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日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

クリスマスブッシュ

2010-11-16 | Flower

Christmasbush
クリスマスブッシュは密集した赤い小さな花。ところがこれは花ではなく、
萼が成長して赤くなって花のようになったもの。
花は初夏あたりに白い花をつけ、花が落ちたあとの萼がこのように赤く色づいて見事な枝になる。

赤いばらの実を手にして次々と花を入れる。
無心に花と向き合う時間なのになぜか気持ちは他へいく。
このばらの実は今ここにあるけれど、どこでばらを咲かせていたのだろう。
 クリスマスブッシュもどこから切られてきたのだろうなどと考え、ふと手が止まる。
都会にいると、野生の枝が山から吹いてきた風にふるえているのを見ることができない。
自然への渇望をおぼえ、ふりはらうように止めた手で一気に生けた。

使用した花◆モカラ(蘭)、ばらの実、クリスマスブッシュ、ユーカリ、スキミア


エアープランツ

2010-11-09 | Flower

Airplants

エアープランツの種類は年々新種が増え、コレクションするほどの魅力と
奥の深さがあり興味は尽きない。

空気中の水分で育つことからAirplantsとよばれる。
写真は「チランジア」の種類。

エアープランツは土に植える必要がなく、1週間に1度くらいにスプレーで水やり、と聞くが
種類と環境によって条件は変わる。

熱帯や霧が出る山岳地帯で木に付着しているプランツは
大自然の中で想像を超える造形美で生息している。


シンフォリカルポス

2010-10-30 | Flower

Snowberry 
小さな雪玉がかたまったように白い果実をつけるシンフォリカルポス。
細い枝先に一粒ずつ違う大きさで密集する白さは何ともチャーミングである。


英名は「snow berry」、和名は「雪晃木」
いずれも「雪」にちなんだ名前がつけられているが、きれいな白さは心洗われ
愛らしい果実には心がなごむ思いがする。

花言葉◆いつまでも献身的に
他に使用した花◆薔薇、ガーベラ、ばらの実、利休草、ゲイラックス

 

 


どんぐりの話

2010-10-19 | Flower

Donguri 
どんぐりは、ブナ科植物の実を総称した呼び名だが、
国内でどんぐりをつける植物は20種ほどあり、種類ごとに形はさまざまである。
昔は食すものとして利用された時もあり、縄文や弥生の遺跡からも発見されたという。


宮沢賢治『どんぐりと山猫』は、森のどんぐり達の対立を裁判で決める童話だが
ファンタジーの中に奥の深い人間の心理がかくされている。
しかし宮沢賢治が紡ぐ情景は水晶のような美しさ。
擬人化された栗の木や、笛吹き滝と一郎の会話、風の音などを想像しながら読んでいるだけでも楽しい。
どんぐりをテーマにした不思議な異次元の話である。


蓮の糸ふわり

2010-10-13 | Flower

 

天平の時代、当間の里(奈良県)で右大臣・藤原豊成の娘、中将姫が蓮の糸を五色に染め、
曼荼羅の文様を織った。悲運の身ながら仏道に精進するけなげな中将姫。

そんなある日、光明がさし、如来と菩薩は心きよらな中将姫を西方浄土へ迎えた。

伝説の姫は当間寺(たいまでら)の蓮池にたたずみ、訪れる人に平安の微笑みで迎える。

蓮の茎から出るいくすじもの糸。
あしらっていた花を忘れて浮遊する糸に見入ってしまった。蓮の茎には植物の神秘が宿る。


使用した花材◆蓮の実、あじさい、タニワタリ、木いちごの葉、スキミア


ガラスの器に

2010-06-22 | Flower

Sumidanohanabi

 


ガラス器に生けたのは西洋あじさいであるが、ガク咲きで「墨田の花火」

隅田川の花火を連想させるが、
装飾花の形は星のようでもある。
雨にぬれたあじさいは6月の庭にこそ合う。
花火や星のまたたきは夜空で見るが、雨の庭で見る花火や星も悪くない。



M様、あなたのお品を受け取りました。忘れがたい思い出をたどりながら
あなたと分かち合いたかったことを心の中で語ってゆきます。

他に使用した花◆デルフィニゥーム、サンキライ


生田緑地ばら苑へ

2010-06-06 | Flower

小田急電鉄・小田急線に「向ヶ丘遊園地」駅があるが、遊園地は数年前に廃園になり、園内にあったばら苑は市民の要望によって残されることになった。
ばら苑は2002年に川崎市に引き継がれ、市民のボランティアの手によって今も見事な薔薇が咲き続ける。

(左から)
グリーノールズグロー、アンクルウォーター、アイスバーグ、スペクトラ、アプリコーラ

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(左から)
ノスタルジー、リバプールエコー、不明(大輪咲き)、ピエールロンサール、シャンドスビューティ

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左は見頃を過ぎたために切られてバケツに入れられていた薔薇。
次に美しい花を咲かせるための未来への剪定だ。

