夢うつつ♪つれづれ草子

書いて残しておきたい事が、たくさん出来ました(*^^*)
自分自身のための備忘録なんだけれど…いろいろ書きたいな♪

《宝塚ベルばら50》記念SS① オスカル・フランソワは生きている

2024-10-08 20:21:11 | 極私的「ベルばら」語り@危険地帯
1。オスカル・フランソワは生きている:
《はじめに》
約20年ぶりに2次創作を゙書きました。ジャンルは《JO》(⬅この言い方は今でも通用しますか?本当はというか正確に言えば💦≪GO≫です。)
久しぶりに調子に乗ったのはいいのですが「有り得ない設定」と「矛盾」と「密やかな願望」だらけになりました🙇

(1)「オスカル・フランソワは生きている❔❕
全4回を予定。完結出来るといいな💦よろしければ笑いながら読み飛ばしてくださいませ。(失笑モノ😁)


その噂は夏が過ぎ秋の声を聞くようになっても途消れなかった。
あの日オスカルが逝ったのが事実として伝えられてきたことであったし、バスティーユで銃撃されて倒れたのは何人もの人間が目撃しており近しい人々が最期をバスティーユの石畳の上で看取ったと言い伝えられてきたことであったが、あの7月14日以来オスカルの姿が目撃されなかったのも事実である。由緒ある家柄ので出身で謂わばバスティーユの英雄であったのに、最期の祈りは何処の教会であげられたのかどこに葬られたのかを誰に聞いても答えが帰ってこないことから実は「オスカル・フランソワは生きている」という噂が途切れないのだった。信憑性がある噂としてはオスカルの近衛隊時代の副官であったジェローデル少佐が混乱に乗じて営倉を脱出し、虫の息のオスカルをだきかかえ、洋服が血で汚れるのも厭わず馬車で南に向かったと言うことだろうか?ジェローデル少佐といえばオスカルに正式に求婚して振られたという話は有名であったから、世間もさもありなんと納得したのだった。そのジェローデル少佐でさえ、目撃されていない。

ムードン城にて。(1789年の7月末のこの時期、国王一家がムードン城に滞在しているとは思えませんが目をつぶってくださいませ🙇)
「オスカルまた会えて余はこんなにも嬉しいことはないぞ。そちが死んだと聞いたときは目の前が真っ暗になったものだ。オスカル、われらよりさきに逝ってはならぬぞ」上気した頬で二人を迎えたルイは言う。
「ジェローデル、オスカルを死なせたら余も王妃も決して許さぬ。オスカル、そのからだではもう軍務は無理であろう。ジェローデル、そちはどうする?」
「私は近衛でございます。さいごまで両陛下にお仕えしたく存じます。」
「それならば衛兵隊に゙うつるまえのオスカルの職責を引き継ぐが良い」
「官位は准将で良いな?」
「望外の喜びでございます!」
「オスカルをここまで運んできてくれたのだ少将でも中将でもの望み地位はあるか?」
「准将で充分過ぎるほどでございます」
「命の恩人なのだ……中将でも良いのに………」虫の息のオスカルがつぶやく
「これは……あなたらしくもないことを仰る」
「准将という地位はあなたが長い時間をかけて手にした地位です。
私にとってもこの地位は宝物でしかありません。
大事に努めさせていただきます。」
「どんな大元帥でも少尉から実績を積み重ねていくものだ。オスカル・フランソワ、君は望めば10代で将軍にもなれたのにそれを望まなかった。ーあの強欲な、ポリニャック夫人ですら、君と王妃様の絆に嫉妬していたというのに。君が地位をねだるようなことがあったら、軍隊の志気はもっと乱れていたことだろう。」国王に付き従っていたブルボン公が口をはさむ。
「分不相応な地位は連隊全体ひいては近衛の士気の低下を招くだけですのでわたくしは近衛時代は大佐で十分でございました。しかも少佐も中佐も経験していないのです。」
「これでは地位をねだったと思われても仕方がありません」
「そんなことは……❕」ジェローデルが気色ばむ。
「あれが権力に酔ったアントワネットさまの一存での昇進であることは軍の幹部なら誰でも知っておる」
「当時は愉快に思わなかった者も多々あったが君はその後長い間、近衛を問題なく運営し、ヨーロッパ随一と言われる地位にまで押し上げた。」
「何よりも嬉しきお言葉を賜り恐悦至極でございます」
緊張しながらやり取りをしていたオスカルの肩の力が抜けて支えていたジェローデルに゙全体重がかかる
ジェローデルはしっかりとオスカルを抱き直した。
「戦いとなりますと軍馬や銃器の数だけが注目されますが、後方の兵たちの食料や衛生にも気を配らねばなりません。世間では政府が深く考えずに独立戦争に参戦し多額の戦費を浪費したように言われていますがあれだけの船団を送り出し迎え入れるのに要した後方支援の費用に触れているパンフレットはないように思います。ブルボン公、このジェローデルはそういう計算能力に長けた人物でございます。必ずフランス軍の役に立つ人物と思われます。」苦しく痛いだろうに、軍人としての姿勢を貫くオスカルにフローリアンは驚愕し、感心した。
オスカルの軍人としての自分を評価する言葉がフローリアンの胸に染み渡っていった。『宮廷の飾り人形』『顔だけ近衛』ではなく地に足が付いた軍人であることができたのだという満足感がフローリアンを包み、オスカルを抱く手に一層力が入った「いた……い」オスカルの呻きに「これは失礼いたしました。」フローリアンはオスカルの全体重をその胸板に受けとめた
「何も心配せずに私に任せてください」
「わかったありがとう」

