羊蹄山頂上の雲間から覗く京極市街地(本文とは関係ありません)
9/26の羊蹄山登山の際、真狩ピークから頂上へ向かう途中の稜線コル付近で、妻が雨で濡れたポーチが落ちているのを発見。中を開けて見たら、財布と電池の切れた携帯ほかが入っていた。
財布には現金2千円と小銭が入っていて、免許証や健康保険証、クレジットカードや銀行カードのほかにたくさんのカードが入っていたので、てっきり落し物か忘れ物だろうと思った。雨に濡れているので今日のものではない。警察に届けるか、連絡先が分かれば電話でもしようと思って持ち帰った。札幌の方だった。
下山後、交番へ寄ったが、パトロール中で留守だった。免許証の住所へ送り届けても良いと思った。しかし、健康保険証から勤務先が分かったので、翌朝9時過ぎにその会社へ電話を入れた。事情を話し、本人がいたら電話をいただきたいと頼んだ。
まもなく、本人から直接電話が入った。拾った場所を説明したら、山の状況が良く分かっていない感じなので変だな?と思った・・・。以下その後の会話。
「ありがとうございます。それは、まちがいなく私のものですが、実は、私は山には登っていないんですよ」
「えっ!てっきりそこで休んで、忘れたのではないかと思ったのですが・・・」
「月曜日の24日ですが、私は下の真狩キャンプ場でキャンプをしていたのですが、トイレに入っている間に置き忘れたらしいのです。気付いたのは帰りの車で家に着く寸前でした。諦めて、警察に紛失届と被害届を出して、カードなどもすべて止めたところでした。結果的にはそのポーチは盗まれたということなんですね~」
「ということは、それを盗んだ登山者が、わざわざ頂上近くまで持ってきて捨てたということなのでしょうか?それにしては現金も2千円と小銭が入っていましたよ」
「そうですか・・・そのほかに1万円札が何枚か入っていたはずなのですが・・・」
「ということは、その犯人が、万札だけを引き抜いて、ポーチごと捨てたということなのでしょうね?」
「多分、そうだと思います」
それにしても、わざわざ頂上付近まで運んできて、万札だけを引き抜いて、人目に付きそうな登山道の近くに捨てる・・・これも変な話である。すぐに薮中に捨てても良さそうなのに・・・。考えられることは、中には免許証や健康保険証、銀行カードやクレジットカードも入っていたので、ちょっとは良心の欠片が残っていて、薮中に捨てないで、忘れ物や落し物として人目に付きやすい登山道の近くに捨てたということなのだろう・・・?
登山者にもそのような悪い人がいることを知り、愕然とする思いだった。こちらとしては良いことをしたつもりが、なんとなく後味も悪いものになってしまった。
「今日、帰宅したら、すぐにでも免許証の住所へお送りますけどよろしいですか?」
「お手数をおかけして申し訳ございません。何かお礼をさせていただきたいのですが・・・」
「自分も同じような経験がありますし、お宅はむしろ被害者なのですから、お気遣いは一切ご無用です」
「すみません、ではとりあえず着払いで送ってください。届いたら、また電話します」
帰宅後、向こうの申し出に即して、着払いで宅急便で送った。今日になって、本人から「届きました」とお礼の電話が来た。
今回のことで、4年前の熊野古道歩き旅での自分のハプニングが蘇った。
早朝の道の駅のトイレに、財布や携帯電話などすべてが入ったウエストポーチを忘れたことに気付いて、20分ほどして慌てて戻ったが、すでになし。
どこかへ連絡取りようにも携帯もなく、お金もないので公衆電話も掛けれない、銀行カードもないので、お金も下ろせないし、帰ることはおろか、そこから動きようがない。お先真っ暗になった。
一縷の望みは親切な人が警察へ届けてくれていることだけだが、最悪の場合、交番に事情を話して、帰りの費用だけでも借りることを考えて、戻ってくるときに目にした派出所へ駆け込んだ。しかし、留守だった。警察電話が使えるので、とりあえず110番へ。事情を話したら、近くのいくつかの交番へ問い合わせてくれた。
なんと、本宮の交番に届いているとのこと。「助かった~!」 開いたばかりの道の駅に戻って事情を話しバス賃を借りようとしたら、責任者の方が交番まで車で送ってくれた。 届けてくれた人は、旅行中の名古屋の方だった。謝礼も不要とのことだったが、警察から電話をかけてもらって、直接お礼の言葉を申し上げた。良い人に拾われて、まさに「地獄に仏!」だった。
それより少し前に、こちらの携帯の中から妻の携帯番号が分かったらしく、警察が電話をしてくれたらしい。その電話を受け取った妻が、「熊野の警察ですが・・・坂口さんの奥さんですか?」と聞いた途端に、事故にでも遭ったと思って、頭の中が真っ白になり、パニックになって、「いいえ」と答えてしまった・・・という笑い話もあった。2人とも時間差でパニックを経験していた。
それ以来、財布と携帯は別々にし、財布は身に付けるか、忘れることのないリュックに入れて持つようにしている。