薔薇は「愛と美の象徴」「花の中の花」といわれるが、こうした
手厚い管理によっておよそ530種の薔薇は春をいろどり青空の下で咲き乱れる。
          

 

 

 


主役になったジキタリス

2010-05-31 | Flower

Jikitarisu

主役は薔薇のはずだった‥。濃く淡く咲く薔薇を見に行ったつもりが今日射止められたのはジキタリス。

めずらしい花ではなくなった昨今、毎年目にするのに今日のジキタリスは半透明のように澄んでいた。

       絵のような夢のような

      絵であろうと夢であろうと

     ここにあるは似て非なる世界



花言葉◆熱愛、胸の思い
 


アマポーラ

2010-05-27 | Flower

Amapola

今を盛りと咲くアマポーラ。
和名は雛罌栗(ひなげし)、虞美人草。スペイン語でアマポーラ。
イギリスはポピー、フランス語ではコクリコ。

与謝野晶子は漢字の雛罌栗にコクリコとあてて群生するけしの美しい様子を詠っている。

       ああ皐月

     仏蘭西の野は火の色す 

     君も雛罌粟(コクリコ)

     われも雛罌粟(コクリコ)
                                                                                                                  晶子  


湊川神社にあるオリーブの樹 神戸市中央区

2010-05-22 | Flower

Oliveminatogawa
湊川神社は楠木正成が祀られていることでも有名な由緒ある神社で、
地元では親しみをこめて「楠公さん」と呼ばれている。
表神門から入ってすぐ左に日本最古といわれるオリーブの樹が現存する。

明治政府は、明治11年(1878年)のパリ万国博覧会で
日本館長だった前田正名(1850年~1921年)に殖産興業のひとつとして農業振興を要請した。
フランスから輸入したオリーブの樹は約2000本。
前田正名は現在の山本通りで旧国営「神戸オリーブ園」で栽培をはじめた。

Oliveexnation

 

 

のちに「神戸オリーブ園」は廃園になったが、そこから移植された一本が湊川神社のオリーブで、明治からなお生き続ける姿を目にすることができる。

オリーブは「ノアの箱舟」に鳩がオリーブの葉をくわえて戻ってきたことにより、
洪水が引き、人間が地上に住めることの証を示したとされることから「平和」のシンボルとされた。

 


色づいた風船かずら

2010-05-17 | Flower

Dryhusenkazura


夏になるといくつも風船をつけて絡まっている風船かずら。
5月の緑のさなかに見る半ドライの風船かずらはどこかgoing my way。
夏になれば今年もいっぱいの風船があちこちの庭で涼しさを呼ぶ。

かずらは蔓性の総称のことで、種は英名で「ハートの豆」といわれるが、黒に白いハート型の模様から由来するという。


たんぽぽの綿毛

2010-05-11 | Flower

Tanpopowatage
たんぽぽの茎を持つと綿毛がくるくると舞いながら飛んでゆく。
咲き終わった茎は倒れ、種に養分を蓄えると、また立ち上がって綿毛に姿を変える。
植物の不思議。

良い夢を見たく たんぽぽ 旅に出る
  
          (邑中都詩子)


シラー(scilla)

2010-05-05 | Flower

Scilla



シラーは別名をツリガネズイセンと呼ばれるように鐘型の花がうつ向くように咲く。
春のさなか、彩りの華やかな花が多く咲いているが澄んだシラーの青は楚々としたつつましさがある。

ブルーとピンクのシラーが群生していた。
短い間しか見ることができない。

花言葉は多感なこころ、辛抱強さとか。
愛らしく儚い花だが気持ちを癒すやさしさがある。


花蘇芳(はなずおう)

2010-04-14 | Flower

葉のない枝に紫紅色の小さな花が集まって咲く花蘇芳は
色が華やかでありながら地味な印象がある。ピンク系の花と混ぜてみた。

春の陽射しはあたたかい。
惜しみなくそそぐ春の光にどんな花もやわらかな金色を帯び、
花蘇芳も溶けるような色になった。

他に使用した花◆シンビジウム、カーネーション、ガーベラ、アルストロメリア、スカビオーサ


枝垂れ柳

2010-04-08 | Flower

Sidareyanagi
我にはこの思い、オークの木に似たれど、君には曲がりし柳のごとくあらん                              

                     シェイクスピア「恋の骨折り損」 より

柳は女性のイメージで語られることが多く
日本でも柳腰、柳眉、柳髪と美しい女性の表現に用いられることばでもある。

柳は春の季語であり、奈良時代に中国から梅とともに渡来したが
「柳は緑、花は虹色」といわれるように、柳の葉は緑色、桜の花は虹色という
自然のあるがままの春の美しい風景をたとえている。

又、ヨーロッパでは川岸の柳が水中まで垂れている様子を
涙を流して悲しんでいる人にたとえられるのだという。