オスカルを抱き止めながら、もっと鍛え抜かれた厚い胸板を持っていたであろう恋敵を思い出す。

※ブルボン公は王家の支流として代々仕えたブルボン・コンデ家ですがここでは「アンギャン公」と呼ばれたルイ・アントワーヌ(1772〜1830)の父ルイ・アンリ(1756〜と1830)いうことにしておきます。※「アンギャン公」は『皇帝ナポレオン』に登場しますが、汚名を着せられての痛ましい最期でした。しかもこの時期ブルボン公はすでに亡命している可能性が高いです。リサーチ不足ですみません🙇※

「フローリアン、その…オスカルと家族になるのであろう?」……
おずおずと問うルイに対し
「もちろんそのつもりでございます❕」
間髪を入れず、フローリアンは答え、「オスカルもそれでよいのだな?」
「は…い」
オスカルを抱く手に一層力が篭る。
正式に求婚して正式にこっぴどく振られ、「身を引きましょう」とまで宣言した自分であった。それがこうあっさりと「ウィ」の返事をもらえるとは🥰ムードンの森中を馬で駆け回りたい気持ちである。先に逝った恋敵にすまなさを覚えつつ「アンドレ、すまない。オスカルは私に任せてくれ。そのかわり、けっして後悔はさせない。自分の命同様に大切なのがオスカルなのだから。」と固く誓う。
「ならばしばらくはこのムードンで暮らすが良い」
「ジョゼフ付きだった医師たちもまだ残っているから、治療も受けられよう。。
あまりの厚遇にフローリアンが驚いていると流石にオスカルも同様だったらしく、「あまりに勿体ないことでございます。」
「ジョゼフは最後までそなたに会いたがっておった」
「王太子殿下のご成長を見守れなかったのがいちばん悔やまれます」
フローリアンにはまだ話の核心が見えない。
「フローリアン、驚くでないぞ。なんとジョゼフはこのオスカルに求婚したのだ」
「は❔❕」
「小さな子どもによくある戯れ言ではなく、本気だったらしい」
「オスカルに馬に乗せてもらったあと、それはそれは嬉しそうに私に語ったのだ」
「それであなたは承諾したのですか?」
「もっともっと頻繁にムードンに来ることを約束いたしました……」オスカルは言葉を濁す。……だがわたしは三部会が開会してからは忙しさにかまけて、ムードンから足が遠のいた……オスカルは後悔の念に苛まれた。
「馬に乗せてもらったこととオスカルとふたりで話せたこと。あんなに嬉しそうなジョゼフの様子はついぞ見たことがなかった」
「この様子ではジョゼフの命は延びるのではないかと期待するくらい生き生きとしておった」
「だからオスカルは家族も同様なのだ。それはフローリアン、そなたも同じである。だから好きなだけここで暮らせばよい」
「あなたはそれでよいのですか?」
「はい、ここに留まらせていただけたら幸いですが…しかし…」
恋敵は一人ではなかったのか……とフローリアンは不遜にも考える。
「ですがアントワネットさまのご意向は❔」
「王妃に詳しいいきさつ知らせておらぬが反対はするまいよ」
「しかしわたくしは……陛下と妃殿下をお護りできませんでした」
「いわば裏切り者でございます。わたくしを匿っては王家の威厳に傷がつきます。」
一番気になっていたことをオスカルが言い出した。
「そういうこともあるかもしれぬが今になって考えればオスカル、お前があの行動に出なければはバスティーユではもっともっと血が流され、暴動は翌日以降も続いて何日も収拾出来なかったかもしれぬ。」
「しかし……」
「ではオスカル、そなたは平民相手にたたかえたか❔」 
「たぶんそなたのことだからバスティーユの占拠はできたであろう」
「問題はその後である」
「ドイツ人騎兵はともかくとして、平民を蹴散らしてバスティーユへの侵入を一切許さずバスティーユを占拠出来たか?」
「戦闘経験がほとんどないわたくしの指揮ではそれは無理だったかと。」
ルイは驚くほど雄弁であった。
「ならば、そなたのとった行動を裏切りと断じるのはまだ時期尚早ではないか❔そなたが何もしなくてもいずれ革命は起きたのであろう?」
「陛下、勿体ないお言葉でございます。」
「だから心配せずにこのムードンで身体を休めるがよい」
「さすがにそういうわけには……フローリアン、すまないがしばらくしたら別のところに連れて行ってくれ」
「それならば私が育った里親の館が南のほうにございますのでそこにまいりましょう。陽射しは多少強いのですが、景色と空気はきれいな場所です。」
「そういえばおまえと始めて会った子供の頃、おまえは日焼けしていたな。」フローリアンにとってはあまり思い出したくない過去である。
「よし、そこで私は元気になる。」
「オスカル、くれぐれも早く逝ってはならぬぞ。早すぎるとあちらでジョゼフが驚くであろう。」
「はい、是非また陛下にお逢いしとうございます。」
「フローリアン、くれぐれもオスカルのことは頼んだぞ」
「ははーっ、この身に変えましてもオスカルを守ります。」

