パピとママ映画のblog

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オンリー・ゴッド ★★★

2014年01月26日 | アクション映画ーア行
『ドライヴ』で注目を浴びたニコラス・ウィンディング・レフン監督とライアン・ゴズリングが再度手を組んだ異色サスペンス。兄を殺され復讐(ふくしゅう)を果たそうとする弟と、その前に立ちはだかる謎の男との手に汗握る攻防を描写する。究極の悪女を演じるのは『イングリッシュ・ペイシェント』などのクリスティン・スコット・トーマス。ダークな映像美はもとより、複雑に絡み合う人間模様に最後まで翻弄(ほんろう)される。
あらすじ:ビリー(トム・バーク)とジュリアン(ライアン・ゴズリング)兄弟は故郷アメリカから逃げ、タイのバンコクでボクシングジムを経営しながら、その裏でドラッグビジネスに手を染めていた。ある日、兄ビリーが若い娼婦(しょうふ)をなぶり殺しにした末、彼女の父親に殺害される。犯罪組織を仕切る兄弟の母親(クリスティン・スコット・トーマス)がアメリカから急行し……。

<感想>ライアン・ゴズリング目当てで観に行ったので、タイ人のおっさんの刀さばきとかカラオケ聞きに行ったわけじゃないので、がっかりしました。
乾き切ったロサンゼルスからバンコクへと、「ドライヴ」ですごい監督が出てきたと思ったのに、舞台がバンコクなので、湿気のようにねばりついた観終わった後の嫌な“何なんだろう”感がまとわりつく作品。
か弱き母子を救うために闘に身を投じるアウトローの姿を、クールに綴ったヒーロー譚であった「ドライヴ」に対して、今回は、言ってみれば暴力の極北である。言い換えれば観念としての暴力。ガラリと様子が一変するのだ。
「神との対峙」という荘厳なテーマに始まり、台詞を極限までに削ぎ落としたタッチで、妄想がまぎれ込む退廃美の空間とでもいおうか。対象物を中心に据えた構図と、全篇を彩る背景の赤と青の色調といったこだわったビジュアル。う~ん好き嫌いが有りそうな。

だが、ぐいぐいと引き込まれて、引きずられてしまう。その牽引者となっているのが“神の代理人”となって罪の重さを量り、制裁を下す、元警官のチャン。
演じているのは、タイ人のヴィタヤ・パンスリンガムで、長ドスを背中に隠し、そのため姿勢は常に直立不動である。彼は、剣道の熟練者だそうですよ。
すべてを悟ったような顔で在任を見つめ、どう答えていいか分からない言葉を投げ掛けてくる。マシンガンの弾丸をくぐり抜け、息切れすることなく、どこまでも襲撃者を追いかけて、長刀で腕を断ち切り、胴体をかっさばくのだ。
かと思えば、部下の警官たちを前に、カラオケを熱唱して悦に入る自分本位の男。まさに神変出没という言葉が相応しい。いかにもって感じで、自分だけは神がかりといわんばかりに、とにかく強いのなんの。誰も負ける相手がいない。

だから、せっかくゴズリングのボクシングシーンや、格闘して相手をやっつけるなんて場面は皆無である。

バンコクが舞台だからなのか、娼婦の女たちがぞろりと出て来る。ゴズリングも母親に会わせるために、嘘の婚約者を娼婦の中から選び、黒のスケスケドレスを買い、それを着せて母親に会わせる。母親から、娼婦と見抜かれて落ち込むゴズリング。それにマザコン男か?、決してその娼婦を抱くわけでもない。

その兄弟の母親に扮したクリスティン・スコット・トーマス、いつもなら淑女的な役柄が多いのに、金髪頭にビッチ全開なド派手メイクと、衣装でバッチシ決めて、ファックやらディックやら四文字言葉を吐く姿には、唖然としてしまいますから。こんな母親なんていない方がいいに決まってる。ゴズリンもそう思ったに違いありません。
手下どもに、息子の仇を取るように殺し屋を差し向けるも、反対に油ぶっ掛けたり、串刺しにしたりという暴力描写が凄い、自分の命も危うくなる。その“神の代理人”とやらの刀で、裁きを受ける母親は、さっきまでの剣幕は何処へやら。なすすべもないのだ。次がゴズリンの番で、もう観念したのか両手を差し伸べて、神の裁きを得るのだ。
実は、このジュリアンの役は、ルーク・エヴァンスが急にドタキャンして、ゴズリングが引き受けてくれたそうです。そう思ったら、彼でなくとも良かったのにと感じた。
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