サッカールーの何でもござれ パート2

シドニー在住者のサッカーについてのざれごとです。

BCGワクチン

2020-04-15 09:58:36 | 日記

オーストラリアの研究機関が、BCGワクチンがコロナウイルスに効能があるかどうかの臨床試験を始めたという報道があったので調べてみた。この研究機関はMurdoch CHildren's Research Institute(MCRI)という名前で、1986年に創立、現在は1200人の研究者を擁する小児病に特化した研究機関である。メルボルン大学とコラボしていて、メルボルンにあるRoyal Children Hospitalのドクターも多くがMCRIと重複している。

 

さてこのMCRIがBCGワクチンがコロナウイルスに効能があることに着目して、その臨床実験を始めた。ご存知のようにBCGワクチンは結核を予防するために幼児期に接種するもので、国により違うが日本では幼児期に接種されて普及度は98%である。コロナウイルスによる死亡者が少ない国、韓国、シンガポール、ポルトガル、日本はBCGワクチンが普及しているので、世界中がBCGに注目しているわけだが、本当にコロナウイルスに効能があるかどうかは証明されていない。

 

そこでMCRIは病院に勤務する医療従事者を対象にして臨床実験を始めた。これは医療従事者がコロナウイルスから最大のリスクがあるからという理由からだ。病院で新薬の治験をする場合は、患者を対象に本人の同意を得てから始めるが、このBCG実験は健常者が対象である。

 

MCRIのサイトから登録できて、オーストラリアの医療従事者を対象に4170人を確保したいとしている。BCGワクチン接種後に3,6,12か月後の状況をオンラインでサーベイし、接種後の6か月時点で血液検査もする。接種対象者は勤務先の病院に自分がこの実験に参加していることを秘密にしてもいい。かなりランダムな実験であるわけだ。

 

この詳細を読んでお分かりのように、結果が出るまでは1年以上かかる。それに4170人の対象者の中に最初からコロナウイルスに感染している人がいなければ、ウイルスに効能があるかどうかは未知数である。完全にウイルス無菌者だけを対象にして、1年後にウイルス感染者が何人発生したかを接種者と非接種者の2つのグループで分けて実験するのだろう。

 

実験の結果で2つのグループで大きな差が出なければ、BCGのコロナウイルスに対する効能は分からないということになる。