けたたましい靴音が静寂を破った。
「オスカルオスカル!どんなに心配したことか……まあ!こんなひどい怪我をして!直してあげますからね、オスカル」
取るものも取らずという格好でアントワネットが駆けつけて、オスカルの前にひざまずく。
「王后陛下、もったいないことでございます。」
思わずフローリアンは叫んだ。コルセット無しでもなんとか着こなしが出来る簡素なシュミーズドレスのアントワネットは髪もゆいあげられてはいない。
一国の国王と王妃からオスカルに寄せられる厚情にフローリアンは眼を見張る思いだった。
「私はアントワネット様をお守りすることができませんでした。……」
「あなたは後悔しているの?」
「申し訳ありません。後悔は……ありませんが、もう二度と陛下の前に顔を出せるような身の上ではなくなりました」
これ以上ないと思われる苦悶の表情をフローリアンは黙って見つめているしかなかった。

「それならば、これから私達を守ってくれればいいわ」
「しかしわたくしはこの身体では……」
「私達の側に居てくれればそれでよいのよ。だから元気にならなくてはダメよ、オスカル。」
「そうだ。我々の相談相手をつとめてくれればそれでよい。」
ルイが口を挟んだ。
「相談相手などと恐れ多いことでございます」
「堅苦しく考えなくてよろしいのよ。世の中が変わってしまうのだから。」
「はい……またアントワネット様にお逢い出来ますようつとめます。」
「あら、どこかへ行くの?それはだめよ。傷に悪いわ」
「南の方にわたくしの領地がございますのでいったんそこで、オスカルを静養させようと思います。」
フローリアンが説明を加えた。
「まず今いる医師に手当てさせましょう」
「そうだ、話はそれからにしよう」

そしてジョゼフ付きだった医師が呼ばれた。
医師は難しい顔つきでオスカルの傷を診ると
「ジェローデル伯爵、少しよろしいか?」
とフローリアンを促した。 
天にも昇る気持ちとは、この驚きと喜びのことを云うに違いない。

オスカルさまが生きていらしたのですって❗」
「今どこにいらっしゃるの?」
「ジェローデル伯爵とご一緒だそうよ。
南フランスのジェローデルさまのご領地にいらっしゃるそうよ」
「おふたりは結婚なさったのね」
「でもお怪我が酷かったのでは!?」
「またベルサイユでお会いできると宜しいわね」
まもなく世の中の潮流に飲み込まれるのをまだまだ自覚できない貴婦人方の間に噂が飛び交った。まだベルサイユの一角には砂糖菓子の世界が残っていた。

(続く…)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする