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海難1890 ★★★★

2015年12月07日 | アクション映画ーカ行
日本とトルコの長年にわたる友好関係をテーマにしたドラマ。海難事故に遭ったトルコ軍艦エルトゥールル号への日本人による救援と、トルコ人によるイラン・イラク戦争時の在イラン日本人救出という、両国の絆を象徴する二つの出来事を見つめる。監督は『精霊流し』『サクラサク』などの田中光敏。『臨場』シリーズなどの内野聖陽、『許されざる者』などの忽那汐里、『孤高のメス』などの夏川結衣らが出演する。約100年という歴史をまたいだ展開はもちろん、日本とトルコの知られざる物語にも胸を打たれる。

<感想>1890年9月の日本で勃発した「エルトゥールル号遭難事故」、それがきっかけで日本とトルコの深い関係は、今回のこの作品で詳しく知りました。

オスマン帝国から明治天皇への使節団として出発したエルトゥールル号は、帰還中に和歌山県紀伊大島沖で台風に遭遇し沈没。爆発音を聞いた大島の人々は、事態を察知し、猟師たちは荒れ狂う海へ飛び込み船の残骸をかきわけ漂流する乗組員たちを救出。村民総出で彼らを急ごしらえの担架に乗せ救難所の寺へと運ぶ。

救助の様子は当時の村長や村医者が日記などに記していた。村人は貴重な食料を分け与え、一晩中風呂を沸かしたと言う。救護所には医師・田村元貞(内野聖陽)やその助手を務めるハルでは処置しきれない数の負傷者が運ばれる。

そこに、町医者の工藤、竹中直人や遊女のお雪、さらには村人たちも加わり懸命に治療と看護を行う。トルコ人69人の命を救った。生存者がその後、政府の舟で移送されるなか、ハルの処置で一命を取り留めたムスタファは、犠牲者とその遺留品確認のために島に残る。だが、自分が生き残ったことへの罪悪感から村人たちに怒りをぶつけるのだ。

村人たちは、負傷者たちを看護する一方で、海から漂流物を拾い上げて、綺麗に磨き上げ遺族に返すために磨きあげていたのに、ムスタファは村人が遺留品を盗んだと勘違いする場面もあります。見返りを求めない島の人たちの博愛精神は、トルコの教科書に掲載されるなど、日本とトルコの友好の原点となった。

それから95年後、1985年3月19日、イラン・イラク戦争により首都テヘランにいた日本人200人が取り残される事態に。イラクの空爆が続くテヘランで、避難先で負傷者を助けた際にムラト(ケナン・エジェ)と知り合った春海は、別れ際に彼らからお守りを受け取る。
同じ頃、イラクのフセイン大統領が48時間後にイラン上空の無差別爆撃を開始すると言うのだ。駐イラン大使・野村(永島敏行)が日本政府へ救援を要請するも敏速な対応がなく、落胆してトルコのオザル首相に救援機を出すように要請する。

10年来の友人である日本の商社の現地駐在員からも電話で直談判され、そんな友情関係も決断を促したと思われます。日本政府が救援機を手配できない中で、トルコ側が「祖先が受けた恩義を忘れていない」と救いの手を差し伸べる。

しかし、空港へと急ぐ日本人たちに、ロビーには外国人を優先する政府に不満を持つトルコ人の群衆が。そんな彼らにムラト(ケナン・エジェ)が、かつてのある出来事を群衆に語り出す。そして、日本人の救援機を飛ばす際に、トルコ航空のパイロットは、全員が危険な乗務に志願してくれ、なお、日本人に救援機を譲ってくれたトルコ人たちは、数日かけて陸路でイランから脱出したというのだ。

泣ける実話として100年に渡る無償の友情、国境や時代を乗り越えて受け継がれていくことを教えてくれる史実に思わず胸が熱くなります。異国の人々を名もなき村人たちの救難活動が、遠く離れたトルコの人々との125年に及ぶ信頼関係を作り上げたという素敵なお話。
「海難事故編」には内野聖陽が流暢な英語で台詞を話ていて、この俳優さん中々もって出来る男であった。それに竹中直人、笹野高史、夏川結衣らが出演。またハル役の忽那汐里と、トルコの実力派俳優ケナン・エジェが「海難事故編」と「邦人救出劇編」に一人二役で出演している。
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