日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

戯曲 「オルフェ」 ジャン・コクトオ

2009-06-09 | Jean Cocteau

堀口大學の訳により、一幕の戯曲 「オルフェ」 の単行本として1929年(昭和4年)に出版された本。
300ページの前半は戯曲の 「オルフェ」、後半はコクトーのデッサン集が収められている。
絵の多くはコクトーの初期のころの画風で、人間の動きを楽しんで描いたようなコクトーの絵を見ることができる。 
1929年  第一書房 1500部限定で発行

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「マダム・ユーリディスは地獄から帰っておいでになるでしょう」
これは言葉じゃない。詩だよ、夢の詩だよ、死のどん底に咲きいでた一輪の花だよ。

       詩人オルフェの台詞  第一場より

1927年に 「オルフェ」 が再演された時はコクトーがウルトビーズ役で出演した。
背負っている硝子は天使の羽根を表しているという。


ギリシャ神話をコクトーの詩に変え、それを戯曲という立体にした作品であるが
鏡という出入り口による冥界への境界は生と死を隔てる象徴として幻想空間を生んだ。
そして死神を登場させることによって神話の軌跡はコクトーの神話となった。