パピとママ映画のblog

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みをつくし料理帖 ★★★

2020年10月31日 | アクション映画ーマ行

         

ベストセラーとなり、TVドラマ化されたことでも知られる高田郁の時代小説を映画化。『犬神家の一族』以来プロデューサーとして活躍し、『笑う警官』などの監督作もある角川春樹がメガホンを取り、荒波に揉まれる女性たちの友情の物語を紡ぎ出す。ドラマ『この世界の片隅に』の松本穂香と『半分、青い。』の奈緒という注目の女優が共演する。

あらすじ:享和2年、大阪を襲った大洪水で離れ離れとなった幼馴染み・澪と野江。時は流れ、10年後、江戸・神田の蕎麦処「つる家」で働き始めた澪は、試行錯誤を重ねながら店の看板料理を作り上げていた。しかし、上方(関西)風の味付けで客の不評を買ってしまう。 一方、吉原遊郭の花魁野江・あさひ太夫は、つる家の茶碗蒸しの味に懐かしさを覚える…。  ≪どんなときも、道はひとつきり≫原作:高田郁 主題歌:手嶌葵『散りてなお』

<感想>テレビドラマや、NHKでもドラマ化されたらしいが、それは知らなかった。11年ぶりの角川春樹監督映画で、料理の映画にしては女性向きの作品だが、高田郁の原作を初映画化。姉妹のように仲がよい澪の松本穂香と、野江の奈緒の今が旬の女優2人が、大阪の大洪水で生き別れとなり、10年後に澪は、江戸の神田の蕎麦屋の料理人となっていた。

野江の方は、吉原遊郭の花魁となり、2人の数奇な運命の物語を描いているが、料理映画にしては女性向きの内容であり、2人の生い立ちと、大人になってからの生き方に感動して泣けてくる。

11年ぶりの角川春樹監督映画ではあるが、ずいぶんと地味な題材を選らんだものだと思いつつも、演出は基本に忠実でありながらも、全般におとなしい作品でもありました。

江戸時代が舞台の本作だが、冒頭から占い師の反町さん始め、かなり贅沢な俳優が大勢出演していて、少しもったいない感じがした。

しかし、花魁役の奈緒の儚さを艶っぽく描き、しっとりとした落ち着いた世界を丁寧に描いているのも良かった。花魁の奈緒の付き人として、中村獅童が好演しており演技が巧かった。

蕎麦屋の主人には、石坂浩二が演じ、そこに働いている女には浅野温子が場を盛り上げており、その蕎麦屋の客の物書きの藤井隆に、その妻には、角川春樹が育て上げた薬師丸ひろ子が演じて懐かしく思いました。

江戸時代で女性が仕事で打ち込み、恋に悩む姿には現代女性にも通じるものがあります。暑い夏の盛りに冷たい茶碗蒸しを考案し、客が大勢押しかけて来て、その冷やし茶碗蒸しを大手の食事処に真似をされるという試練もあった。

それと、花魁の奈緒が病気で伏せて、使いの中村獅童が澪のところへ来て料理を頼む姿と、澪が子供のころに奈緒の好物だった金柑の甘煮を持たせるところなど。

これが生涯最後の監督作品と宣言し、出演者にも角川春樹監督ゆかりの、鹿賀丈史、松山ケンイチ、野村宏伸、浅野温子、渡辺典子、石坂浩二など、そして薬師丸ひろ子と贅沢三昧の役者陣たちがとっかえひっかえと出演するので見ごたえがありました。

見どころは料理屋の大座敷など、大人数を一画面に入れて芝居をさせるシーンは、圧巻でした。そして、2人が出会うシーンは、吉原の行事で明神様のキツネのお面を付け白い着物を着て、コーン、コンと歌いながら踊る花魁の奈緒が、美しく大人になった元気な澪の姿を見つけるところ。

それに、2階の障子に手の指でキツネの真似をして、コーン、コンと澪とのやりとりが胸を締め付けて泣かせてくれる。

 

 

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