日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

生誕120年 東郷青児展 抒情と美のひみつ

2017-11-15 | 絵画

洋画家・東郷青児(1897-1978)の画業を前衛の時代から
1950年代末までの作品を通して
洗練された「東郷様式」と呼ばれる女性像によって
永遠に変わらない美の表現を示した損保ジャパン興亜美術館での作品展だった。
(東京の会期はすでに終了)



幼い時から見た青児の絵はいつも身近にあり
(我が家にあった菓子缶、包装紙、箱、絵はがき等)
私にとって親しみを感じる画家であった。

最初に見た時は自分が幼かったこともあり
マネキン人形のような絵だと思ったが
どこかもの哀しくロマンチシズムあふれる絵に惹かれた。

パラソルさせる女 1916年

初期の頃の作品。
モザイクのようなパーツを組み合わせた中心に女性の顔。右上にパラソルが。
ステンドグラスにしたいようなデザイン。

雑誌「ホームライフ」の表紙 1939年


雑誌をはじめ本の装丁や包装紙など
時代の寵児だった青児は多くのデザインを手がけた。
ジャン・コクトー「怖るべき子供たち」、谷崎潤一郎「卍」など。
「怖るべき子供たち」の原画を見られたのは嬉しかった。

そして1940年には画家・藤田嗣治と
京都・丸物百貨店で対の壁画を共同制作している。
2人の絵が並んで展示されていた。


若い日の思い出 1968年
 
グッズ売り場で購入したポストカード
婦人像 1936年
1930年代に描いたシンプルで麗しい絵は
当時どれほどモダンに見えたことだろうか。
 
淡い色彩をぼかし、無垢に、そして時にはミステリアスに。
油絵とは思えないなめらかで繊細な描き方に見入ってしまった。
青児の乙女は今もなお永遠であり懐かしい。
 
京都の喫茶店「ソワレ」で購入したグラス。
2個で1組のうちの1個。