goo blog サービス終了のお知らせ 

日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

反逆の詩人ランボー

2008-12-17 | 

        アルチュール・ランボー 「地獄の季節」 より

 

『幸福』は俺の宿命であった、悔恨であった、身中の虫であった。
幾時(いつ)になっても、おれの命は、美や力に捧げられるには巨(おお)き過ぎるのかも知れない。

 

Rimbaud_4

 

             
       身も魂も奪われて、

       何をする根もなくなった。

 

       ああ、季節よ、城よ。

                   この幸福が行く時は、

                   ああ、おさらばの時だろう。

                           小林秀雄 訳  岩波文庫


反逆の詩人、ランボーは青春の通過点で、憂鬱、反抗、憎悪、そして憧れと幸福が、奔流するがごとく詩を書き連ねた。
10代の詩でありながら若き天才となったランボーは、現在までに数多の詩人を生み出したといえるだろう。


「この世のものにあらざりしランボー、その眼力この世の見かけを破壊しつくしたランボー、そして一歩一歩その足もとから新しい世界の生まれ出でたランボー」
(モーリャック)


使用した花◆ラナンキュラス、スカビオーサ

 


ソナチネ

2008-12-14 | 

Ranannkyurasu

   何と素朴で澄んでいることだろう
   生命の水よ、
   おまえは地の奥から
   この泉に溢れ出て、歌っている!

      おお、神々しくきよらかな泉よ、
   木や草は、
   おまえの澄んだ水を吸い込み、
   牡鹿や鳩は、おまえを飲んでかわきを癒す

               曲:ソナチネ(モーリス・ラヴェル)
      詞:生命の水(ヴァン・レルベルク)
      対訳:木村礼子


薔薇

2008-11-27 | 

Rosecard_300
      幾重もの心の襞(ひだ)をもっている

      複雑な心の襞をもっている

      襞と襞とがひびきあって

      花の音色にふかさをつくる

                  襞と襞とがいたわりあって

                  やさしいふくらみの影をつくる

                                    金井直 「薔薇」 薔薇6より (偕成社)



詩集に収められている詩のタイトルは、薔薇1から薔薇16までで
詩人が書いている対象は、薔薇だけであるにもかかわらず複雑にイメージを感受し、薔薇を表現する。
しかし、言葉の側面から見えるものは、単に薔薇を賛歌することではなく、見る目が何であるかを教えてくれる。


花言葉◆(赤) 愛情、情熱、わが心君のみぞ知る


丸の内で見た秋

2008-11-03 | 

Pict6634_320_3






すべてのものが熟し、

褐色になるのは葡萄の房だけではない

この完全な日に、

折りしも太陽の目は

わが人生にもそそがれた。

わたしは来しかたをかえりみ、

行く末を見た…。                                 ニーチェ 自伝『この人を見よ』より

44歳のニーチェが狂人になる前に書いた精神風景。
絶望を愛しながらも
おのきに似た愛を自然に向け、かすめる音さえ
自身の心の音として詩を書いた。