いずれ、それらの作品も読んでみたいと思っている。

 なぜミステリー小説に惹かれるのか、自分なりに考えてみた。時間つぶしの読書なので、面白くて、最後まで没頭して読めることが一番なのだが、没頭させられる魅力がたくさんある。

 いろいろなパターンがあるので、一概に言えないが、思いつくまま列挙すると、魅力的なトリックや謎解きのスリルや面白さ、ハラハラドキドキ感、魅力的な登場人物による魅力的な人間ドラマ、非日常的な中での場面展開、起承転結の「転」の醍醐味、どんでん返しや自分の予想の範囲を超えた展開にやられた思う快感、作家の発想の豊かさへの感動などなど・・・。
 
 要するに、スリルとサスペンスに満ちたあきさせないストーリー展開が一番なのだが、度肝を抜かれるようなとびっきりの真相が用意されていて、意外性と論理性が見事な両輪をなしている深みのある作品に惹かれるようである。

 秋の夜長、アウトドアには最も中途半端な11月を迎えて、ここ当分はミステリー世界に没頭する日々が続きそうだ・・・。

 ここ数日は、不順な天候が続いている。連日晴れ間を狙っての1万歩超ウォーキング以外は、この読書と録り溜めたテレビを観て過ごしている。

葛西紀明著『疲れない体と折れない心のつくり方』ほか

2018年01月13日 | 読書・映画

 この度8回目の冬季オリンピック代表に選ばれたレジェンドこと葛西紀明選手が昨年12月に出した著書である。

 41歳で自己最高の「個人銀メダル」を獲得し、45歳の今なお一線級の成績をマークし続ける秘訣は何だろう・・・誰しも抱く興味・関心である。きっと他人には真似のできないかなりストイックなトレーニングをしているのだろうと思ってページをめくった。

 ところが、意外と誰でもできそうな習慣やトレーニングを述べているのに驚いた。たとえば、40代になって20代と同じトレーニングをするのではなく、「年齢に見合った方法」に日々のトレーニングを切り替えた・・・その中心に置いたのが「疲れない体づくり」だそうだ。「『慢性的な疲れ』が『衰え』につながっていく」ことに実感として気づいたからとのこと。45歳になっても現役生活を続けている大きな理由の1つは、「疲れない体づくり」をつねに意識するようになったからだと言う。
 「代謝をいかに上げるか」が「疲れない体」をつくる最大のポイントだとのこと。

 そのために、実践している「5つの習慣」とその具体的な方法も述べている。
【1】体幹トレーニングで「姿勢を整える」
【2】「10分のランニング」で、むしろリフレッシュする
【3】上手にサウナに入って、とにかく「汗をかく」 
【4】「代謝を上げる食べ物」を活用する
【5】ストレッチで「下半身の柔軟性」を高める
 
 そのための具体的な留意点や方法も述べられている。特に体幹トレーニングや下半身ストレッチなどの方法を図解しているが、自分でも明日からすぐにやってみようと思うほどわずか2~3例の簡単な方法ばかりである。

 「折れない心」のためには、「心がくたびれない」「ストレスをためない」ことが大切である。そのための秘訣や、本番で「失敗しない」「緊張しない」とっておきの秘訣としての呼吸法「レジェンド・ブレス」などが述べられている。

 以上のことを「30のコツ」としてにまとめているので、驚くほどわかりやすいし、普通の人でもできる「簡単な方法」を解説していて、誰でも今日からできる内容ばかりだった。特に、「疲れない体づくり」のための方法は、まもなく74歳になる自分でもできることばかりなので、明日からでも意識的に取り組むつもりだ。

◎宮の森シャンツェでの「ワールドカップ女子ジャンプ第5戦」
 
 NHKBS1で放映された11時からの札幌宮の森シャンツェで開催された「女子ジャンプワールドカップ第5戦」を観た。


3位に終わった高梨沙羅のジャンプ


成績一覧

 結果は、これまでの今季ワールドカップの実績通りの順位だった。総合で同点で1位を分けあっているノルウエーのルンビが3勝目を挙げ、ドイツのアルトハウスが2位、高梨沙羅が3位、伊藤有希が4位だった。

 高梨と伊藤の調子が悪いのではなく、今季急激に伸びた上位の2人が強過ぎるという感じだった。飛びなれたジャンプ台でも敵わないというところに、現在の実力の違いが如実に現れている感じである。明日の宮の森、来週の蔵王で、なんとか日本の2人の巻き返しを期待したいものだ。

