日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

「人でなしの女」

2009-06-02 | 映画

フランスの巨匠マルセル・レルビエが1923年に製作した映画 「人でなしの女」 は
アールデコスタイルの美術が結集され、20年代に関心が高まった科学技術と近未来への無限の夢を
映像へ神秘的に焼きつけた芸術的作品といえる。

Panhuretto
世に名高い歌姫クレール・レスコーはその魅力で多くの男性を虜にするが
気まぐれな彼女は誰のものにもならない。

ハンサムな若きエンジニア、エイナール・ノールセンが
彼女に恋心を打ち明けるが冷淡に拒否され、彼は車を走らせ崖から転落。Norusen

衝撃を受けたクレールに見知らぬ男が訪ねてきた。
彼女を案内したところは最新の粋を集めた実験室であった。
ノールセンは生きていた。
その実験室では自分の歌が映像と音によっ世界中に流れる。

Saron_2 機械に夢中になったUtahime彼女はノールセンにうちとけていく。
しかしノールセンに嫉妬した男によって彼女は毒蛇に噛まれて死んでしまう。
悲しみにくれるノ ールセンは「危険な実験」によってクレールを蘇らせた。
二人は真実の愛に結ばれる。

      Kyubizumu        

印象に残るのは80年前の映画にもかかわらずSaisei
現在見ても新鮮な衝撃を受ける画像である。
アートシネマとも呼べるこの映画に参加したアーティストは大変豪華であり
彼等の作品を堪能できる映像が連続して一作品になっている。

この映画は製作中から注目を浴び、エリック・サティやニジンスキーがセットを見に訪れたという。

◆監督 マルセル・レルビエ
「エル・ドラドオ」 「ラ・ボエーム」「ポンペイ最後の日」など。
◆美術/室内装飾 アルベルト・カバルカンティ
 映画作家、美術監督           
◆実験室/字幕 フェルナン・レジェ
 キュビズムの作家                     
◆建築物 ロベール・マレ=ステヴァン
 アールデコの代表的建築家                
◆家具 ピエール・シャロー
 20~30年代の偉大な家具デザイナー 
◆衣装 ポール・ポワレ
 10~30年代に活躍したファッションデザイナー
◆共同脚本 ピエール・マッコルラン
 「霧の波止場」などを書いた作家
◆音楽(オリジナル)ダリウス・ミヨー
 ジャン・コクトーとも縁が深い「6人組」の一人