夢うつつ♪つれづれ草子

書いて残しておきたい事が、たくさん出来ました(*^^*)
自分自身のための備忘録なんだけれど…いろいろ書きたいな♪

『天上の虹』 完結しました!!

2015-03-17 23:32:28 | 小説や漫画や映画やテレビや音楽のこと。

里中満智子先生のライフワークである『天上の虹』が、あしかけ32年をかけて、ついに完結しました
里中満智子先生は、
「『万葉集』への思いがこの作品の出発点でした。実在の人物を自分なりの解釈で物語にするのは、想像以上にむずかしくて、こんなに年月をかけてしまいました。」
と、インタビューに答えていらっしゃいます。

私がこの作品に出会ったのは、雑誌での連載開始からしばらく経ってからですが、それでも25年くらいのお付き合いになるでしょうか?

単行本にして、23巻というのは、世の中にはもっともっと長編の漫画が溢れているので、とりたてて珍しいことではありません。
しかし、『天上の虹』の凄いところは、まだまだ研究成果が定まらない時代を取り上げつつ、“歴史を漫画化しました”に留まらない人間の内面描写でしょうか?

以下、ネタバレしています。

例えば、日高皇女が葛城王に対して落ち着かない気持ちになる…という描写がありまして…
それは「なに」に対してか考えてみたら…
かつての婚約者だった故・弓削皇子に「顔」が似ているからだった…
「すっかり忘れたことと思い込んでいたのに、過去の出来事にそれなりに影響されていたのだ」
と日高皇女は述懐します。
そして日高は、人と人の影響力について、讃良(持統上皇)に話すと、讃良は、
「私も民に影響されている。つねに民の気持ちが気にかかり落ち着いて寝ていられない。それが私の立場なのだから」
と答えます。

と、これはほんの一例に過ぎませんが、このような心理描写が各章に散りばめられていて、ストーリーだけ追って斜め読みしていると、「え?どういうこと?」と立ち止まってしまう箇所が出てくるのでした ←これは単にワタクシの読解力不足が原因です

最終章(第67章)は、讃良の死で幕を閉じます。
副題は「持統天皇物語」ですからね
参考にした文献は1,500冊にも上るため、巻末に載せることができませんでした、と“あとがきにかえて”に書いてありました。

里中満智子先生、長い間、お疲れさまでした
コメント
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