映画「沈黙 サイレンス」 & 夕陽会

2017年02月17日 | 読書・映画

 明後日の「恵庭クロカンスキー大会(30km)」へ向けての休養モードだったこともあり、3日連続映画ネタとなってしまった。たまたま、函館での上映(シネマアイリス)が今日で最後なので、慌てて観に行った。シニア料金が1100円なのもうれしい。

 この映画は、遠藤周作原作の小説「沈黙」をもとにしたアメリカ映画である。原作から28年経った昨年製作されたが、日本の原作をアメリカ人が映画化したらどうなるのか興味もあった。

 17世紀、キリシタン弾圧の嵐が吹き荒れる江戸時代初期の日本を舞台に、来日した宣教師の衝撃の体験を描き出す。アメリカの俳優と窪塚洋介や浅野忠信やイッセー尾形ら日米のキャストが共演。信仰を禁じられ、苦悩する人々の姿に胸が痛む。

 遠藤周作の原作は読んでないのでなんとも言えないが、残虐で衝撃的なスタート場面から、最後までずっと重たい雰囲気の映画だった。解説には「宗教論を語る難解な映画ではない。あまりにも厳しい現実を前に、価値観を根底から揺さぶられ“なにが正しいのか”を見失った人間たちのドラマ。大小のレベルはともかく、日々大切なことを見失いがちなわれわれに降りかかる“究極の試練”が描かれた作品なのである」とある。

 観た感想の一番は、信仰心のない自分だから言えるのかも知れないが、あの日本の時代背景の中で、本来なら救われるはずの信仰を貫くことの辛さと苦しみを思い知らされた映画だった

大学の同窓会・夕陽会





 例年この時期に開催される母校・北海道教育大学函館校同窓会の「平成28年度夕陽会(せきようかい)函館支部受賞祝賀会・会員懇親会」に参加してきた。

 新卒以来お世話になった多くの先輩・後輩と出会い、幸せな人生に感謝できるうれしいひとときである。
 また、11月から始まった拙筆による北海道新聞(みなみ風)への新連載『どうなん・とうほく山楽紀行』への感想を多く聞くことができて、これもうれしかった。

レンタルDVD「八甲田山」 & 愛媛からのお接待

2017年02月16日 | 読書・映画

 昨日、前から観たいと思っていた高倉健主演の「八甲田山」の映画のレンタルDVDを、妻が借りてきてくれた。

 この題材となった八甲田雪中行軍遭難事件は、1902年(明治35年)1月に日本陸軍第8師団の歩兵第5連隊が青森市街から八甲田山の田代新湯に向かう雪中行軍の途中で遭難した事件。訓練への参加者210名中199名が死亡(うち6名は救出後死亡)するという日本の冬季軍事訓練における最も多くの死傷者が発生した事故であるとともに、近代の登山史における世界最大級の山岳遭難事故である。

 それを新田次郎が1971年に「八甲田山死の彷徨」を小説として発表している。自分も当時すぐに買って読んだが、今回の映画より強烈な感動に襲われたことを覚えている。この映画は、それをもとに、1977に橋本プロダクション・東宝映画・シナノ企画の製作したものである。

 ただし、新田次郎の原作は史実と違う脚色やフィクションの部分があり、この映画でもそのまま描かれている。たとえば、青森と弘前の両連隊の雪中行軍で八甲田で会う約束をしたことはない。またお互いに連絡しあったこともなく、たまたま偶然に3日違いで出発している。さらに、弘前の連隊と青森の連隊との競争意識の中で、編成などが後手に回った青森側が無理をしたことが原因の一つと設定されたが、史実では二つの連隊間で競争を行ったわけではない。

 ちなみに、主演の高倉健は、遭難した青森歩兵5連隊ではなく、弘前から八甲田山を越えて青森まで一人の犠牲も出さずに雪中行軍を成功させた弘前31連隊の中隊長役だった。遭難した青森歩兵5連隊の中隊長は北大路欣也が演じている。

 40年前の映画なので、CGやごまかしはなく、極寒の八甲田山中のロケなので、その凄惨さと苦労が伝わってくる。高倉健をして、のちに「俳優経験でもっとも辛い仕事だった」と言わしめている。吹雪の中の深い雪を貧弱な装備でラッセルしながら歩く姿に、自分まで歩いているような錯覚に陥って、観ているだけでも疲れてきた。

 主演の高倉健をはじめ、すでに亡くなった大物俳優がたくさん出ているのも懐かしかった。


◎今年も愛媛からのお接待「伊予かんと甘平」

 今年も、12年前の四国遍路でお世話になった愛媛県松山市の法起坊見習いさんからのお接待が届いた。
 ちなみに、“お接待”とは、お遍路さんへ食べ物や飲み物をふるまったり、無料で宿や休憩所を提供さしたりする風習で、根底は「思いやりの心」であり、「大師様への功徳」でもある。

