パピとママ映画のblog

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マチネの終わりに★★★・5

2019年11月11日 | アクション映画ーマ行

芥川賞作家・平野啓一郎の同名ベストセラーを「そして父になる」の福山雅治と「死にゆく妻との旅路」の石田ゆり子の主演で映画化した大人のラブストーリー。東京・パリ・ニューヨークを舞台に、世界的天才ギタリストと女性ジャーナリストが、運命に翻弄されながら繰り広げる6年にわたる切ない愛の軌跡を、美しくもほろ苦い筆致で綴る。共演は伊勢谷友介、桜井ユキ、木南晴夏、風吹ジュン、板谷由夏、古谷一行。

あらすじ:天才クラシックギタリストの蒔野聡史は、その名を世界に轟かせる一方、キャリアの節目を迎える中で自分の音楽に迷いが生じて苦悩を深めていた。ある日、公演を終えた彼は、パリで活躍するジャーナリストの小峰洋子と出会い、強く惹かれてしまう。しかし彼女には婚約者がいた。それでも洋子への高まる想いを抑えきれない蒔野は、やがて洋子の前で素直な気持ちを言葉にするのだったが…。

<感想>クラシックギタリストの蒔野と、パリ在住のジャーナリスト洋子、二人は愛し合いながらも、ある大きなすれ違いから、離れることになる。その数年後に、蒔野と洋子のすれ違いは、古風な悲恋ものとは肌ざわりが異なる。

あるコンサート会場で、舞台の上には男性がいて、客席には女性がいる。その二人だけに“分る”ある想いがある。そういう場面がクライマックスとして浮かび上がる。そこまでの展開が、必ずしも上手くいかなくても、この物語の核と雰囲気がうまく実現されていれば、最後の場面での二人が非常に美しい映像になっているのを観てすごく嬉しくなりましたね。

この二人の恋の物語は気持ちがいいのですが、じれったくもあり、心が洗われるようなのは、たぶんお互いに本質的に引っ張られているからじゃないかと。それに、音楽家と言うのは無条件に素敵なんですよ。しかもクラシックギターの世界的な名手であり、ギター一本で2時間弾きっぱなしなんですからね。

そういう意味でも運命の男女であり、東京、パリ、ニューヨーク。運命的な出会い、6年にも及ぶかくも長き別離、逢瀬はたった数回でより募る思い、果たして再会は?・・・要するに逢えない時間が愛を育むという形式で、恐らくはプラトニック・ラブのまま。

最近では軽妙な役柄も演じている福山雅治だが、少し憂鬱な役の方が断然似合うのだ。今回のスランプに陥った天才ギタリストは、実にハマリ役だった。ただし、ハマリ過ぎて「世界のどこかで君が死んだら。僕も死ぬ」という青臭いセリフには笑ってしまった。

そして、ヒロインの石田ゆり子のジャーナリスト役が、どこか危うく守ってあげたい薄幸の風情が人気なのだろうが、天然なのかもしれないが、イメージとかけ離れた役柄。なにしろ運命の出会いでお互い意識し合うが、相手ののめり込み具合に比べ、彼女は冷静で決して恋に溺れず、ジャーナリスト精神を優先させる。

テロの渦巻くフランスで取材し、画一的な答弁を繰り返す長官に激しく迫ったり、ビルのフロアで爆弾テロの起こる中、閉じ込められたエレベーター内で、すかさずテロの状況を自撮りし緊急現場生中継し、ブンヤ魂を発揮する前半の彼女に魅了された。そして、英語、フランス語の流暢なことといったら、素晴らしかった。

そこに、福山のマネージャーとしての三谷早苗の桜井ユキの存在感。しっかりと物申す職能女性で、なおかつ強くて、蒔野の師匠である古谷一行が心臓発作で倒れる。

その日が、洋子が離婚をして日本へ帰ってくる日だった。絶対に空港へ迎えに行くと決めていたのだが、師匠の病気では行くことが出来ない。そのことをマネージャーの三谷に頼んでしまう。

都合よく、三谷のところへその時が舞い降りた。大好きで恋をしている蒔野を手放すまいと、必死で嘘のメールを洋子に送るのだ。それが決め手となって二人は別々の結婚して子供をもうけるのだった。

しかし、洋子の夫である伊勢谷友介、日系アメリカ人と言う設定にも全く無理が無く、嫉妬心から浮気をして身勝手な男となる。いわば唯一の悪役なのだが、自分の浮気で離婚後の、あっけらかんとした態度なんか、何だか憎めない。

離婚後に、洋子の母親の風吹ジュンが、父親との離婚を話すシーン、妻や子供に迷惑を掛けたくないがための離婚であったことを話す。

実に効果的クラシックギターのBGMの音色に乗せて、悩む福山、動く石田、妬む伊勢谷、結ぶ三谷が交錯する物語。その中で、冒頭の背中と、ラストのアップを務めるのが石田ゆり子なのである。

女性としてそういう人に惹かれるのも当たり前だと思うし、二人が惹かれ合っているのも何の疑問もなくわかる。人生で3度しか会ってないのに、とても幸せな関係だと思うんです。お互いに、相手のことを奪い取らずに、本質で惹かれ合っていて、私にはすごく幸せな物語だと思ってます。

 

豊かさこそが幸せ。どの時代でもそう考えられて来たと思うのです。たくさんの収入があれば、少なくとも生活をする上での不幸は回避できる。では、精神的な幸せとは何か?、心の豊かさとはどういうことなのか。このテーマも「マチネの終わりに」には描かれていると思います。

 

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