まためぐって来た6月。水無月は水の月。
6月の別名、「風待月」は暑い日が続き、涼しい風を待ち焦がれることから名づけられた。
風待月と呼ばれたころ、太陽は現在よりももっとやさしかったと思う。
しかしクーラーなどない時代、人々は涼を運んでくる風にひと息できる心地よさを託したのだろう。
そして水の恵み。人は水によって生きてゆくことができる。岩を分け入り流れ出る水で生活をしてきた。
水の冷たさは暑さをしのぐ唯一の救いとして様々に役立った。
6月の誕生石は真珠。
真珠は水あるいは月から生まれたともいわれる。
海の底で眠るようなあこや貝から真珠があらわれた時、人はどんな感動と神秘を味わったのだろう。
白珠(しらたま)は 人に知らえず 知らずともよし
知らずとも われは知られば 知らずともよし
万葉集 巻六 1018 元興寺僧
白珠は真珠のことである。「白珠の価値は人に知られていない、しかし人が知らなくても自分がその価値を知っていれば人に知られていなくても良い」と自分を嘆いた歌であるが、人を励ます力と勇気を含んでいる歌でもある。