 伊予かんは(右)12年間ずっと続いているが、聞きなれない甘平(かんぺい)(左)はここ数年新しく届くようになった新品種である。平べったい形で、薄い外皮の中にあまい果肉がギッシリ詰まって、種がほとんどなく、とても食べやすい。なかなか栽培が難しいらしく、価格も非常に高いようだ。

「相棒-劇場版Ⅳ」ほか

2017年02月15日 | 読書・映画

 今日から土曜日までは、次の「恵庭クロカン」に備えて、休養モードである。そこで、大好きなTVの人気番組の1つ、水谷豊扮する杉下右京の“相棒”だが、今週から全国で一斉公開された「相棒-劇場版Ⅳ- 首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断 - 東映」をシネマ太陽函館で観てきた。
 
 いつも“相棒”の劇場版は、スケールが大きく、重厚さもあり、ストーリーも格段におもしろい。今作のテーマも「戦争」と「平和」、そして「正義」とは何かを描いており、メッセージ性が強いストーリー構成だ。このあたりの考えさせられる構成力、メッセージの伝え方は「さすが」と思った。

 国際犯罪組織が画策する東京を舞台とした50万人を対象としたテロとの対決だった。しかし、その犯罪計画の背景が第二次世界大戦時の悲しい境遇にあることも考えさせられたし、今後、近いうちに本当にこんなことが起こるかもしれないと言う危機感を感じさせてくれる内容だった。

 あと、観たい映画がもう一つある。遠藤周作の小説「沈黙」を、「ディパーテッド」「タクシードライバー」の巨匠マーティン・スコセッシが映画化したヒューマンドラマ「沈黙-サイレンス」だ。調べたら、今週末までシネマアイリスで上映されている。明日か明後日にでも観てこようと思っている。

夕食は「とんきのお客様感謝祭ツーコインサービス」

 
老舗のメインメニューが600円(税込)でいただけるのがうれしい。
しかし、年に2回ほどあるこのサービスのときにしか行かないのが申し訳ない。


ヒレカツ定食


エビフライ定食
いつもヒレカツとエビフライを妻と半分ずつ分けあってご賞味。


『身近かの山』阿部たつを著

2017年02月09日 | 読書・映画

 北海道新聞夕刊(道南版・みなみ風)の「どうなん・とうほく山楽紀行」の連載を始めてからは、掲載後にいろいろな方から多くの反応があって、非常にうれしい。
 この2/17で最終回(115回)を迎える5年間にわたる札幌圏版の「ほっかいどう山楽紀行」は、地元では読めなかったので、こうはいかなかった。

 そんな中で、2/7の「横津岳」の掲載後に、20代のころ同じ職場であちこち連れて行ってもらった、私の山の元祖師匠であるyamaさんから、「戦前の新聞に連載されていた函館近郊の山歩きの紀行文を1冊にまとめた貴重な本がある」と電話をいただいた。昨日、早速借りに行ってきた。

 それは、函館山岳会初代会長だった阿部たつを氏の昭和37年発刊の著書で『身近なの山』だった。阿部たつを氏は、医者で歌人だったことは知っていたが、登山家だったことは初めて知った。
 「はこだて人物誌・阿部たつを」によると、登山家“阿部”としては、大正末から昭和初めにかけてアタックした山は数知れず、中でも横津岳、駒ヶ岳など登山道もない道南の山々は阿部氏が登って新聞などに紹介した・・・とある。

 表紙を開いてみて、冒頭の貴重な5枚の概念図に驚いた。ここにスキャナーで取り込んだものを掲載する。彼が歩いた登山ルートや伝説に残っている古い登山道や山道が点線で記載されている。









 紀行文の内容は、それらのルートを歩いたときのもので28編にも及ぶ。まだ最初の昭和8年の新聞に掲載された「横津嶽登山記」しか読んでいないが、歌人だけに、まずは文章の素晴らしさに感嘆。当時の登山の服装や装備、周りの景観や登山道の様子の表現もさすがである。

 しかも、その登山コースが凄い。七飯の駅から当時の七曲コースを登り、今ではすっかりヤブに埋もれている軍川へ下る道を縦走し、大沼公園で遊んで大沼駅(現在の大沼公園駅)から帰函している。

