冷戦時代、ハワイ沖で消息を絶ったソビエト連邦の核ミサイル搭載潜水艦をめぐって米ソが繰り広げた情報戦「プロジェクト・ジェニファー」の謎を描いたミリタリーサスペンス。1968年、冷戦下のソ連。旧式の潜水艦B-67の指揮を命じられたデミトリー艦長は、「ファントム」と呼ばれる謎の試作装置と、その実験のため同行するブルニー、ガーリンという2人の技術者を艦に乗せ、航海に出る。しかし、ファントムには誰も近づくことが許されず、デミトリーや副長のアレックスは、ブルニーらの正体や補充された要員の身許にも不審を抱く。そんな時、B-67はアメリカの原子力潜水艦と遭遇。ブルニーがファントムを起動させるが……。
<感想>冷戦時代にあった“プロジェクト・ジェニファー”と呼ばれる諜報戦に基づく軍事スペクタクル。ソ連の潜水艦の艦長デミトリーには、エド・ハリスが扮しており、その右腕副館長アレックスに、ウィリアム・フィクトナーが演じて、この潜水艦にブルニーという不審な要員にはデイヴィッド・ドゥカヴニーが扮して、艦長を部屋に閉じ込めてミサイルを発射させようと企む。
実話を基にした脚本は、緊迫度もあり悪くはないが、現実に核戦争は起こらなかったわけで、それは誰でも知っているわけで、もっとフィクション度を上げても良かったのではないかと思った。
この事件を覚えているとしたら、すでに高齢者ということになるだろうか。東西冷戦中の1968年、核弾頭ミサイルを搭載したソ連の潜水艦が、南太平洋で行方不明になったというニュースは、かなり衝撃的だった。この映画は、その史実を踏まえたフィクションなのだけれど、なかなかもって面白く出来ている。
物語りにはそれなりの工夫があるし、演出もサスペンスを盛り上げるし、何よりもエド・ハリス以下の俳優たちがいい。考えれば考えるほど背筋が寒くなるような話だといえるのでは。
問題は、潜水艦内の狭さで、活劇するには空間が明らかに不足している。
もちろん、核弾頭ミサイルの発射管内での命がけの工作という狭さが活用されるシーンもある。ここは映画中で垂直軸の出現という意味も。こんな狭い丸い筒状のミサイルの中で、発射のコードを切ってダメにしようと考えるのもちょっと。結局は発射されたのだが、海の底に不発弾として沈んでいる。中に入っていた隊員は死んでしまったようだ。
ただ潜水艦の中で、敵味方の顔の描き分けと位置関係の説明が足らないことが、サスペンスを不完全燃焼させている原因でもある。
ちょっと露骨なくらいのアメリカ賛歌に戸惑う。良くも悪くも冷戦という世界の勢力図における、対立構造が明確だった時代設定だからこそ、成り立つドラマではあるが、妄信的な表情で米国肯定の台詞を断言する、エド・ハリスの姿には正義というもの、そのいかがわしさ、違和感をぬぐえない。
当時の本物の潜水艦を使った内部は、生々しいレトロさがあり、閉鎖的な空間からは、外界から切り離された異次元のようなライティングで撮影されており、ラストに至る艦長デミトリーの幽霊ともいうべき姿が見え、助かった副館長がデミトリーの家族と潜水艦を見ている、幻想的な展開には意表をつかれました。
2014年DVD鑑賞作品・・・31 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
<感想>冷戦時代にあった“プロジェクト・ジェニファー”と呼ばれる諜報戦に基づく軍事スペクタクル。ソ連の潜水艦の艦長デミトリーには、エド・ハリスが扮しており、その右腕副館長アレックスに、ウィリアム・フィクトナーが演じて、この潜水艦にブルニーという不審な要員にはデイヴィッド・ドゥカヴニーが扮して、艦長を部屋に閉じ込めてミサイルを発射させようと企む。
実話を基にした脚本は、緊迫度もあり悪くはないが、現実に核戦争は起こらなかったわけで、それは誰でも知っているわけで、もっとフィクション度を上げても良かったのではないかと思った。
この事件を覚えているとしたら、すでに高齢者ということになるだろうか。東西冷戦中の1968年、核弾頭ミサイルを搭載したソ連の潜水艦が、南太平洋で行方不明になったというニュースは、かなり衝撃的だった。この映画は、その史実を踏まえたフィクションなのだけれど、なかなかもって面白く出来ている。
物語りにはそれなりの工夫があるし、演出もサスペンスを盛り上げるし、何よりもエド・ハリス以下の俳優たちがいい。考えれば考えるほど背筋が寒くなるような話だといえるのでは。
問題は、潜水艦内の狭さで、活劇するには空間が明らかに不足している。
もちろん、核弾頭ミサイルの発射管内での命がけの工作という狭さが活用されるシーンもある。ここは映画中で垂直軸の出現という意味も。こんな狭い丸い筒状のミサイルの中で、発射のコードを切ってダメにしようと考えるのもちょっと。結局は発射されたのだが、海の底に不発弾として沈んでいる。中に入っていた隊員は死んでしまったようだ。
ただ潜水艦の中で、敵味方の顔の描き分けと位置関係の説明が足らないことが、サスペンスを不完全燃焼させている原因でもある。
ちょっと露骨なくらいのアメリカ賛歌に戸惑う。良くも悪くも冷戦という世界の勢力図における、対立構造が明確だった時代設定だからこそ、成り立つドラマではあるが、妄信的な表情で米国肯定の台詞を断言する、エド・ハリスの姿には正義というもの、そのいかがわしさ、違和感をぬぐえない。
当時の本物の潜水艦を使った内部は、生々しいレトロさがあり、閉鎖的な空間からは、外界から切り離された異次元のようなライティングで撮影されており、ラストに至る艦長デミトリーの幽霊ともいうべき姿が見え、助かった副館長がデミトリーの家族と潜水艦を見ている、幻想的な展開には意表をつかれました。
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