上砂理佳のうぐいす日記

7月18日(木)~23日(火)まで、茶屋町の「ギャラリー四匹の猫」で「夏への扉」展に参加します★

拍手鳴りやまず★6

2007-03-31 | 06-07 コンペとショー
 「カルメン」なライサチェクですが、冒頭の踊りがやや固めに思えました。あれれ…と思う間もまく4回転。でもスピードあり。オーバーターンが入っていたので、「んー。シークエンス扱いか?」と思いましたが、やはり緊張から来るものか。
アクセルが彼は苦手なのですが、踏み切りが問題なんだろーか。でも踏ん張って降りました。大きな拍手。ところが次の3ループが2回転になってしまい、微妙な空気に。アクセルのコンボも成功したとはいえ、やはりオーバーターン入り。
大技のジャンプに力が入り過ぎている~。
このPGはどんどんどんどん、炎の如く燃えていかねばならないのですが、ジャンプに象徴される様に、何か歯車が噛み合わないものを感じました。最後のステップもやや迫力を欠く。でも会場は大きな拍手。アメリカ応援団、大歓声。
1番滑走の重圧を乗り越え、まとめ上げたエバンですが、やっぱり「SPで大きなミスをして第三グループに後退。FSで“火事場パワー炸裂”!」という、いつもの立場とは違いました…全米で「パーフェクト!」をやってのけて、もしかしてFSにもう1個、4回転を入れてくるのでは?と予想していたのですが。
ワールド直前の四大陸でも好調を維持していたので、俄然「銅メダル候補」でなく「優勝候補」として注目を浴びた事で、相当なプレッシャーになっていたのかなあ。
キャロルコーチは点を見てシブイ表情をしていましたが、私はこれは来季につながるFSだなーと実感していました。
SPで4回転を入れてくる勇気があるエバンなら、来季は来るよ。もう。
長い手足(特に足)をさばくのが大変そうでしたが、プログラムに恵まれたら、充分チャンピオンの可能性はあるなあ~と思いました。しかし、世界Jrの頃の「可愛いエバン」の方がやっぱり好きだなあ、私(笑)。

 ライサが完璧な演技ではなかった…点も伸び悩んで金メダル争いからは脱落。ということで、次のジョニーには精神的に楽になった…かな。全米の再現だけは嫌だったので、ライサには悪いけど、私は正直なところ少し安堵しました。
「ジョニー、いつも通りよ!いつも通り!余計な事を考えないのよ!」と、ひたすら「ジャンプ全て降りろ~」の念を送る。2番滑走というのは、いいポジションなんですよね。
大歓声というか、異常な程の日本でのジョニー人気。ジャッジ側は特にジョニーバナーがずらり勢揃い。同行のT嬢も自家製バナーをフェンスにくくりつけて「念」を送る。皆の期待が、リンク上のジョニーの細い体に一心に注がれます。
「ナザレの子」の冒頭の踊りが特に好きだな~。耽溺してる間に、お約束の3A+3T。見事な成功で大歓声。ここまではいいのよ…次が4Tよ。
助走もOKだし「跳べる!」と思ったんですが、瞬時に体をゆるめて降りてきてしまったので、明らかに3回転トゥ。少し「残念」な空気になりました。でもまだまだ!こっから!
順調だったのですが、ターンで入る難しい3ループ。踏み切りは悪くなかったのになあ~。ほんの一瞬の気の迷いなのか2回転に。こうなるとジョニーの悪い時のパターンになってしまう。心配していた2個目の3アクセルも、思い切りが足りなかったのかパンク。場内「あああー」とタメ息が。
しかし、いつもだとこの後のジャンプを全てダブッたりしてしまうのですが、今日は3回転きっちり。最後までPGは手を抜かなかった。ステップも体力が要る難しいものだけど踏ん張る。私は「ああ、初めてこのプロの(一応の)完成形を見たなあ~」と、感慨深いものがりました。
リンクから去る時、ジャッジ反対側のお客さんに何度も手を振るジョニー。自分のバナーを見つめていたのでしょうか。「また来るよー」という意味だったのか。私はちょっと泣いてしまいました。
ジャンプはミスしてしまったけど、今季では一番良いFSだった。そして、何より私は「世界選手権で戦うジョニー」を初ナマ観戦して、やっぱり感動しているのでした。やや上から俯瞰で見ているせいか、ジョニーはその「軌跡」が美しいのです。流れるように滑っていくスケート。氷を削る音も最小限しかしない。どこを切り取っても美しいポジション。
私が最初に02年四大陸で見た「ひゃー。なんて美しいんだろ!この子の滑りは!」という感慨が、脳裏に蘇ってくるのでした。キス&クラでやや気落ちしているジョニーに、17歳の「おぼこい」男の子がダブる。あれから歳月が経ったけど、やはりジョニーの滑りは美しくてたまらないのだわ…と。短い時間にボーッとそんな事を考えていました。
TESが伸びず、PCSも抑えられ気味。会場はやや落胆ムードでしたが、みんな「ジョニーの味方」なので(^^;)、最後には温かい拍手で終わりました。
結果的にはここでメダル争いからは脱落したワケですが、SP3位の大ちゃんと4位のジョニーは持ち点の差が殆ど無く、技術的に互角としたら、あとはもう気力の勝負だったのかも。
4回転は練習では綺麗に入っているけれど、「ここ一番」で成功出来なかったのは残念です。挑んで回ってミス、ならわかるけど。でもシーズン初めの出遅れから考慮したら、ここまでよく上げてきたなあ、と、私的には拍手でした。

