日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

映画 「74歳のペリカンはパンを売る」

2017-11-03 | 映画

東京・浅草にあるパン屋「ペリカン」。
食パンとロールパンの2種類しかしか作らないという異色で
老舗の「ペリカン」のドキュメンタリー映画。1週間前に見に行った。



74歳というのは創業1942年(昭和17)から数え
映画の製作にとりかかった時の年数で名づけられたのだと思うが
今年は75年目にあたる。

朝8時の開店には行列が毎日続く。
近くなら並べるが、食べたくなった時は
いつも予約で買いに行く。

「自分に10の力があったら100を作らずに1を作る」という
2代目の渡辺多夫(わたなべかずお)さんのスタンスから始まり
以来2種類のパン作りを守り続けているのだという。

映画は2代目の時から手伝っているパン職人、
製造機の整備をする人、お店で働くスタッフなどの姿を追い、
現在4代目の店長である渡辺さんの仕事風景が映される。

パンはどうですか?と常連らしき男性にインタビュー。
「べつに、ふつう」というような答え。
しかし「言葉は語るけれど物は言葉なしで語る」と
素晴らしいコメントが返ってきたのが印象的だった。
(正確な言い方は記憶があいまいだが)

生地を作り、形にして、窯に入れーー
焼き上がったときには
食べて幸せになれる味がいつのまにか入っている。

ペリカン直営のカフェが今年8月にオープンした。
2度行ったが予約が多すぎて2度ともあきらめた。
多くのファンが求める
――変わりゆく時代の、変わらない味――