紫陽花が咲く場所には特別な空気が流れる。
しめりを含んだ空気を水として紫陽花が吸う青い空気である。
現在一般的に呼ぶアジサイは、ガクアジサイを母種として生まれた品種であり
もとの名前は「あづ(集)」「さ(真)」「あい(藍)」で
「あづさあい(集真藍)」が「あじさい」に変化した。
又アジサイの異名で「四葩(よひら)」 とも言われた。
花びらに見えるのは本当は萼(がく)で「装飾花」 と呼ばれ、
1879年にイギリスの園芸家が日本のアジサイを持ち帰り品種改良によって現在の紫陽花が誕生した。
辻邦生『花のレクイエム』 紫陽花の章では、紫陽花を愛した母の想いは
主人公の胸をよぎり、紫陽花が母娘の人生を静かに象る花として描かれている。
森駈けてきてほてりたるわが頬をうづめむとするに紫陽花くらし 寺山修司
昨日今日あすとうつらふ世の人の心に似たるアジサイの花 佐久間象山