サッカールーの何でもござれ パート2

シドニー在住者のサッカーについてのざれごとです。

家康コーポレーション

2020-04-30 14:01:08 | 日記

4月21日のNHKの番組、クローズアップ現代+という番組を見た。家康コーポレーションという福岡に本社を置き、千葉、大坂、沖縄に支店を持つ観光バス会社に3か月密着して、コロナ不況がいかに地方の中小企業に影響を与えているかをルポした内容である。

 

密着取材されたこの会社の社長さんは筆者の学生時代の先輩で、卒業後も折に付け公私にお世話になった恩人でもある。最近やり取りがなかったが昨年あたりからフェイスブックで連絡を取り合うようになり、先輩の元気な姿を見ることができていた。

 

この番組を見て初めて先輩が苦しんでいることを知り、社員の半数以上を解雇せざる得ない状況にまで落ち込んでいることが分かった。大企業ならいざ知らず、社員が200-300人単位の中小、しかも観光業ならばコロナ不況にはひとたまりもない。

 

オーストラリアの場合、1年前の3月と比較して売り上げが30%以上ダウンした会社の従業員には、連邦政府が給料補償をまもなく開始する。金額は4週間で18万円程度である。これは税込みでここから源泉徴収される。この補償金を6か月間政府が雇用主に払い、雇用主は従業員に給料として払う。満足のいく金額ではないが、雇用主は賃金支払いから解放され、従業員は給料を補償される。大盤振る舞いの画期的な給料補償である。

 

これは一人で起業している自営業者にも適用される。昨年の3月と比較して今年の3月の売り上げが30%以上ダウンしたことを証明するだけでいい。申し込みはすべて国税局のオンラインでできて、振り込みで支払われる。これから毎月の従業員数、その詳細を報告する必要があるがそれもすべてオンラインである。かなり面倒なアプリを使っているが、慣れればまあ誰でもできる。

 

この給料補償は企業の倒産を防ぐ目的で設定されていて、すでに失業した人にはコロナ対策用に改定された失業手当がある。こちらは4週間で7万円くらいである。失業手当は所得制限があり、申請はすべてオンラインだが質問項目が多くてかなり面倒である。それでも多少のパソコン知識があれば誰でもできる。現金給付であり、1回ぽっきりではない。毎月の支給である。いつまで続くかは知らないが。

 

日本でもオーストラリアと同じような雇用主、とりわけ中小、零細業者に対する給料補償があれば、先輩の会社にように社員を解雇する悲劇は少なくとも6か月間は防げる。それから先がどうなるかはまだ分からない。

 

日本はGDP世界第3位であり、発展途上国の人々から見れば金持ちである。筆者の職場は多国籍だが日本は金持ち国だと言われるので、国と大企業は金持ちだが庶民は貧しいと説明するとみんな驚く。

 

オーストラリアは先進国のひとつであるが、経済規模からすれば日本よりも見劣りする。それでも大盤振る舞いして政府が国民を助けようと必死になっている。どうして日本は政府が国民を助けないのだろうか。400兆円以上と言われる大企業の内部留保を吐き出させて、給料補償に回せば国民から拍手喝采を受けること間違いなし。