競技的には敗北でしたが、私には、何度も書くように、
「ジョニーの滑りはなんて美しいんだろ」
という「再認識」の方が強く強く残りました。滑りそのものが悪かったら、もっとショックで立ち直れなかったと思う。
最後まで滑りきった事で「次につながるワールドになったよ」とも感じました。
「次につなげる」か否かは、ジョニー本人の決意と取組み次第なんですが、まずは休んでから(ツアーがあるかあ)、満を持して再スタートして欲しいな。
コメント (5)
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拍手鳴りやまず★5

2007-03-31 | 06-07 コンペとショー
世界選手権レポ、いつまでやるねん、と言われそうですが(笑)書いてしまわないと私の人生も先に進まないのよ。これを書き上げて、さあ!新たなる出発だ!といきたいのです。

トーマス君、大フィーバー!の余韻覚めやらぬ会場。彼は上位陣に猛プレッシャーをかけた事になります。みな、リンクサイドで見ていたでしょうからね。
優勝のかかっていない第三グループの選手が、ノンプレッシャー状態ですんばらしい演技をやってのけて大逆転!というのはままあるパターン。ライサなんかはいつもそうですが。
さて、いよいよ最終グループのウォームアップ。
ジュベとランビが、リンクサイドではやはり「王様の双璧」です。
もうガッチリと壁を作って、他の選手が先にリンクに出るのを許さない!そんな威圧感すらありました。ライサ、ジョニー、ジェフは少し後方で。
昨日のSPでは「埋もれていた」大ちゃんですが、今日は「王様」たちのやや横の方に構えていました。存在感的には大丈夫。こういう所で決して負けてはいけないんでしょうね。
パアーッと6人がリンクに散っていくと、もう早くも「ウァーッ」と戦場状態に。各選手への声援合戦。緊迫していますが、SPの時のような重苦しさはありませんでした。しかししかし、目もくらむ豪華メンバー。この6人って考えてみたら、トリノ五輪の再現ではないですか~。
8位だった大ちゃんまでの上位選手。1位のプルシェンコはお休みで7位のサボイは引退した…だから、この二人を除いたベストメンバーが、あれから更なる進化を遂げて再び土俵に上がっているのです。しかも皆、若い!興奮しないワケがありません。

