パピとママ映画のblog

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ドライブ・マイ・カー★★★

2022年03月28日 | アクション映画ータ行

             

村上春樹の短編小説集「女のいない男たち」に収録された短編「ドライブ・マイ・カー」を、「偶然と想像」でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した濱口竜介監督・脚本により映画化。舞台俳優で演出家の家福悠介は、脚本家の妻・音と幸せに暮らしていた。しかし、妻はある秘密を残したまま他界してしまう。2年後、喪失感を抱えながら生きていた彼は、演劇祭で演出を担当することになり、愛車のサーブで広島へ向かう。そこで出会った寡黙な専属ドライバーのみさきと過ごす中で、家福はそれまで目を背けていたあることに気づかされていく。

主人公・家福を西島秀俊、ヒロインのみさきを三浦透子、物語の鍵を握る俳優・高槻を岡田将生、家福の亡き妻・音を霧島れいかがそれぞれ演じる。2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、日本映画では初となる脚本賞を受賞したほか、国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞の3つの独立賞も受賞。また、2022年・第94回アカデミー賞では日本映画史上初となる作品賞にノミネートされる快挙を成し遂げたほか、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞とあわせて4部門でノミネート。日本映画としては「おくりびと」以来13年ぶりに国際長編映画賞(旧外国語映画賞)を受賞した。そのほか、第79回ゴールデングローブ賞の最優秀非英語映画賞受賞や、アジア人男性初の全米批評家協会賞主演男優賞受賞など全米の各映画賞でも大きく注目を集めた。日本アカデミー賞でも最優秀作品賞はじめ、計8冠に輝いた。

<感想>今日の午前中に2022年・第94回アカデミー賞、国際長編映画賞を受賞した。脚本が村上春樹の短編小説集「女のいない男たち」に収録された短編「ドライブ・マイ・カー」であることも受賞の要因となっているようだ。最初に3月の始めに鑑賞した時には、あまり自分の好きな分野ではなくて高評価には至らなかった。しかし、アカデミー賞、国際長編映画賞は確実として監督賞、脚本賞にノミネートされているのを観て、もう一度鑑賞することにした。

よくよく見れば、確かに村上春樹の小説なので、舞台劇であるチェーホフの戯曲『ワーニャ叔父さん』の登場人物エレーナが、ワーニャにそうあって欲しいと願ったように、家福は演出家としてみんなの仲を取り持つ人物になったのではないでしょうか。ワーニャ役は、始めは舞台俳優で演出家の家福悠介が演じていたが、今回はオーデションにてワーニャ役を募集したのだ。このワーニャ役には、妻の愛人だった岡田将生が選ばれるのだが、家福は演出家である家福が自分が出張中に妻の音と岡田将生が浮気をしているのを、出張が突然延期になり家へ舞い戻ってくる夫の目の前に、妻のあられもない姿と激しくセックスをしている岡田将生を見てしまい、いつまでも頭から離れないでいた。

しかし、妻が夫に愛人との浮気を見られたと感じ取り、夫と離婚をしたい気持ちになていることが分かる。だが、妻はあっけなく(くもまっか)で死んでしまう。図々しくも浮気相手の男がオーデションにやってきたのだ。演技はそれほど上手くはないが、妻とのこともあり、雇ってしまう。だが、台本の読み合わせとか、彼の姿を見るとつい妻の音とのことが頭をかすめてしまい、棒読みによる読み合わせなのに、彼が感情を込めて台詞を言うのにダメ出しをしてしまう。しかし、彼が暴漢事件を起こし逮捕されてしまうので、仕方なく自分がワーニャ役を引き受けることになってしまう。

それに、家福は緑内障を患っていて今後、目が見えなくるという医者からの診断を得た。だから自分の真っ赤な愛車(サーブ900)を運転するのは体に負担がかかるので、運転手を雇うことになる。絶対に車の運転は自分がしたいと豪語するのだが、自分の身体のことも考えてドライバーを雇うことにしたのだった。

それが雇われたドライバーが女性であり、みさきという女性に対して反発を覚えるのだった。だが、家福とドライバーのみさきとの触れ合い、自分がイライラをして車のなかでみさきの過去を聞かせて来れといい、みさきには家族がいないということが分かるのだった。みさきの実家へと雪深いところを走るサーブ900がかっこよかった。

さらに、いつも妻がセリフを読んでいたテープを車中で聴くことで、蘇る妻の存在と、その思い出等々。これらを結びつける要素として、原作以上に趣が置かれているのが芝居のリハーサルのシーンである。棒読みで台詞をいい合う机を並べてのシーン。英語、日本語、韓国語、手話など、これを国際的な俳優たちにより、異なる言語のまま上演するところに、斬新な意匠を感じた。

舞台劇では、イ・ユナ演じる韓国人唖者の役者が巧いと思った。、舞台劇で英語・日本語・手話など言語の壁を越えて演じるコンセプトがあることも高評価の要因だったのではないかと思われる。

 

 

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