 これから、その1編ごとを、概念図と照合しながらゆっくりと読み進めることが楽しみである。 

吉村昭著『大黒屋光太夫』

2016年12月07日 | 読書・映画

 やはり、吉村昭の歴史小説は面白い。斜め読みや飛ばし読みなどせずにじっくり読んでしまう。

 大黒屋光太夫は、江戸時代後期の伊勢国白子(現三重県鈴鹿市)の港を拠点とした回船(千石船)の船の頭だったが、天明2年(1782年)、嵐のため江戸へ向かう回船が漂流し、アリューシャン列島のアムチトカ島に漂着。長い年月を掛けて、17名の水主(かこ)の内12名の死を乗り越えて、極寒のシベリアを横断し、ロシア帝国の帝都サンクトペテルブルクで女帝エカチェリーナ2世に謁見して帰国を願い出、漂流から約9年半後の寛政4年(1792年)に根室港入りして帰国している。帰国後には、その後の幕府の日ロ関係への進展に大きな役割を果たしている。
 なお、映画化されている井上靖著『おろしゃ国酔夢譚』も、この大黒屋光太夫が主人公である。
 
 8ヶ月にわたる漂流、想像を絶する極寒のシベリアを旅する厳しさなどの臨場感溢れる描写、当時の時代背景、極東やロシアの風土や集落や都市の様子、一番の恩人となるキルロ・ラクスマンを初めてとする不思議なほどの次々と現れる支援者とのふれあいなど、実にきめ細かな取材に基づく細やかな表現に、どんどん引き込まれて朝から夕方まで掛けて、一気に上下巻とも読んでしまった。

 非常に助かったのが、下記の地図だった。このお陰で地理的な距離感や要した年月などが分かり、とてもイメージ豊かに読み進めることができた。

相原秀起著『ロシア極東 秘境を行く』より抜粋

著者より贈本『ロシア極東 秘境を歩く』関連

2016年12月02日 | 読書・映画

 本日、北海道新聞社函館支社報道部長・相原秀起氏より、このたび北海道大学出版会から発刊された本人著書の『ロシア極東 秘境を歩く』が送られてきた。

 氏は、北大探検部出身で、記者時代、95年からサハリン・ユジノリンスク支局駐在経験もあり、2013年からの道新連載「極東」を担当していた。この著書は、その取材を基にしたものである。

 まだ読んではいないが、帯には、「探検部出身の記者が道なき道を行く」とあり、目次は、第1章「はるかなる北千島」、第2章「知られざるサハリン」、第3章シベリアの荒野へ」からなっている。これらの地域は、一般的には旅することがで難しい場所なので、貴重な内容である。

 定価は2800円+税で、道内主要書店や、ネットで購入できるTSUTAYA、amozon、楽天市場などでも扱っている。

 相原氏との出会いは、2014年、現在も続いている拙筆による北海道新聞(札幌圏)連載の「ほっかいどう山楽紀行」の2代目の担当編集委員になられたときである。その後、今年の7月に函館支社報道部長として栄転して来られた。この11月から始まった、やはり拙筆による北海道新聞夕刊(道南版・みなみ風)への「どうなん・とうほく山楽紀行」の仕掛け人でもある。 


 これも、昨年、やはり氏からいただいた、「極東DVDシリーズ3部作」の中の第3巻『大シベリアを行く 光太夫とマンモスを追って』のDVDである。 
 やはり、これも、道新連載「極東」の取材班が撮影した映像をもとに、氏が中心となって編集したものである。
 こちらは、地球温暖化でシベリアの凍土が溶けて次々と現れるマンモスの骨や、鎖国時代に漂流してロシアに渡った大黒屋光太夫の足取りを辿った内容である。

 なお、これら3部作のプロローグ映像(10分もの)は、下記で観ることができる。
  https://www.youtube.com/watch?v=-O9_UUmryHc
 こちらは、北海道新聞社で発売している。1巻3500円+税。

 たまたま一昨日、改めてこのDVDを見直したばかりだった。しかも、大黒屋光太夫の波乱に満ちた生涯をもっと知りたくなり、昨日、中央図書館へ出掛けて、吉村昭著『大黒屋光太夫』を借りてきた。
 そのタイミングでの今日の贈本なので、まさに、びっくりぽん!状態だった。 
 

吉村昭著『大黒屋光太夫』

 ちなみに、大黒屋光太夫は、、江戸時代後期の伊勢国白子(現三重県鈴鹿市)の港を拠点とした回船の船頭だったが、天明2年(1782年)、嵐のため江戸へ向かう回船が漂流し、アリューシャン列島のアムチトカ島に漂着。ロシア帝国の帝都サンクトペテルブルクで女帝エカチェリーナ2世に謁見して帰国を願い出、漂流から約9年半後の寛政4年(1792年)に根室港入りして帰国している。
 なお、映画化されている井上靖著『おろしゃ国酔夢譚』も、この大黒屋光太夫が主人公である。