「いつものお約束」だと、リンク中央でスピンを始めるのはランビエールなんですが、SPもFSも、その位置をブン取って「オレ様スピン」を始めたのは大ちゃんでした。これは織田君も同じ行動だったので、日本スケ連の上の方からでも指示が出ているのでしょうか。「まずは中央を陣取れ」と。
ぐおーっと「ロクサーヌ」の最後の所みたいなアップライトで締めくくり、軽く出ていきます。パチパチ。
間髪入れず、ランビがその場所を陣取りスピン。「ここは俺様がスピンするとこなの!どいて!」って感じでしょうか(私の妄想?)。いつもに増して「どうだーっ!」シットからの変形高速スピンで魅せまくり。お客さん、大喝采です(スピンに関してはやはり、大ちゃんよりランビに軍配が上がる。今はね)。

ジュベールが3アクセル!が、ジャッジ席の前で激しく転倒。なんでやね~ん。ジュベも相当緊張しているようでした。でもあとのジャンプ、4回転もパワフルに決まっています。他のトリプルは余り跳ばず、ひたすら4回転に集中しているようでした。
ランビは4-3-2成功?皆、やはりランビを見ている人が多いので、大きな歓声も上がります。苦手の3アクセルは…練習と同じような感じ。「いちかばちか」かな。でも、ランビは「燃えて」いるように感じました。
ジョニーは、3A+3Tが綺麗に決まって歓声。動きはいい感じ。4回転は一度挑んで2回転になってたかな。転倒もなく淡々としています。アップで見ていても、ジョニーのスケーティングは美しい。
ほとんどの人がスピンやステップはやらず、黙々とジャンプを確認しています。

ジェフは3アクセル、やや苦戦か。やはり課題は4回転と3アクセル。でも今日は4回転を入れてくるであろうと(4+2のコンボ)。朝の練習でも降りていたので、決まればメダルも固いです。経験豊かなジェフはなかなか落ち着いているようでした。「アララト」の衣装の、グレーの裏の赤い部分が妙に映えます(?)この組はみんな、衣装が黒っぽいので「誰か全身赤を着てよ~地味よ~」と叫びたくなりました(笑)。
ライサは4+3を綺麗に降りました。もう1回跳んだのはステップアウト?(転倒だったか?)でも彼も4回転はやる気まんまんです。もう、絶対にパンクしたり、3回転にしたりしないだろうな、と思いました。それ位の気迫がありました。

大ちゃんは、スピンの後はジャンプ確認。お約束の3ループから。今日は良く身体が動いているし、スピードもあり。3+3、3+2+2、3A、淡々と流していきます。ステップは全くやらない。
「練習時間は、残り1分です」のアナウンスが入り、私は緊張が増します。
大ちゃん、ウォームアップでまだ一度も4回転跳んでないよ~朝は成功してたけどさ…まさかこのまま終わるつもり?早く跳べ!早く!1分しかない!…ともう、焦る焦る。
と思ったら、ジャッジ目の前を横切って予定の箇所で跳びました、クワド。綺麗に成功。拍手と歓声が(ちなみに、J-SPORTS版でのウォームアップの映像、ジョニーが画面に映ってる時に計2回ワアーッと歓声が上がってますが、あの時にウラで大ちゃんが4回転跳んでいます)。
もう一度。今度は他の5人がたまたま一斉にリンクサイドに固まって、リンク中央の空間がポッカリ空きました。会場中の目が大ちゃんに注がれるかのような中、一人スイーッと滑ってきて4回転。これも成功。
ここで時間切れです。良かった~跳べたよ~。いい印象のままアップを上がれました。私はちょっと安堵。
もう次にリンクに帰ってくる時は本番なのです。後戻り出来ない。
まさに「~The point of no return~」です。私はハラを括りました。
(つづく)
コメント (2)
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